ヒロインはどこに行った?

一零

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侯爵令息のお仕事1年間と少し・前編

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 結婚できるまであと4年。憂鬱な学園生活が迫った1年前。
 婚約解消したいとクラリベルが叫んでいたと聞いてから、僕は早く彼女を囲うために動きだした。
 ハミルトン侯爵にクラリベルの安全を確保するためにすぐに結婚したい、それができなければせめて同じ領地内に住めるようにしてほしいと頼んだ。けれど、1番にクラリベルの合意がほしいこと、下手をすれば結婚を急いだことによってよくない輩に目をつけることになること。何より過激派の多い第二王子派と第三王子派が警戒する可能性を指摘されて、了承をもらえなかった。
 卒業まで時間があるから、それまでにクラリベルが結婚したいと思ってもらえるように頑張るしか方法がなかった。

 しかも、焦る僕をよそに彼女は一般の学園を受けようとした。それを妨害したことが原因か一時期彼女が体調を崩してしまったときは肝が潰れる思いもした。病で布団に丸まったクラリベルも可愛いけれど心配だった。毎朝、放課後せっせとお見舞いにいくうちに彼女が元気になってくれて本当に良かった。

 彼女から婚約解消をねだられた時は正気を保つのが大変だった。クラリベルが可愛いから許せたようなものだ。
「両家の繁栄」とか「王家と神殿から2つの婚約書類を解かないといけない」とか「お兄さんたちの手助けはどうするの?」とかその度に言いくるめてきた。彼女が口回しが苦手で本当によかった。
 困った顔のクラリベルの写真は少ないから、写真集が増えたことは嬉しいけれど複雑だった。
それ以外でも、理由をつけては無邪気に彼女が笑って逃げ出そうとするから、監視する目を増やすしかなかった。おかげで入学が迫った頃には、クラリベル写真集は50冊を超えたのは予想外の報酬だと思う。改良中の声を保存して置ける風の魔石は、邪魔な声が入ってしまうので、クラリベル録音石の数はまだ30個ほどしかない。
 僕の部屋の中に貼られたクラリベルは今日も可愛い。


 中立派の両親の思惑とは別に、僕自身がミドルスクールですでに第一王子を時期王として見定めて忠誠を誓った。
 彼は見返りにクラリベルに手を出さないと宣誓書をくれたからだ。
 僕自身は密かに第一王子派に所属していたけれど、第二王子派のスパイとして名乗りをあげた。これから入学する学園内には第二王子派の子息が数多くいた。
魔導の道で既に高い評価を貰っていたから、第二王子派から偉そうに上から見下す言葉つきで歓迎された日は今でも憎しみと同時に思い出せる。

「俺を支持するのなら、ついでにハミルトン嬢との婚姻も俺に献上してもいいんだぞ?」

 冗談交じりとは言え、第二王子に笑いながら言われた日。忌々しい第二王子を軽蔑した日だった。
 そうして潜入に成功した僕は3つ目の侯爵家の推薦を第一王子派のある侯爵から褒賞として仮推薦状を貰った。第二王子派を1人でも蹴落とせれれば、そのまま推薦状になる。

 第二王子派の子供たちが、ほぼ僕と同じ年代だったから怪しまれずに任務を遂行できた。
 公爵になるための仕事は膨大で、学園内は録音石と記録機能の付いた文字通り「影」で作った分身を影武者として使った。影武者と僕はたまにしか入れ替わらず、学園にはほとんど行っていない。生身の僕が行くよりも、分裂してそれぞれの子息子女を見張って記録しておける影武者の方が有利な情報が手に入ったし、隠れるのも簡単だった。
クラリベルが「影」の僕に近づいたらどうしようかと心配したけれど、賢い彼女は何かを察したのか、学園内では近づいてこなかった。「影」の僕と僕より仲良くしてたら、僕に学園にいけないほど仕事下さる第一王子をどうしてくれようか、何て心配は要らなかったらしい。勘の鋭いクラリベルも可愛い。

