33 / 82
旅する少女編
海龍結界
しおりを挟む
「この下に海底遺跡がある。いつ奴が出て来てもおかしくないから簡単に説明するぞ。まず潜る、そしたら奴を倒す」
『わかった』
「了解にゃ!……じゃなーい!もっと何かにゃいの!?こう、弱点とか」
カシムの雑にも程がある作戦にネロがたまらずツッコミを入れる。
「あったら市場の連中は諦めてねぇよ。正真正銘バケモノなんだ、リバイアサンは」
『取り敢えず見てみよう』
グレイがまず海へと飛び込んだ。それに続くようにカシムもどうように飛び込む。
(冷たい。それにしょっぱい。本当に塩水なんだ)
グレイが初めての海水に関心を持っている間カシムは水中を見る。下にはかつての文明の遺産、まるで大神殿のような建物が海に沈んでいる。
二人がそのようにしている中、一向にネロが海に降りてこない。そのことに気がついたグレイはネロを呼ぶ。
『なにかあった?』
「そのぅ、実は海が苦手で……」
指をちょんちょん、くるくる回し耳を垂らしながら全力で海がダメなことを表す。カシムも偵察を終えたのか海面へと上がってくる。
「あ?まだアホ猫は降りて来てねぇのか」
「誰がアホ猫にゃ!」
カシムの挑発になりはするものの海に近づこうとはしないネロを見てグレイはルーンを起動する。
『ここまで来たんだからさっさと降りる』
ネロを風を使って強制的に着水させたグレイはその風をネロに纏わせる。
「な、何するにゃ!泳げないんだけど!?し、死ぬーーー!あ、あれ?」
ひとしきり騒いだ後自身が沈まないことに気がついたネロはやっと静かになった。簡単に今の彼女の状態を説明すると見えない風の浮き輪を腹と脇あたりに付けている。
「やっと降りて来たか。んで、海の中で呼吸できるように出来るって言ってたよな。いけるか?」
『やってみる』
グレイは海水に頭まで浸かる。実はグレイには不安要素が二つほど存在した。
一つはルーンを呼吸する為にのみ使うことなど一度もなかったこと。問題なくそういう仕様にできるか、これが一つ目。
二つ目は水中でのルーンの行使が可能か。基本的にルーンを使う時は空中が多かったグレイは水中、まして塩を含む海水で発動できるか分からなかった。
(固定、風のルーン起動)
水中でのルーン文字を描き口の付近に固定する。すると口の周りにエアポケットが出現する。
すーはーすーはー、と呼吸を何回かして問題ないことを確認したグレイは解除して浮上する。
「で、どうだった?」
『問題ない』
「よし、じゃあ『ただし』何だよいい感じなのに」
カシムの言葉を遮ってグレイは注意点を説明する。
『まず、普通に息はできる。何回でも。ただしずっとじゃない。私の魔力が切れたらその瞬間、息ができなくなる』
「どのくらいにゃ」
『1時間』
莫大な魔力を持つグレイだが三人分の空気を作り口に固定し海水の中でも維持するとなるとそれなりの魔力が持っていかれる。
安全に完全に持つのは一時間であるとそう告げた。
「一時間なら余裕だろ。で、終わりか?」
『一応は。初めてだから他に問題があるかもしれないけど』
「一時間海に潜れるだけで十分過ぎるくらいだ。アホ猫、そろそろ慣れたか?」
「問題ないにゃ。グレイのくれたこれで何とかいけそう」
ネロはグレイのお陰で沈まないし息が出来るようになって万全だと思っていた。だが、お腹と脇辺りにある風のライフジャケットのせいで潜ることができない。
だから、グレイは解除した。
「ニッ」
声にもならない悲鳴と共にネロは海中へと沈んでいった。その様子を見ていた流石のカシムもネロの安否を心配する様子を見せる。
『息はできるから問題ない。行こう』
「お、おう。そうだな』
(こいつ怒らせるのやめよう)
グレイの底知れぬ純粋さから来る強行を前に逆らうべきではない人間がいることを学んだカシムであった。
