銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠SS

011 新しい生命

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 オレ達の卵が孵化したのは子供達の前だった。どうして結界を張るのかと、散々質問攻めにあったんだけど、見たほうが絶対に早い。で、孵化した瞬間、かなりの音と視覚に入る破壊力に、子供達の動きが止まった。まあ、止まるよな。オレ達も見た時、結界張らないと怪我するって思ったからな。
 
 フワフワの銀髪が目に入って、肌は象牙色。両手をギュと握り締めて、声を上げて、全身全霊で存在を誇示しようとしている。結界を解除して抱き上げると、やっぱり女性の体内から生まれるのとは違う。孵化する時に魔力を放出するせいなのか、体は綺麗だからな。
 
「分かったか?」
 
 子供達にそう問えば、素直に頷いた。卵の孵化は危険。だから、子供達が抱え込んでいた卵も、結界を張らないといけない。それに、この子達も学校に上がる年だ。魔法省の役人と必要な物を買いに行かないといけない。でも、杖だけはオレとルイで用意するようにしてる。不測の事態にならない限り、一生使う物だから。きちんと魔力にあったものを用意してあげたいからさ。
 
 魔法大臣は渋ったんだ。杖は他の物に比べると、金額が高いから。でもさ、学校からレンタルしていたオレが思うに、高くても魔力に合う杖は魔法使いの身を守ってくれるんだ。
 
「やっぱりサクヤとルイの子だね。魔力が強い。それも、破壊の魔力が強いね」
 
 ライカが孵化したばかりの子を覗き込んで一言。うん。破壊の魔力が強いけど、ほんの少しだけ癒しの魔力がある。だから、この子はルイみたいに閉じ込められない。
 
「男の子だ。孵化したばっかで綺麗って」
 
 ユエは赤ちゃんの頬を突きながら覗き込んできて、コウガとリッカも見守ってくれてる。で、ルイはと言えば……。
 
「何固まってるの?」
 
 ルイがただジーっと自分の子を見詰めていることに気が付いたライカ。オレも視線を向けたら本当に固まってた。ツバキの時は固まってなかっただろう?
 
「どうしたんだよ?」
「あ……」
 
 ルイが戸惑っているせいで、子供達まで戸惑って緊張してんだぞ。
 
「ツバキの時は普通だっただろう?」
「え? ツバキの時だって感動してたでしょう?!」
 
 その姿は感動してますって感じじゃねぇけど。
 
「サクヤがいなければ、自分の子を腕に抱くことはできなかったんだ。それを考えたら……」
 
 確かに魔法省地下に幽閉だったよな。今でも十分、特殊環境だけど。
 
「ほら、赤ちゃんなんて抱き慣れてるだろう!」
 
 固まってたって先には進めねぇの。有無言わさず抱かせたら、今度は涙ぐんだ。
 
「サクヤが抱いてるより親子だ」
 
 そうだよな。オレの遺伝子どこに消えた?
 
「名前決めてるの?」
「まだ」
 
 フワフワの銀髪。この髪を見て思い出すのはあいつだ。ルイもカエデさんも癖がないからな。今も水晶と銀の鳥籠の中に囚われてる。そんな話を和やかにしてたら、背後で破壊音。あれ? 同じ日って珍しくないか? そう思って視線を向ければ、ユエとライカの卵も孵化した。慌ててユエが卵の元まで飛んで行って、結界を解除して抱き上げる。
 
「なんで金髪?」
 
 ユエが不思議そうに呟く。ユエは茶髪。ライカは黒髪。そうなると、どうなるんだ?
 
「ああ、俺の何代か前に金髪の人がいたよ」
 
 ライカが寄って行って一言言った。それで安心したユエ。黄色味が強い金髪。
 
 他の五つの卵も結界の中に入れねぇと。子供達も納得したしさ。
 
「この子は癒しの魔力が強いな」
 
 しかも男の子だ。俺の言葉にユエが不安気な表情をする。うん、でも、少しは状況も変わってるだろうしさ。
 
「なるようになるんじゃね?」
 
 その後、本当に大騒ぎで。子供達が孵化した子に群がってワイワイやってる。みんなもこんな赤ちゃんだったと言えば吃驚した顔で。ずっと続くこんな日常が、今では大切なんだって思える。
 
 
終わり。
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