 影武者の記憶から学園内では第二王子派たちと「僕」の講義が、クラリベルと被らなかったと知ってほっとした。巻き込みたくないんだ。
 念のため、クラリベルの姿も僕と影が触れている間は見えない様に、学園内に目くらましの魔道具をあちこちにセットした。もしこれで学園内で僕と彼女が接触してもそこまで目立つことはない。できれば学園内に婚約者だと知らしめたかったけれど、それで彼女の身に何か起きるリスクを考えればこれが妥協点だった。
この目くらましの魔道具にも記録できる機能をつけたら、クラリベルの可愛い制服姿が撮れたし、第二王子派の貧民いじめや暴行事件が撮れたから笑いが更に止まらない。どこまで第二王子は見る目がないだろう。

 入学して数日で、第三王子派のスパイ疑惑のある女性、ヒローナ・アイシスが年齢と身分を偽って特待生として入ったこと、第二王子派と接触していることに気が付いた。
当然、僕にも接触してこようとした記録がある。馴れ馴れしくべたべた接触してくる女性に気持ち悪さを感じていたから、影武者でよかったと心から思った。警告している現場や接近し過ぎによる不敬罪としての証拠写真が手に入ったけど不本意だ。

 スパイ疑惑の女性ヒローナ・アイシスは、僕が第一王子からの命令で、資金稼ぎに闇市へ流した惚れ薬もどきの薬を全てつけていた。
 流石の第二王子派も数人を除いて惚れ薬もどきの対策をしていたのか彼女の正体に気が付いた。この国の隠れた貴族ルール、味方と判断しない者には自身の婚約者たちの名前を聞かれても敢えて正しく伝えず、間違えて伝えるなどの対策を取り出した。
 まともな令嬢ならこの段階で、名前の間違いに気が付くし、そこから何故そう伝えたか、どの派閥なのか、警告かなどの裏の意味を読む。でも、ヒローナ嬢は間違いに気づかなかったし、惚れ薬もどきの使用を続けた。
だから第二王子派は、ヒローナ嬢をハニートラップ刺客と判断した。僕も第一王子にそう報告を上げた。双方一致の派閥相手を排除するネタ要因として、影の僕もヒローナ嬢の弱みを握るべく囲い込みすることになったのだ。

 惚れ薬の完成品はクラリベルに使うために何処にも流出させていない。できれば、一生あの薬を使う日がこないことを願って戸棚の奥にしまっている。何とか薬を使うことなく卒業後の結婚まで持ち込みたい。

 ヒローナは見た目を、幻覚装置の入ったブローチで15歳ほど若返った姿をとっていた。
実年齢は、学園に入学できない年だ。他の学校と違っての教育だけに力を入れている国立学園は、成人した者を学生としていれない規則になっているから明らかな不正だ。

 それにしても、実験がてら貸し出して行方不明になったものが彼女の胸元を飾っているのを見た時は思わず映像を二度見した。盗んだものはかなり手練れの盗人だとは聞いていたけれど、こんなところで尻尾が見つかるとは思わなかった。

 余談だけど、僕の婚約者についても聞かれたから「クランベリー嬢だよ」と影にうそぶかせてみたら「千里眼の先回り悪女クラリベルじゃないの?原作と違う…」とわけのわからないことを言っていた。さすがに「クラリベルに千里眼のことを知らせてはいけない」という王命を知っている第二王子も宰相の息子もギョッとしてクラリベルについてフォローしている面白い映像が見れた。
 スパイ疑惑の女の記憶なんていじってしまえばいいのだから、そこまで焦っていないけれど可愛い彼女を悪女呼ばわりは許せなかった。千里眼のこと自体がほぼ極秘な情報だから、これでヒローナ・アイシスのバックにでっかい獲物がいるのは確実になった。第一王子からも泳がせろと命令を受けていたから、少し我慢しよう。獲り物が終わったら是非とも初の人体実験相手に貰えないか打診しようっと。密かにそんなことを決意した。