初めてとは思えないくらいに上手く泳ぐグレイは海底遺跡の前に到着した。既に溺れながら到着したネロが恨みがましそうに睨んでいることを除けば問題はなかった。
「グ~レ~イ~?」
『ごめん』
解除する前に言うべきだったと反省の言葉を述べながらもグレイは海底遺跡の壁に興味を示す。
マレーア同様石で出来ているがまるで芸術のように紋様が彫られている壁には絵が描かれていた。
『これは』
「さぁな、元々はリバイアサンもここにはいなかったらしい。爺さんのそのまた爺さんの話だけどな」
「へぇー意外とカシムそう言うのに興味あるのにゃ?」
「耳にタコができるくらい聞かされたせいだ、別に興味ねぇ」
(浮かんでる人?と手を伸ばして跪く人、それから魔獣かな。あ、人が魔獣を倒してる)
グレイが見た壁画は何かから人間が力を授かり魔獣らしきものを打ち倒すといった内容だった。
よく見る英雄譚と同じような展開だ。特に特出する事はないと、壁画から興味をなくす。
残る興味はリバイアサンのみ。
「中に入るぞ」
カシムが先行して海底遺跡に入ろうと近づく。その時、グレイとネロがそれぞれの感覚で危険を察知する。
グレイは魔力の、ネロは音の異変を感じ取った二人は急いでカシムを遺跡から遠ざける。
唐突に二人に引っ張られたカシムは抵抗すらしない。
二人はカシムを引っ張る途中に目撃する。海底遺跡の周囲を強烈な竜巻、いや渦の群れが囲む。
「あ、危なかったにゃ……」
「リバイアサンが遺跡に入らないように細工しやがった……!」
試しにグレイがルーンを使って攻撃してみるものの岩でさえ瞬時に塵へと変わった。
まさに海流の結界。渦のミキサーに飛び込めば生身の三人はひとたまりもないだろう。
「くそっここまで来たのに!」
カシムは何かに当たりたい気持ちを発散できずに手を強く握る。それはグレイ達も同じだった。
『帰ろう。一度作戦を練り直そう』
「それしか……ない、か」
グレイ達は海底遺跡から離れて船へと帰還した。
『わかった』
「了解にゃ!……じゃなーい!もっと何かにゃいの!?こう、弱点とか」
カシムの雑にも程がある作戦にネロがたまらずツッコミを入れる。
「あったら市場の連中は諦めてねぇよ。正真正銘バケモノなんだ、リバイアサンは」
『取り敢えず見てみよう』
グレイがまず海へと飛び込んだ。それに続くようにカシムもどうように飛び込む。
(冷たい。それにしょっぱい。本当に塩水なんだ)
グレイが初めての海水に関心を持っている間カシムは水中を見る。下にはかつての文明の遺産、まるで大神殿のような建物が海に沈んでいる。
二人がそのようにしている中、一向にネロが海に降りてこない。そのことに気がついたグレイはネロを呼ぶ。
『なにかあった?』
「そのぅ、実は海が苦手で……」
指をちょんちょん、くるくる回し耳を垂らしながら全力で海がダメなことを表す。カシムも偵察を終えたのか海面へと上がってくる。
「あ?まだアホ猫は降りて来てねぇのか」
「誰がアホ猫にゃ!」
カシムの挑発になりはするものの海に近づこうとはしないネロを見てグレイはルーンを起動する。
『ここまで来たんだからさっさと降りる』
ネロを風を使って強制的に着水させたグレイはその風をネロに纏わせる。
「な、何するにゃ!泳げないんだけど!?し、死ぬーーー!あ、あれ?」
ひとしきり騒いだ後自身が沈まないことに気がついたネロはやっと静かになった。簡単に今の彼女の状態を説明すると見えない風の浮き輪を腹と脇あたりに付けている。
「やっと降りて来たか。んで、海の中で呼吸できるように出来るって言ってたよな。いけるか?」
『やってみる』
グレイは海水に頭まで浸かる。実はグレイには不安要素が二つほど存在した。
一つはルーンを呼吸する為にのみ使うことなど一度もなかったこと。問題なくそういう仕様にできるか、これが一つ目。
二つ目は水中でのルーンの行使が可能か。基本的にルーンを使う時は空中が多かったグレイは水中、まして塩を含む海水で発動できるか分からなかった。
(固定、風のルーン起動)
水中でのルーン文字を描き口の付近に固定する。すると口の周りにエアポケットが出現する。
すーはーすーはー、と呼吸を何回かして問題ないことを確認したグレイは解除して浮上する。
「で、どうだった?」
『問題ない』
「よし、じゃあ『ただし』何だよいい感じなのに」
カシムの言葉を遮ってグレイは注意点を説明する。
『まず、普通に息はできる。何回でも。ただしずっとじゃない。私の魔力が切れたらその瞬間、息ができなくなる』
「どのくらいにゃ」
『1時間』
莫大な魔力を持つグレイだが三人分の空気を作り口に固定し海水の中でも維持するとなるとそれなりの魔力が持っていかれる。
安全に完全に持つのは一時間であるとそう告げた。
「一時間なら余裕だろ。で、終わりか?」
『一応は。初めてだから他に問題があるかもしれないけど』
「一時間海に潜れるだけで十分過ぎるくらいだ。アホ猫、そろそろ慣れたか?」
「問題ないにゃ。グレイのくれたこれで何とかいけそう」
ネロはグレイのお陰で沈まないし息が出来るようになって万全だと思っていた。だが、お腹と脇辺りにある風のライフジャケットのせいで潜ることができない。
だから、グレイは解除した。
「ニッ」
声にもならない悲鳴と共にネロは海中へと沈んでいった。その様子を見ていた流石のカシムもネロの安否を心配する様子を見せる。
『息はできるから問題ない。行こう』
「お、おう。そうだな』
(こいつ怒らせるのやめよう)
グレイの底知れぬ純粋さから来る強行を前に逆らうべきではない人間がいることを学んだカシムであった。
初めてとは思えないくらいに上手く泳ぐグレイは海底遺跡の前に到着した。既に溺れながら到着したネロが恨みがましそうに睨んでいることを除けば問題はなかった。
「グ~レ~イ~?」
『ごめん』
解除する前に言うべきだったと反省の言葉を述べながらもグレイは海底遺跡の壁に興味を示す。
マレーア同様石で出来ているがまるで芸術のように紋様が彫られている壁には絵が描かれていた。
『これは』
「さぁな、元々はリバイアサンもここにはいなかったらしい。爺さんのそのまた爺さんの話だけどな」
「へぇー意外とカシムそう言うのに興味あるのにゃ?」
「耳にタコができるくらい聞かされたせいだ、別に興味ねぇ」
(浮かんでる人?と手を伸ばして跪く人、それから魔獣かな。あ、人が魔獣を倒してる)
グレイが見た壁画は何かから人間が力を授かり魔獣らしきものを打ち倒すといった内容だった。
よく見る英雄譚と同じような展開だ。特に特出する事はないと、壁画から興味をなくす。
残る興味はリバイアサンのみ。
「中に入るぞ」
カシムが先行して海底遺跡に入ろうと近づく。その時、グレイとネロがそれぞれの感覚で危険を察知する。
グレイは魔力の、ネロは音の異変を感じ取った二人は急いでカシムを遺跡から遠ざける。
唐突に二人に引っ張られたカシムは抵抗すらしない。
二人はカシムを引っ張る途中に目撃する。海底遺跡の周囲を強烈な竜巻、いや渦の群れが囲む。
「あ、危なかったにゃ……」
「リバイアサンが遺跡に入らないように細工しやがった……!」
試しにグレイがルーンを使って攻撃してみるものの岩でさえ瞬時に塵へと変わった。
まさに海流の結界。渦のミキサーに飛び込めば生身の三人はひとたまりもないだろう。
「くそっここまで来たのに!」
カシムは何かに当たりたい気持ちを発散できずに手を強く握る。それはグレイ達も同じだった。
『帰ろう。一度作戦を練り直そう』
「それしか……ない、か」
グレイ達は海底遺跡から離れて船へと帰還した。
141
あなたにおすすめの小説
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。
けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる