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第五章 追う者、去る者
第五十五話 フラッグ革命団
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フラッグ革命団迎撃作戦当日。
俺はファーリちゃんとマーズさんを連れて、多くの冒険者が集まる前線へ向かう。
一方のロディアは闇魔法での後方支援に徹すると言っていたが、ガラテヤ様は後衛には向かな過ぎるとゴネにゴネたため、後衛が基本ではありつつも、戦況や攻撃方法によっては前線付近までやってくることも許可されたとのことだ。
また、ブライヤ村近辺における作戦の指揮は、宗教が倫理化して久しいため、小規模ではあるもののフィオレリア王国最大の宗教団体である「信奉者たち」の司教である「バネラウス・グリンドロット」と、冒険者ギルドベルメリア領支部長補佐である「サテレート・ポルクァッド」が行うとのことである。
どちらも相当な実力者として名を馳せた元冒険者であり、学園でもその名は知れ渡っている程の有名人である。
ラブラ森林から、何やらガサゴソと音が聞こえ始めた。
何十、何百羽もの小鳥が飛び立ち、木々の間に人影が見え始める。
「来るぞ……構えろ!飛び道具がある者達!各々、敵が射程に入った者から撃ち始めろーーーッ!」
バネラウス司教が号令をかける。
それと同時に、前衛の弓使いと魔法使い、そして後衛の長射程攻撃が可能な魔法使い達は、ラブラ深林の人影へ攻撃を始めた。
「喰らえええええええええッ!」
「うおおおおおおお!これが俺達の力だああああああ!」
血気盛んな冒険者達は、リソースの多くを注いだ魔法でラブラ森林へ絨毯爆撃の如く矢を放つ。
森の奥で悲鳴が聞こえても尚止まらない矢と魔法のカーテンは、雑兵の掃討には十分な効果を発揮しているようである。
俺も弓を構え、風を纏わせることでショートボウの短い射程を伸ばして矢を撃ち込む。
勢いを増し、誘導によって相手の足を正確に撃ち抜くことで行動不能にする。
命を奪わず戦力を削る、慈悲の矢である。
しかし俺は今日、初めて人を殺すことになるかもしれない。
出来る限りは殺さずに拘束する予定だが、相手によっては甘いことも言っていられないだろう。
そして当然、これで終わるとは思っていない。
これだけで終わるなら、本当に彼らが貴重な戦力であるバグラディを裏切った意味が分からなくなってしまう。
少なくとも各都市付近に散らばったフラッグ革命団の敵が雑兵だけで構成されているという訳でも無いだろう。
よほどの実力者を各地へ配置できる戦力的な余裕ができたのか、或いは裏があるのか……こちら側の情報量が多くない以上、あまり油断はできない。
本当に初動でリソースを使い切ってしまって大丈夫なのだろうかと、横でレーザーのようなものをブッ放している炎の魔法使いに聞いてみたいものだが……向こうは魔法の詠唱に夢中で、とても話せそうにない。
俺は構えた弓を下ろし、目を凝らしてラブラ森林を見つめる。
中で、奇妙な動きをしている人影が一つ、二つ……それ以上。
まるで死を恐れていないかのような……。
矢を一撃受けてその場に伏すような雑兵とはまるで違う。
それどころか、人間ですらないような気までする、あの雰囲気は何だろうか。
「【探る風】」
そよ風を吹かせ、それを耳に収束させることで、風の魔力をレーダーの要領で用いた索敵を行う。
あまり正確なものではないため、ざっくりとした位置しか把握できず、また多くの魔力を使う以上は多用もできないが……風の魔力を用いる以上、「どの辺りにいる存在がどれくらい強いか」ということを見抜くことには長けている。
そして、俺は確認した。
死を恐れない敵勢力の一部が何たるかを。
アレは人間ではない。
否、「人間ではない」というのは正確ではないが、少なくとも「一般的な人間」ではないのだ。
確かに人間でありながらも、その肉体は大きく戦闘に特化したものにさせられ、また精神も恐れを忘れたかのような冷静さ。
有り体に言うならば、「強化人間」と呼ぶのが相応しいだろうか。
