223 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
223 兆し
しおりを挟む
ユエとライカがチビを連れて帰った後、いつものように出勤して仕事をする。そんな日常を淡々とこなしつつ、卵の魔法使いとしての仕事もこなす。卵については魔法省内で調整をしないと駄目だから、欲しいからという理由だけでは、すぐに渡されない。仕方ねぇけど。優先的に渡されるのは初めて支給される夫婦。それでも、前よりも格段に孵化率の上がった卵に、誰もが期待を寄せていた。とは言ってもさ、まだ、孵化してねぇんだけど。
オレとルイが初めて作った三つの卵。その卵が大きく成長し、孵化の兆しを見せ始めた。本来なら自分の子供ではないから休みは取れねぇんだけど、魔法大臣の計らいで、オレとルイは休みをもらえた。
ルイの卵のかけらが入っていた籐の籠に入れられたルイの兄弟の卵。そして、なぜなのか。シロガネさんとクチバさんの子の卵まで隣にある。それに付属するように火の精霊とエアリエルが飛び交う。
「こんなに大きくなるんだな」
「そうだね」
ルイと二人で眺めて、でも、なぜかこの卵達の両親がいない。理由は、店を一週間ほど休みにするためで、その対応のためだ。たださ、孵化した後、どうすんだろ? 店に連れて行くのか?
「あのよ」
「なに?」
「この卵が孵化したら、孵化した子は店に連れて行くのか?」
「どうするんだろうね? 聞いた話だと、どちらかが長期の休みを取るみたいなんだけど」
そうだよな。放って置いて育つってわけじゃねぇし。
「この子達には精霊がついてるから、普通の子達より親は楽だと思うよ。危ない場所や状況になると助けてくれるし」
卵の上を浮遊したり、乗ったり常時側にいる精霊は、言葉通り離れることが少ない。時々、離れる時があるみてぇだけど、その場合は両親のどちらかが側にいる時らしい。
「シロガネさんとクチバさんはこの館にいろんなモノがいるから、連れてきたんだろうけど。いつの間にか守護獣もいるし」
そうなんだよな。クレハさんとカエデさんは簡単に受け入れた。ただ、レオはオレとルイ、その血筋を守護するのであって、ルイの両親とその兄弟は管轄外らしい。あくまで、オレ達の血を引く者が対象なんだとか。でもさ、同じ屋根の下で生活してんだし、レオにこの館にいるなら、ルイと同じ血を持つ者も守護しろ、って言ったんだよ。変な顔(人間と違うから変化が正確に読み取れねぇ)したけどさ、無理やり納得させた。
「参ったわ。代わりのお店を探すのに手間取って」
そう言いながら入ってきたシロガネさんと三人。
「仕方ないでしょう。二人の店はセキュリティーが万全なんだから」
「でも、納得してもらえて良かったわ」
「孵化の兆しがあれば、無条件で認められる」
カエデさんとシロガネさんの会話に、クレハさんがそう言ってる。魔法省内だけのことじゃねぇんだな。そうだよな。卵の孵化は今の魔法使いにとって、大切な場面だもんな。
「分かってるわよ。でも、この歳でこんな幸運に恵まれるなんて考えてなかったのよ。お客様も驚いてらしたし」
そうだよな。四人はオレの親より年上だもんな。
「どんな様子だ?」
三人を通り越して、クチバさんがオレとルイに近付いてきた。覗き込んだ卵に目を細めてる。
「今のところは少し動く程度だよ。でも、肌で感じる魔力の強さが増してるから」
「じゃあ、もう少しだな」
そうなんだよな。この卵。今まで魔力の波動を感じることは感じられたんだけどさ。卵の成長とともに、感じる魔力の強さが強くなってく。必然的に二つの卵の中で育ってる子は強い魔力を持ってるって分かるんだけど、ルイよりは弱いんだろうな。それでも、卵を見詰めるルイが楽しそうで嬉しそうで、それが変な言い方だけど和むんだよ。孵化までもう少し、その時間が、凄く貴重なものに思えた。
オレとルイが初めて作った三つの卵。その卵が大きく成長し、孵化の兆しを見せ始めた。本来なら自分の子供ではないから休みは取れねぇんだけど、魔法大臣の計らいで、オレとルイは休みをもらえた。
ルイの卵のかけらが入っていた籐の籠に入れられたルイの兄弟の卵。そして、なぜなのか。シロガネさんとクチバさんの子の卵まで隣にある。それに付属するように火の精霊とエアリエルが飛び交う。
「こんなに大きくなるんだな」
「そうだね」
ルイと二人で眺めて、でも、なぜかこの卵達の両親がいない。理由は、店を一週間ほど休みにするためで、その対応のためだ。たださ、孵化した後、どうすんだろ? 店に連れて行くのか?
「あのよ」
「なに?」
「この卵が孵化したら、孵化した子は店に連れて行くのか?」
「どうするんだろうね? 聞いた話だと、どちらかが長期の休みを取るみたいなんだけど」
そうだよな。放って置いて育つってわけじゃねぇし。
「この子達には精霊がついてるから、普通の子達より親は楽だと思うよ。危ない場所や状況になると助けてくれるし」
卵の上を浮遊したり、乗ったり常時側にいる精霊は、言葉通り離れることが少ない。時々、離れる時があるみてぇだけど、その場合は両親のどちらかが側にいる時らしい。
「シロガネさんとクチバさんはこの館にいろんなモノがいるから、連れてきたんだろうけど。いつの間にか守護獣もいるし」
そうなんだよな。クレハさんとカエデさんは簡単に受け入れた。ただ、レオはオレとルイ、その血筋を守護するのであって、ルイの両親とその兄弟は管轄外らしい。あくまで、オレ達の血を引く者が対象なんだとか。でもさ、同じ屋根の下で生活してんだし、レオにこの館にいるなら、ルイと同じ血を持つ者も守護しろ、って言ったんだよ。変な顔(人間と違うから変化が正確に読み取れねぇ)したけどさ、無理やり納得させた。
「参ったわ。代わりのお店を探すのに手間取って」
そう言いながら入ってきたシロガネさんと三人。
「仕方ないでしょう。二人の店はセキュリティーが万全なんだから」
「でも、納得してもらえて良かったわ」
「孵化の兆しがあれば、無条件で認められる」
カエデさんとシロガネさんの会話に、クレハさんがそう言ってる。魔法省内だけのことじゃねぇんだな。そうだよな。卵の孵化は今の魔法使いにとって、大切な場面だもんな。
「分かってるわよ。でも、この歳でこんな幸運に恵まれるなんて考えてなかったのよ。お客様も驚いてらしたし」
そうだよな。四人はオレの親より年上だもんな。
「どんな様子だ?」
三人を通り越して、クチバさんがオレとルイに近付いてきた。覗き込んだ卵に目を細めてる。
「今のところは少し動く程度だよ。でも、肌で感じる魔力の強さが増してるから」
「じゃあ、もう少しだな」
そうなんだよな。この卵。今まで魔力の波動を感じることは感じられたんだけどさ。卵の成長とともに、感じる魔力の強さが強くなってく。必然的に二つの卵の中で育ってる子は強い魔力を持ってるって分かるんだけど、ルイよりは弱いんだろうな。それでも、卵を見詰めるルイが楽しそうで嬉しそうで、それが変な言い方だけど和むんだよ。孵化までもう少し、その時間が、凄く貴重なものに思えた。
10
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる