銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

230 縛られる者

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 六年も七年も引っ越し準備をしていれば、大体、終わるよな。今の仕事の大半は卵の魔法使いとしての精霊探索(これは、はっきり言えば先が見えない)と、卵を作ること。後は、なぜか魔法省内でするはずの魔法使いの人口のバランスを取る作業までさせられてる。言わせてもらうとするなら、オレは魔法使いの中でどの一族が絶えて、細々と血を繋いでいる一族がいるのか分かんねぇんだぞ……。
 
 だから、最近は頭がパンクしそうだ。うちに帰って、最近はツバキが料理をしている時がある。まあ、カエデさんが早めに帰宅してくるから、一人でさせてるわけじゃねぇけどな。
 
「ルイ兄、サク兄、お帰りなさい!」
 
 ツバキがルイに飛び付いて抱き上げられてる。いつもの光景。本来ならクレハさんなんだろうけど、帰って来るのがツバキが寝た後だもんな。
 
「今日はレオに遊んでもらったんだよ」
「相手してくれたのか?」
「うん!」
 
 居間に入ると困ったような(そう感じるだけだけど)顔のレオがオレに何かを訴えてる。訴えられても、どうすることもできねぇって。そして、部屋の一角に飾られてるものに視線がいった。待て……、なんであんな物がここにある……。
 
「あれはなんだよ?」
「あれ?」
 
 俺の視線の先を辿ったルイとツバキ。この兄妹、何気に似てんだよ。行動っていうか、思考っていうか。ツバキも来年には初等部に入学だ。ツバキは魔法使いの中では結構、異例な育ち方をしてんだろうな。淡白と言われる魔法使いの親子関係。でもさ、クレハさんとカエデさんは妖精任せに子育てをしなかった。分からないところは母さんに訊いたり、妖精達に訊いたりしていた。魔法使いが身の回りの世話をする妖精に問うことは稀らしい。らしいって言うのは、最初の頃、妖精達が困惑していたからだ。自分達が大切に育てると言った妖精達。でも、二人は頑なに自分達で育てると言った。
 
「ドレスだと思うよ」
「うん、ドレス!」
「いや、オレも目が悪いわけじゃねぇし、見れば分かるって。あれ着るのは誰だよ?」
「サイズ的にサクヤ以外いないと思うけど」
 
 ……、本当にあのサイズを測りに行ったのはドレスのためだったのか。だってよ、ルイに連れて行かれた店じゃなかったしさ。店内を埋め尽くしていた礼服も男物だったしさ。疑うことをしなかったオレにも問題があるっていうのは分かってるんだ。
 
「今回は白を避けたんだね。まあ、白は一度、着てるし。ここの館の敷地内でするはずだから、色物にしたんだね」
 
 ここでするのか?!
 
「来年には敷地内でのパーティは無理だしね」
「来年に決まったのか?」
「そう。ツバキが初等部入学でしょう? リッカが結界を張るのが、館を移してからだしね。ツバキまで縛るわけにはいかないから」
 
 そうなんだよな。リッカの話では、そこに住む人間を込みで結界を張るらしい。結界の呪文を馴染ませるためだって。短期滞在は問題なくても、長期になると結界の負担になるんだとか。オレ達の場合、その血族にまで影響する。多分、マナの種に結界の呪文が作用するんだと思う。ユグドラシルはそこまで計算していたはずだしさ。
 
「それに、魔力を持たない人があの場所に行くのは問題あるよ。変な影響を受ける可能性があるから」
「予想外の能力に目覚めるかもしれねぇってことかよ」
「そうだよ。あの場所にあの人が穴を開けたのは適当じゃないんだ。力が集まってくる場所だったんだよ。だから、容易に妖魔界とこちらの世界に道を開くことができたんだ」
 
 ドレスに視線を向けつつ、話してる内容はかなりハード。それをジッと聞いているツバキ。ツバキはオレとルイの仕事を幼いなりに理解してる。両親の仕事もだ。だから、我が儘をあまり言わない。言いたい時もあると思うんだけどさ。だから、いつも時間があればツバキに付き合う。学校生活の中で培うものとは違う、温かさを与えるために。
 
 とうとう、閉ざされた場所に身を置くことになるのかと、そんな思いが心の中を掠めて行った。
 
 
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