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第七章 もう一度
断章 ツカノマ言行録
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気がつくと、そこには神がいた。
否、神のような、しかし神ではないものだ。
俺の目に映るそれは、マハト霊山で目にした、少年のような、少女のような存在。
「やあ、少しぶり」
椅子に座らされているのだろうか。
宇宙の中にいるような、しかし四肢が動くことはない。
俺はあれから、どうなってしまったのだろうか。
「びっくり箱のオモチャみたいな顔をしてもらってるところ悪いんだけど、ここじゃあ君は喋れないから、私のベシャリを聞いてもらうことになるネ」
クダリ仙人。
自分を神の別人格とかいう、ふざけた人だ。
「えー、結論から言うと、君は死にました。殺した人の正体は……まあ、分かってるよネ。でも、君は魂がまーだまだ不完全燃焼だから、生きてもらわなくちゃ困るんだよネ。それに、前の世界から引き継いだ数少ない魂を持つ存在だから。あの山で色々と世界の説明もしちゃったし、今回ばかりは、そう簡単に新しい身体に転生してもらう訳にはいかないのヨ」
何を言っているんだ、この人は。
「で、また結論から言うんだけど。これは、君が自分と……もう一人、君の大切な人が持つ力の秘密を識る鍵を使う、良い機会になったと思ってもらうことにするヨ」
そう言えば、あの山で言われたような気がする。
風の力を本気で引き出した時にのみ使える、あの妙な力の秘密を理解できる鍵を授ける、みたいな話。
まさか俺が死んだのは、クダリ仙人……もとい神が、運命を書き換えたから……?
だとしたら許せない。
このままでは、「如何にしてコイツの首を取るか」しか考えられなくなってしまいそうである。
「ああ、勘違いしないで。君の死に私は関係無いヨ。ホントホント。これマジ。っていうか、だったらわざわざこんな回りくどい殺し方しないし。ただ、『君の死』というマイナスに、少しだけプラスの価値を与えただけ」
確かに、言われてみればそうだ。
本当に神が存在するとして、クダリ仙人が本当に神の別人格であるとするならば、ただ糸を引きちぎるように命を絶てば良い話である。
「そんで、最後にもう一つ。ここからは朗報だヨ。……君の他に、その力を使える人が一人いたよネ?彼女はまだ未熟だけど、もしかしたら……何とかなるかもしれないよネー。よく分からないけどー」
変にしらばっくれないで頂きたい。
何がどうすれば、その朗報通りになると言うのだろうか。
おそらく今の俺に出来ることは無いのだろうが、それでも、詳しい内容を聞くと聞かないでは、今後への不安が大違いになる気がするのだ。
「いやあ、そんな聞かせる程のものでも無いヨ?だって、それが『できる』なら、できた瞬間に何が起こったか察しがつくハズだし。それで『できなかった』なら、聞いただけ無念ってものじゃん?」
そんなことを言われても、こちらにとっては死活問題であるが故に、聞きたくならないというのは少々無理があるというものである。
「それに理解してると思うけど、君にできることは何も無いし。だから、気長に待……おっと。どうやら、彼女は察しが良かったみたいだネ。それとも偶然かな?愛故?うーん、美しいネ」
感心している場合ではない。
「ま、そろそろ時間ってことだヨ。良かったネ、君の愛する人は、私の思っていたより凄い人だったみたいだったから」
さっきからこの人は本当に何を言っているのだ。
そして混乱する俺を置いて、クダリ仙人は遠くへ歩いて行ってしまう。
そもそも、クダリ仙人は何故ここまでして俺に付きまとっているのだろうか。
前世までの世界が「完成」したタイミングで捨てられるか、或いはその完成した世界とやらに保存しておけば良いものではなかったのか。
「あ、そうそう。最後の最後に。……良かったネ。色々と疑問は残っているだろうけど、私から言えるのは、それだけだヨ」
彼?彼女?がそう言い終わると同時に、俺の視界へ眩い光が入り込んだ。
すると。
「……えっ、何だこれ」