恐らくは非人道的な方法で改造されたであろう、もはや在り方が人間とは少しズレてしまったものであった。
俺はファーリちゃんとマーズさんを連れて、多くの冒険者が集まる前線へ向かう。
一方のロディアは闇魔法での後方支援に徹すると言っていたが、ガラテヤ様は後衛には向かな過ぎるとゴネにゴネたため、後衛が基本ではありつつも、戦況や攻撃方法によっては前線付近までやってくることも許可されたとのことだ。
また、ブライヤ村近辺における作戦の指揮は、宗教が倫理化して久しいため、小規模ではあるもののフィオレリア王国最大の宗教団体である「信奉者たち」の司教である「バネラウス・グリンドロット」と、冒険者ギルドベルメリア領支部長補佐である「サテレート・ポルクァッド」が行うとのことである。
どちらも相当な実力者として名を馳せた元冒険者であり、学園でもその名は知れ渡っている程の有名人である。
ラブラ森林から、何やらガサゴソと音が聞こえ始めた。
何十、何百羽もの小鳥が飛び立ち、木々の間に人影が見え始める。
「来るぞ……構えろ!飛び道具がある者達!各々、敵が射程に入った者から撃ち始めろーーーッ!」
バネラウス司教が号令をかける。
それと同時に、前衛の弓使いと魔法使い、そして後衛の長射程攻撃が可能な魔法使い達は、ラブラ深林の人影へ攻撃を始めた。
「喰らえええええええええッ!」
「うおおおおおおお!これが俺達の力だああああああ!」
血気盛んな冒険者達は、リソースの多くを注いだ魔法でラブラ森林へ絨毯爆撃の如く矢を放つ。
森の奥で悲鳴が聞こえても尚止まらない矢と魔法のカーテンは、雑兵の掃討には十分な効果を発揮しているようである。
俺も弓を構え、風を纏わせることでショートボウの短い射程を伸ばして矢を撃ち込む。
勢いを増し、誘導によって相手の足を正確に撃ち抜くことで行動不能にする。
命を奪わず戦力を削る、慈悲の矢である。
しかし俺は今日、初めて人を殺すことになるかもしれない。
出来る限りは殺さずに拘束する予定だが、相手によっては甘いことも言っていられないだろう。
そして当然、これで終わるとは思っていない。
これだけで終わるなら、本当に彼らが貴重な戦力であるバグラディを裏切った意味が分からなくなってしまう。
少なくとも各都市付近に散らばったフラッグ革命団の敵が雑兵だけで構成されているという訳でも無いだろう。
よほどの実力者を各地へ配置できる戦力的な余裕ができたのか、或いは裏があるのか……こちら側の情報量が多くない以上、あまり油断はできない。
本当に初動でリソースを使い切ってしまって大丈夫なのだろうかと、横でレーザーのようなものをブッ放している炎の魔法使いに聞いてみたいものだが……向こうは魔法の詠唱に夢中で、とても話せそうにない。
俺は構えた弓を下ろし、目を凝らしてラブラ森林を見つめる。
中で、奇妙な動きをしている人影が一つ、二つ……それ以上。
まるで死を恐れていないかのような……。
矢を一撃受けてその場に伏すような雑兵とはまるで違う。
それどころか、人間ですらないような気までする、あの雰囲気は何だろうか。
「【探る風】」
そよ風を吹かせ、それを耳に収束させることで、風の魔力をレーダーの要領で用いた索敵を行う。
あまり正確なものではないため、ざっくりとした位置しか把握できず、また多くの魔力を使う以上は多用もできないが……風の魔力を用いる以上、「どの辺りにいる存在がどれくらい強いか」ということを見抜くことには長けている。
そして、俺は確認した。
死を恐れない敵勢力の一部が何たるかを。
アレは人間ではない。
否、「人間ではない」というのは正確ではないが、少なくとも「一般的な人間」ではないのだ。
確かに人間でありながらも、その肉体は大きく戦闘に特化したものにさせられ、また精神も恐れを忘れたかのような冷静さ。
有り体に言うならば、「強化人間」と呼ぶのが相応しいだろうか。
恐らくは非人道的な方法で改造されたであろう、もはや在り方が人間とは少しズレてしまったものであった。
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