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第八章 終末のようなものについて
第百十二話 鍾乳洞に巣食うもの
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アドラさんとメイラークム先生に馬車の警備を任せ、俺達は鍾乳洞へ入っていった。
マーズさんとバグラディが松明を持ち、ファーリちゃんとケーリッジ先生が電気もとい光の力を使って、前後を照らす。
入り口こそ広かったものの、少し歩けば一気に中は狭くなり、鍾乳石も相まって、二列になって歩くことも難しい程であった。
幸か不幸か、この洞窟は知名度こそ低くないものの、中へ入ったという話はほとんど出回っていない。
また、他の鍾乳洞についてもあまり探索が進んでいないようであり、そのせいなのか、鍾乳石の価値については知られておらず、またそれを保護する法律も無い。
故に、鍾乳石に頭をぶつけて折ってしまったら犯罪者になる……などということは無いようだ。
しかし、この世界における鍾乳石が、前世までの世界と同じ成分だけで構成されている鍾乳石なのか、また洞窟内の他の物質や魔物に与える影響が如何なるものなのか……という情報も無いため、未知の要素が増えてしまったということになるだろう。
いずれにせよ、慎重に進まなければならないということだ。
前を見ると、ファーリちゃんが小柄な身体を活かして先導してくれている。
本人はコンプレックスに思っていたようだが、それはそれで悪いことばかりとは限らないのである。
「……んぅ?みんな、ちょっと止まって」
ファーリちゃんが右手を真っ直ぐ伸ばし、静止する。
「何があったのだ?」
「この先、ちょっと広くなってる」
「へぇ。早くもお宝発見?」
「ケーリッジ先生、油断はいけませんぞ」
「何か、動くものがいる。数は……!いっぱい!!!」
ファーリちゃんは、開けている場所から近づいてくる大量の「動くもの」をいち早く察知したが、どうやら向こうはそれよりも先に、俺達の存在に気づいていたらしい。
「皆、戦闘準備を!」
「オイオイ、冗談じゃねェ!」
ガラテヤ様の号令と共に、それぞれ戦闘体制へ入る。
俺達側の道は「動くもの」が向かってくる方向の道よりも開けておらず、どうにも戦いにくい、不利な状況での戦闘開始。
道の狭さから、その地形がそのまま各個撃破されるおそれへ繋がる。
また、敵が大量に雪崩れ込んでくること明白である以上、一対多よりも一対一に向いている俺やムーア先生、爆風による洞窟の崩壊を招く可能性があるガラテヤ様、洞窟に火を放ってしまう可能性があるバグラディ、また空間を広く使った高速戦闘を得意とするファーリちゃんとっては、より一層厳しい状況であった。
「ここは私に任せなさい。パワードスーツは装着していないけれど、それでも数が多いだけの雑魚相手なら、これで十分よ」
ケーリッジ先生は、左脚を引きずりながら前へ立ち、長弓ではなくクロスボウを構える。
ケーリッジ先生が瞬時に纏った雷に照らされたのは、洞窟の壁に詰まる程に数が多い、紫色の肌をもつゴブリン。
魔物学の講義で「洞窟ゴブリン」と呼ばれていたそれは、肌の色以外に一般的なゴブリンと差は無いが、普通のゴブリンよりも、より群生を好むという性質を持つらしい。
しかし、狭い空間で弓を構えたケーリッジ先生の前に、洞窟ゴブリンの群生ごときが為す物量は無力に等しい。
「……【雷電飛矢】」
ケーリッジ先生のクロスボウから放たれた矢は、彼女が纏っていた雷を吸収し、ゴブリンの群れへ。
その衝撃は壁を伝い、洞窟を大きく揺らしはしたものの、その壁が崩壊することは無く。
ただ百体を超えるであろう数のゴブリンを、一瞬にして焦げ臭い肉塊へ変えただけであった。
マーズさんとバグラディが松明を持ち、ファーリちゃんとケーリッジ先生が電気もとい光の力を使って、前後を照らす。
入り口こそ広かったものの、少し歩けば一気に中は狭くなり、鍾乳石も相まって、二列になって歩くことも難しい程であった。
幸か不幸か、この洞窟は知名度こそ低くないものの、中へ入ったという話はほとんど出回っていない。
また、他の鍾乳洞についてもあまり探索が進んでいないようであり、そのせいなのか、鍾乳石の価値については知られておらず、またそれを保護する法律も無い。
故に、鍾乳石に頭をぶつけて折ってしまったら犯罪者になる……などということは無いようだ。
しかし、この世界における鍾乳石が、前世までの世界と同じ成分だけで構成されている鍾乳石なのか、また洞窟内の他の物質や魔物に与える影響が如何なるものなのか……という情報も無いため、未知の要素が増えてしまったということになるだろう。
いずれにせよ、慎重に進まなければならないということだ。
前を見ると、ファーリちゃんが小柄な身体を活かして先導してくれている。
本人はコンプレックスに思っていたようだが、それはそれで悪いことばかりとは限らないのである。
「……んぅ?みんな、ちょっと止まって」
ファーリちゃんが右手を真っ直ぐ伸ばし、静止する。
「何があったのだ?」
「この先、ちょっと広くなってる」
「へぇ。早くもお宝発見?」
「ケーリッジ先生、油断はいけませんぞ」
「何か、動くものがいる。数は……!いっぱい!!!」
ファーリちゃんは、開けている場所から近づいてくる大量の「動くもの」をいち早く察知したが、どうやら向こうはそれよりも先に、俺達の存在に気づいていたらしい。
「皆、戦闘準備を!」
「オイオイ、冗談じゃねェ!」
ガラテヤ様の号令と共に、それぞれ戦闘体制へ入る。
俺達側の道は「動くもの」が向かってくる方向の道よりも開けておらず、どうにも戦いにくい、不利な状況での戦闘開始。
道の狭さから、その地形がそのまま各個撃破されるおそれへ繋がる。
また、敵が大量に雪崩れ込んでくること明白である以上、一対多よりも一対一に向いている俺やムーア先生、爆風による洞窟の崩壊を招く可能性があるガラテヤ様、洞窟に火を放ってしまう可能性があるバグラディ、また空間を広く使った高速戦闘を得意とするファーリちゃんとっては、より一層厳しい状況であった。
「ここは私に任せなさい。パワードスーツは装着していないけれど、それでも数が多いだけの雑魚相手なら、これで十分よ」
ケーリッジ先生は、左脚を引きずりながら前へ立ち、長弓ではなくクロスボウを構える。
ケーリッジ先生が瞬時に纏った雷に照らされたのは、洞窟の壁に詰まる程に数が多い、紫色の肌をもつゴブリン。
魔物学の講義で「洞窟ゴブリン」と呼ばれていたそれは、肌の色以外に一般的なゴブリンと差は無いが、普通のゴブリンよりも、より群生を好むという性質を持つらしい。
しかし、狭い空間で弓を構えたケーリッジ先生の前に、洞窟ゴブリンの群生ごときが為す物量は無力に等しい。
「……【雷電飛矢】」
ケーリッジ先生のクロスボウから放たれた矢は、彼女が纏っていた雷を吸収し、ゴブリンの群れへ。
その衝撃は壁を伝い、洞窟を大きく揺らしはしたものの、その壁が崩壊することは無く。
ただ百体を超えるであろう数のゴブリンを、一瞬にして焦げ臭い肉塊へ変えただけであった。
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