銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠SS

009 生命の雫

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■何人かの方にリクエストいただいて書いたサクヤとルイの卵。
 
 
 
 三十代中盤を迎えたオレとルイ。オレの両親の年齢のこともあるし、孫の顔は見れるって、喜んでいたことも覚えてる。たくさんの子供達を育ててることは両親も知ってて分かってくれてるけど、それでもやっぱりさ。
 
 魔法省に申請を出して、直ぐに許可が出た。まあ、作るのはオレ達なんだけどさ。その申請許可証に手紙が添えられてた。手紙の主は魔法大臣。
 
「また、無理難題押し付けるつもり?」
 
 ルイが深く溜め息を吐いて、開封すると内容を確認した。書かれていたことは無理難題なんかじゃなかった。
 
「やっとって」
「仕方ねぇだろう。何人育ててると思ってんだよ」
「ねぇ? 本当なら二十五歳で即申請出してるんだから」
 
 ちなみに、ユエとライカも同じ日に申請出して許可された。当たり前だけどさ。
 
 そして、卵の魔法使いはオレ達二人なわけだから、卵を作る建物内で二人向かい合う。もちろん、火の鳥二羽と魔狼二匹も一緒に。
 
「なんか、くすぐったいよな」
「だねぇ。まさか、自分達で用意するなんてね。サクヤと出会うまで考えたこともなかったよ」
 
 俺も考えたことなかったけどさ。
 
 小さく息を吐き出して同時に杖を出した。今日作る卵は全部で七つ。コウガとリッカに子供達は任せてある。もう少しで学校に上がる年齢だから、言い含めれば理解するからさ。
 
 学校に入る前に、子供達には卵を見せる。前の子達にも見せたんだ。卵の中で生命が育まれて、孵化してくる。生命は大切なんだって、教える意味もある。そして、五人には卵の中に精霊を入れてもらう。前の子達が強請ったんだよな。入れてみたいって。その時に、オレ達は本当の親じゃないって話したんだ。まだ幼い。理解力もそれほど身に付いてない。それでも、ルイが話すって言ったんだ。
 
 幼いからって理解できないわけじゃない。そう言って。五人は驚いてた。でも、小さく頷いてた。自分達にはたくさんのお父さんとお母さんがいて、そして、一緒に育った子達が兄弟じゃないことも理解してた。魔法使いって恐ろしいとか感じたんだよな。
 
 目の前に浮かぶ七つの卵。それを籠で受け止めて、ルイと覗き込んだ。
 
「どれがオレ達のだと思う?」
「そうだね。同時に指を指そうか?」
 
 ルイの言葉に頷いて、同時に選んだ卵は一緒だった。それを別の籠に移して、この卵の館の別の部屋で待ってるユエとライカにも選んでもらった。
 
 遺伝情報を卵に入れるとほんのり色付く。オレとルイのは淡い桜色。ここでも、桜色なんだな。ユエとライカのはなぜか複雑な色合い。色が定まってないっていうか。
 
「また、子供達に精霊を入れてもらうの?」
 
 ユエは前回見てるからな。
 
「そんなことしたの?」
 
 逆に驚いているのはライカ。そうか。知らないもんな。
 
「前の子達が強請ってね。でも、いいことかもって」
 
 ルイがそう口にした。遺伝子を抱えた精霊は弱り具合を考えて、孵化させるものを決めてる。見つけた場所が大体、館の中だったから、その館の一族に由来する名前を魔法大臣がつけてくれる。話を聞くと魔法大臣っていうより、魔法省の職員が頭を悩ませてるらしいんだけどさ。
 
「今の魔力の強い魔法使いは幼馴染みだけじゃなくて、幼い命に触れる機会もないからね。学校に上がるまで、遊び相手もそれほどいないんだろうし」
 
 子供時代にその手の経験を奪われていたルイが言うと、言葉が重いよな。
 
 時を止めるために魔法をかけた小瓶に入れられた精霊を五つ選んで子供達の元に向かう。毎年長期休暇になると戻ってくる子達が幼い子達を見るんだ。それはいい経験なんだろうな、って思ってる。
 
 
終わり。
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