日曜日
 第二王子の女性防波堤を担う伯爵家の末っ子ヴィント・サップシャーの動向を探るために鷹狩りに参加したら、クラリベルがいて幸せだった。

「どうしてもお兄様たちと離れたくなかったの」

 恥ずかしいそうな彼女がはにかんで笑うから、狩りについての危険を注意できなかった。むしろ甘えん坊な一面がみれて嬉しい。恥ずかしそうな彼女の顔を見ていると彼女の実の兄君たちへの嫉妬の感情すらも消えてしまう。
 僕は命中率が悪いから、予め準備した矢じりの先に魔道具をセットしたものを準備してきた。矢じりに魔力を込めて放つと、僕の視線の先にあるもの目掛けて、当たるまで真っ直ぐに飛ぶ装置だ。これで狙ったものに大体当たってくれる。一応、まだ試作の段階だから内密の魔道具だ。
 僕のしょぼい腕に対して、クラリベルは狩りの才能もあったらしく、最初に獲物を外した以外は100発100中だった。血や殺生に怯えることなく、楽し気に狩りの知識を吸収していく女性の姿は新鮮だったらしい。同じ学園のものから独身貴族まで、クラリベルに群がる虫を駆除するのが兄君たちと総出で動いても大変だった。
 特に、狩りの伝統を語りながら唾を飛ばし、話に集中し過ぎて鼻先までクラリベルに近づこうとした愚か者と、マナー違反を出汁に軽くとはいえ教鞭で彼女を何度も叩く輩は最初に警告がてら矢を打ち込んだ後は、狩り用テント裏に呼び出して丁寧にお話をした。
 少し苛立ってことを急いだせいで、この様子をヴィントに見られてしまった。

「普段ぽやっとしたエリオットお坊ちゃまが、こんなに怒るってことはハミルトン嬢のことよっぽど好きなんだね。なんなら俺が君と彼女の接点を増やしてあげようか?」
「結構だよ。僕の気持ちがわかったなら彼女に近づかないでくれるかい?頷いてくれないならー」
「あぁ、わかった、わかった。そんな怖い顔で弓を構えないでくれよ。俺だってそこまで女性に困ってないからさぁ、弓を下ろしてくれ」

 ニヤニヤと笑って、きざったらしく長い髪をはらって笑うヴィントに更に矢を絞って脅しをかけたけれど意味は無かった。むしろ逆効果で、彼女にちょっかいを何回も掛けだした。僕の方を見ながら、何回もクラリベルに迫る様は、クラリベルの兄君たちに止められなかったら殺していたかもしれない。
 近づくなと何回も警告もしたのに、日曜日が来る度に僕の反応を喜んでどんどん悪化した。

 殺意で狩りの腕が本当にあがっていく日々がくると思わなかった。
 
 それから怪我の功名で、ヴィントは悪ふざけできる仲だと誤解して心を開くようになった。
 彼は僕にじゃれているつもりらしい。クラリベルを口説くところを、矢で何回威嚇しても意味がない。律儀に毎度、僕の“お話”の呼び出しに応じるところを見ると本当に遊んでいるつもりなのだ。
邪魔でしょうがない。こんなやつとは全く仲が良くなったわけではないし、なるつもりもない。
 でも、第一王子の命令通りヴィントの情報は集めやすくなった。
 第二王子の女性避けの為に「女ったらし」という役を買っていると聞いていたが、趣味半分だったし、構ってくれるならだれでもよかっただけの寂しがり屋のようだ。深い政治目的は見つからなかった。ただ、ただ鬱陶しいタイプ。

 恐らく、第一王子はヒローナ嬢を第二王子にぶつけてまとめて排除する作戦を有効か調べることが目的のようだ。その為にはヴィントが邪魔なのだろう。

さっさと始末する命令をくれれば良いのに。



月曜日
 ボランティア講師に参加した影武者からクラリベルがきたことの記憶映像を貰ってからは、僕自身が参加する日を増やした。講師の仕事を理由に勉強会を提案したら、最初は渋っていたけれど了承を貰えた。学園に入学するまでは、ほとんど毎日してきた勉強会がまたできると思うと胸が弾む。今までは、両親に言われるままに義務的に接してきた貧民街の子供たちのことすら大事に思えてきたから、クラリベルは凄い。
 危険伴う貧民外でも活動する彼女が愛しかった。何回か人攫いに遭いかけても決して心折れずに子供たちに学を教え、バザーなどの企画を立ち上げて貧民街をたった1年で商店街に見えるほど豊かに変えていった彼女は支持者が多い。どんな怖い目にあっても、人助けを続ける心優しい彼女が好きだ。
 彼女を攫おうとした愚か者たちは、全員魔道具で回収して第一王子に突き出している。派閥争い関係2割、金銭目的8割なのはわかっていたけれど、貧民街の現状を知ってもらうには良い材料だった。
 続く事件でハミルトン夫妻は何とかクラリベルに講師の仕事を辞めさせようとしたかったらしいけれど、彼女自身が子供たちの気持ちを無下にできないと逆に説得されてしまっていた。
 彼女の両親の心配を汲んで、よく狙われるクラリベルの為に作った魔道具、子機を対象につけて親機を作動させるとどこにいるかわかる道具を開発したら、子供を持つ親の人たちに高評価を貰ってヒット商品になった。せっかくだから、貧民街にも僕の魔道具店を1つを開店してみた。町おこしの目玉になるべく、計算を覚えた者たちから店員として使っていったら、上手く軌道にのってくれて、僕の貧民街の評価も上がっていった。少しは彼女の評判に追いつけただろうか。人に囲まれているクラリベルは眩しくて、綺麗だった。



火曜日
 ハミルトン侯爵から依頼を受けて、葡萄を使ったあたらしい事業の開拓をするべく、話し合った末にブランデーの製造に乗り出したら、クラリベルが葡萄畑の手伝いにくることがわかった。
 ハミルトン侯爵がそれとなくクラリベルに葡萄畑の手伝いの話を振って、卒業まで火曜日だけでも安全かつ僕と交流できるように図らってくれたそうだ。かなり有難い。

 ほっかむりを被るクラリベルも可愛い。
 下手に何処かの領地のお茶会に行かれると、今の時期は派閥争いに巻き込まれる可能性があるから、1日でも安全な自分の領地にいてくれるなら気が休まる。彼女自身も強く手伝いを希望したと聞いたから、もしかしたらクラリベルは内乱手前の派閥争いに気がついているかもしれないと思った。聡い彼女はどこまで気がついているのか。
 貧民街の誘拐対策で作った魔道具は、葡萄畑で何度も迷子になった彼女を見つけるのにも役にたった。ついでに、どこにいても彼女を見つけられる僕の婚約者としての評価は、ハミルトン領の葡萄畑で働く人たちからうなぎ上りになった。

「許婚の絆が深い」
「辛抱強く探せる根気がある」
「見渡す力に長けているのだろう、目をつけられたら終わりだ!」
だとか、最後はちょっと気になる評価だけれど概ね好評といえる。

 手荒れを心配していたクラリベルに以前から開発していた最新のボディクリームを送ったら、感謝の手紙を貰った。手紙の言葉に気をよくした僕は研究に集中できて、『自動でワインを蒸留してくれる装置』と『長期間熟成させても周囲の影響を受けず、温度を保てる樽』を半年ほどで開発した。
 その間に、学園でクラリベルが女生徒たちにグリフィズ領産のボディクリームを広めてくれていた。半年でボディクリームの販売ラインも増やすことができて、今度は僕が感謝の手紙を送った。クラリベルは商売の才能もあることがわかって、結婚の楽しみが増えた。多才な彼女も愛おしい。



水曜日
 寄付金の関係で懇意にしていた神官長からクラリベルが週一で神殿の手伝いを申し出ていることを聞いた。せっかくなので、僕の訪問日と彼女の仕事が同じ日になるよう手を回して貰った。学園で会えなくても、彼女に会える日が増えるなんて最高だ。仕事を終えた彼女を送る時間は、嫌な仕事の時間を忘れさせてもらった。
 貴族嫌悪する人間の多い神殿での僕の扱いは、冷ややかな視線と煙たがる態度から始まった。推薦状を貰うためと割り切っていたけれど、中々にきつい仕事だった。