俺は視界いっぱいに埋め尽くされた箱の中で横たわり、周囲からたくさんの泣き声が聞こえているところであった。
否、神のような、しかし神ではないものだ。
俺の目に映るそれは、マハト霊山で目にした、少年のような、少女のような存在。
「やあ、少しぶり」
椅子に座らされているのだろうか。
宇宙の中にいるような、しかし四肢が動くことはない。
俺はあれから、どうなってしまったのだろうか。
「びっくり箱のオモチャみたいな顔をしてもらってるところ悪いんだけど、ここじゃあ君は喋れないから、私のベシャリを聞いてもらうことになるネ」
クダリ仙人。
自分を神の別人格とかいう、ふざけた人だ。
「えー、結論から言うと、君は死にました。殺した人の正体は……まあ、分かってるよネ。でも、君は魂がまーだまだ不完全燃焼だから、生きてもらわなくちゃ困るんだよネ。それに、前の世界から引き継いだ数少ない魂を持つ存在だから。あの山で色々と世界の説明もしちゃったし、今回ばかりは、そう簡単に新しい身体に転生してもらう訳にはいかないのヨ」
何を言っているんだ、この人は。
「で、また結論から言うんだけど。これは、君が自分と……もう一人、君の大切な人が持つ力の秘密を識る鍵を使う、良い機会になったと思ってもらうことにするヨ」
そう言えば、あの山で言われたような気がする。
風の力を本気で引き出した時にのみ使える、あの妙な力の秘密を理解できる鍵を授ける、みたいな話。
まさか俺が死んだのは、クダリ仙人……もとい神が、運命を書き換えたから……?
だとしたら許せない。
このままでは、「如何にしてコイツの首を取るか」しか考えられなくなってしまいそうである。
「ああ、勘違いしないで。君の死に私は関係無いヨ。ホントホント。これマジ。っていうか、だったらわざわざこんな回りくどい殺し方しないし。ただ、『君の死』というマイナスに、少しだけプラスの価値を与えただけ」
確かに、言われてみればそうだ。
本当に神が存在するとして、クダリ仙人が本当に神の別人格であるとするならば、ただ糸を引きちぎるように命を絶てば良い話である。
「そんで、最後にもう一つ。ここからは朗報だヨ。……君の他に、その力を使える人が一人いたよネ?彼女はまだ未熟だけど、もしかしたら……何とかなるかもしれないよネー。よく分からないけどー」
変にしらばっくれないで頂きたい。
何がどうすれば、その朗報通りになると言うのだろうか。
おそらく今の俺に出来ることは無いのだろうが、それでも、詳しい内容を聞くと聞かないでは、今後への不安が大違いになる気がするのだ。
「いやあ、そんな聞かせる程のものでも無いヨ?だって、それが『できる』なら、できた瞬間に何が起こったか察しがつくハズだし。それで『できなかった』なら、聞いただけ無念ってものじゃん?」
そんなことを言われても、こちらにとっては死活問題であるが故に、聞きたくならないというのは少々無理があるというものである。
「それに理解してると思うけど、君にできることは何も無いし。だから、気長に待……おっと。どうやら、彼女は察しが良かったみたいだネ。それとも偶然かな?愛故?うーん、美しいネ」
感心している場合ではない。
「ま、そろそろ時間ってことだヨ。良かったネ、君の愛する人は、私の思っていたより凄い人だったみたいだったから」
さっきからこの人は本当に何を言っているのだ。
そして混乱する俺を置いて、クダリ仙人は遠くへ歩いて行ってしまう。
そもそも、クダリ仙人は何故ここまでして俺に付きまとっているのだろうか。
前世までの世界が「完成」したタイミングで捨てられるか、或いはその完成した世界とやらに保存しておけば良いものではなかったのか。
「あ、そうそう。最後の最後に。……良かったネ。色々と疑問は残っているだろうけど、私から言えるのは、それだけだヨ」
彼?彼女?がそう言い終わると同時に、俺の視界へ眩い光が入り込んだ。
すると。
「……えっ、何だこれ」
俺は視界いっぱいに埋め尽くされた箱の中で横たわり、周囲からたくさんの泣き声が聞こえているところであった。
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