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終章 ガラテヤの騎士、ジィン
第百五十話 訪れた未来
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バグラディは席につき、手招きをする。
俺とガラテヤ様、そしてファーリちゃんも不思議そうに顔を見合わせながら席へついた。
「何でお前がここに?勾留中か何かじゃなかったのか?」
「それがよォ。一緒に『果て』に行った先生達が話を通してくれたみてェなんだよ。ほら……アレだ。コネがあるだろ?ソレだよ」
「へぇ、そうなの。本人達の世間的な評価が高いっていうのは分かるけど……意外と政治の力って簡単に使えるものなのね」
「そうみてェだな。元々、そういう力を無くそうと躍起になっていたオレとしちゃア、複雑だが……背に腹は代えられねェさ」
バグラディは、食堂のカウンターから持ってきた、ゴルドバッファローのトマト煮込みを口へ運びながら、不服そうな表情をしている。
「それで……とりあえず自由の身になったは良いとして、よりによってここに来たのは何故かしら?」
「……マーズが生活していた環境を、じっくりと見る機会が欲しかったんだ。情けねぇだろ。未練たらたらでよ。オレはお前らほど、アイツと一緒にいたわけでも無ェってのに。毎日、アイツの墓に顔を出さねェと不安になっちまう。……どうにかなっちまったんだろうな、オレは」
「バグラディ……マーズお姉ちゃんのこと、そこまで」
「ああ、正直に言う。オレはアイツのことが好きだったし、今でも好きだ。アイツの死に際に言ったことは、全部本心から漏れたものだ。三億ネリウス賭けたって良い」
「……そう」
「だが、アイツは死んじまった。……アイツがいなくても、世界は普通に進んでいくんだぜェ?残酷なモンだよなァ」
「……そう、だね。ねぇ、そういえば、あのロディアが言ってた『天国』って……何なんだろう?」
「さァな?神が思った通りに人間達を支配するための場所……みてェなことは言ってたような気はするがなァ。正直、眉唾だろうな」
「……そうだと、良いんだけどな」
ロディアが遺していった、あの言葉。
あいつが死んでしまった以上、本人にその言葉の意味と真偽を聞くことはできない。
勿論、こちらを動揺させるために、適当なことを言っていただけかもしれない。
だがあいつは、わざわざあの状況で、いくらでも俺達に攻撃を仕掛けることができたにもかかわらず、その時間を割いてまで、こちらに忠告をしたのだ。
ロディア・マルコシアスという男は、あれほど緊迫した場面で、無駄な行動をるような男だっただろうか?
小賢しく悪趣味なやつではあったが、俺にはあの言葉が、全て本当ではなくとも、完全に嘘だとは思えなかったのだ。
昼食を食べ終えた俺達は、午後の講義を受け、またバグラディが仮の住処としている教会の位置を聞いた後、各々の寮へ戻る。
そして眠りについたのだが……問題が起きたのは、その翌日、朝目覚めてすぐのことだった。
「何が、起きているんだ……?」
講義棟へ向かおうとした俺の視界に映っていたのは、まるで時間が止まったかのように、止まって動かない学生達。
頬を掠める生温かい風が、慌てる俺を宥めようと、そして少し嘲笑ってやろうと、髪を揺らしたのだった。
俺とガラテヤ様、そしてファーリちゃんも不思議そうに顔を見合わせながら席へついた。
「何でお前がここに?勾留中か何かじゃなかったのか?」
「それがよォ。一緒に『果て』に行った先生達が話を通してくれたみてェなんだよ。ほら……アレだ。コネがあるだろ?ソレだよ」
「へぇ、そうなの。本人達の世間的な評価が高いっていうのは分かるけど……意外と政治の力って簡単に使えるものなのね」
「そうみてェだな。元々、そういう力を無くそうと躍起になっていたオレとしちゃア、複雑だが……背に腹は代えられねェさ」
バグラディは、食堂のカウンターから持ってきた、ゴルドバッファローのトマト煮込みを口へ運びながら、不服そうな表情をしている。
「それで……とりあえず自由の身になったは良いとして、よりによってここに来たのは何故かしら?」
「……マーズが生活していた環境を、じっくりと見る機会が欲しかったんだ。情けねぇだろ。未練たらたらでよ。オレはお前らほど、アイツと一緒にいたわけでも無ェってのに。毎日、アイツの墓に顔を出さねェと不安になっちまう。……どうにかなっちまったんだろうな、オレは」
「バグラディ……マーズお姉ちゃんのこと、そこまで」
「ああ、正直に言う。オレはアイツのことが好きだったし、今でも好きだ。アイツの死に際に言ったことは、全部本心から漏れたものだ。三億ネリウス賭けたって良い」
「……そう」
「だが、アイツは死んじまった。……アイツがいなくても、世界は普通に進んでいくんだぜェ?残酷なモンだよなァ」
「……そう、だね。ねぇ、そういえば、あのロディアが言ってた『天国』って……何なんだろう?」
「さァな?神が思った通りに人間達を支配するための場所……みてェなことは言ってたような気はするがなァ。正直、眉唾だろうな」
「……そうだと、良いんだけどな」
ロディアが遺していった、あの言葉。
あいつが死んでしまった以上、本人にその言葉の意味と真偽を聞くことはできない。
勿論、こちらを動揺させるために、適当なことを言っていただけかもしれない。
だがあいつは、わざわざあの状況で、いくらでも俺達に攻撃を仕掛けることができたにもかかわらず、その時間を割いてまで、こちらに忠告をしたのだ。
ロディア・マルコシアスという男は、あれほど緊迫した場面で、無駄な行動をるような男だっただろうか?
小賢しく悪趣味なやつではあったが、俺にはあの言葉が、全て本当ではなくとも、完全に嘘だとは思えなかったのだ。
昼食を食べ終えた俺達は、午後の講義を受け、またバグラディが仮の住処としている教会の位置を聞いた後、各々の寮へ戻る。
そして眠りについたのだが……問題が起きたのは、その翌日、朝目覚めてすぐのことだった。
「何が、起きているんだ……?」
講義棟へ向かおうとした俺の視界に映っていたのは、まるで時間が止まったかのように、止まって動かない学生達。
頬を掠める生温かい風が、慌てる俺を宥めようと、そして少し嘲笑ってやろうと、髪を揺らしたのだった。
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