 でも侯爵令嬢であるクラリベルが神殿の人間と仲良くなり、受付では見事な来場者捌きの功績をあげていることから、徐々に貴族嫌悪よりの神官たちが僕に緩和になった。 
 彼女が将来を見据え、一年前から神殿で働く準備していたことを聞いて誇らしかった。

 決定的だったのは、貴族反対派で荒い気性の若い修道士長がクラリベルと親しく話していたことに嫉妬して、探りにいったことで起きた事件だ。
 修道士長とクラリベルの可愛いさについてどっちが詳しいか、口喧嘩を神殿内で行い、そのまま町にくり出した事件。
 酒場に引きずり込まれて、嫌々ながら相手の長い話を聞いてみると、修道士長はクラリベルを大事に思ってくれている人物だった。1年前に見習い巡回修道士を務めている時にクラリベルに神殿の仕事の話を何度もせがまれたことがきっかけで、巡回で会うたびに面倒を見ていたらしい。羨ましいことに随分とクラリベルに懐かれていて、彼もクラリベルを妹のように思っていた。もしも、彼女の身に何かあったらどんな状況でも神殿で引き取る覚悟も決めていた。

「僕がクラリベルを幸せにするから、そんな日は絶対にこない」

きっぱり断言したら、お酒が飲めない未成年の僕に酒を勧めてきた挙句(断った)

「彼女の良いところを500以上あげれるお前さんなら、妹のように可愛がっていたクラリベルちゃんを嫁にやってもいい」

とへべれけになって号泣しながら言わせた日から神殿内の目が暖かくなった。

「人前であれだけ愛を叫べれるなんて貴族にしては珍しく愛妻家になりそう」
「あの荒い気性の神官長を泣かせられるやばいやつ」
「真面目なハミルトン嬢を選んだ人物なら大丈夫なのでは?」

などの評判がついて、いけすかない貴族の息子という印象から大分相手の見方が変わった。

 クラリベルを通して、神殿の人間が話を聞いてくれるようになって良い展開に転んでいる。このまま行けば、神殿の推薦状がとれそうだ。上手くいきすぎて、神殿の件は全てがクラリベルの策略で、僕は彼女の掌の上なのでは?と、考えてしまって自分の中の新しい扉にドキドキした。可愛いクラリベルに支配されるなんて最高だ。
どうか僕と彼女の間に運命があってくれ。




合間に思ったこと
 いくつもの捜査と現場証拠をとるための潜入先十数個の中で、バイオリン、チェス盤を愛する会、かつら投げ紳士淑女の会から宝石鑑定会、星を愛する天文学など意外な分野でいくつかクラリベルと影たちが会った。不思議なことに本体の僕がクラリベル会いたさに二度目からは参加しようとすると、クラリベルが訪れることがなかった。何かを探しているようにもとれるけれど、もしかしたら、だんだんクラリベルが僕と影の見分けがつくようになってきていて、影の潜入先は危険と判断してくれているのではないかと思った。
 今まで誰も、それこそ両親すらも見分けの付かなかった影と僕を見分けれるようになっているのだとしたら、クラリベルが愛しすぎる。素晴らしい人だ、大好きだ。

 数か月かけて影分身からつくる影武者を改良したら、2人に増やせるようになった。やっとこの複雑な魔道具に体が慣れてきて、学園の授業や調査の情報を映像に残させなくても上手く影武者と記憶共有できるようになった。元々膨大だった魔力も更に増えていた。
 でも、これで少し楽になるかと思ったら、更に僕の仕事が増えてあまり大変さは変わらなかった。グリフィズ家の元になったグリフォンは王家の忠実な鷲獅子と評されていたらしいけど、今の僕は第一王子の獅子ししというより四肢ししだなと自嘲するしかなかった。
第一王子はクラリベルに手を出さないし、自他ともに規律に厳しく優秀な頭脳をもっていて、ギリギリまで人を使うことが上手い人だから王に向いてる人だよ、くそ野郎。

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