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おまけ
しおりを挟むやり直して良かった。
あの日冷たくなった義姉さんの体を抱きしめてわんわんと泣いていた俺を嘲り笑った兄さんを俺は忘れなかった。
どうしても会いたかった。次こそは守りたかった。
優しかった義姉さんが毎日泣き、そしてだんだんと魔女のように人を呪おうとする姿を見て何度も俺は義姉さんを止めようとしたが無駄だった。義姉さんは嫉妬に取り憑かれ破滅していった。
誰だって毎日婚約者が堂々と悪びれもなく浮気し、それを本人に問い詰めたところで一切詫びもしない。挙句浮気相手と少しでも接触しようものなら義姉さんを殴っていたんだ。何かれば義姉さんを責める兄さんなのに、あの時の義姉さんは本気であんな奴を愛していた。
現実に嫌気がさし義姉さんの死体を抱きしめて海に飛び込んで自殺をした時、来世では義姉さんと幸せになりたいと願っていたら急に海が輝きだして気がつけば俺は入学式の日に戻っていた。
そして過ごすうちにすぐに明らかに前の時とは違う義姉さんの挙動に気づいた。もしかしたらと思い以前の義姉さんなら激しく怒るであろう聖女様の話をした。すると義姉さんは聖女様のことを気にも止めず普通に会話していたんだ。聖女様や兄さんが何をしようが関係なく、義姉さんは義姉さんなりに人生を楽しもうとしているように見えた。
もしかしたら義姉さんも一緒に人生をやり直したのだろうか。
もしそれなら義姉さんが死んでしまうあの未来も変えられるのではないだろうか。
俺はそこから義姉さんにバレないよう奮闘した。兄さんに聖女様みたいな素敵な人と俺も結婚したいと言えば、負けん気の強い兄さんのことだからますます聖女にのめり込むだろうと思ったら案の定義姉さんを放置して聖女様の元へ足繁く通った。頭の悪い兄さんは思うように動いてくれたのでこちらとしては操りやすかった。
それに義姉さん自体は聖女様に意地悪をしなくても、取り巻きの子たちが何かするかもしれなかったので取り巻きたち全員に俺が義姉さんに片想いしていることを相談すると簡単に俺たちの中を応援してくれるようになった。むしろ兄さんが悪いという考えで一致団結して動いてくれていたため、兄さんが取り巻きたちに何を聞いても彼女たちは知らんぷりをしてくれていたから益々兄さんは義姉さんが気に食わなくなった。
義姉さんが婚約破棄した後、ようやく堂々と義姉さんに近づけつと思った矢先にあんなことをしでかすなんて馬鹿で最低の兄さん。国外追放しても国の内部情報とかベラベラ喋りそうだし、元王族の血を使って祭り立てる人間に利用されるかもしれない。
「ジュード様、兄上様はどのように」
「海賊たちに金を渡した。兄上だけを拉致して殺すように伝えておいて」
「かしこまりました」
大きくため息をついたあと時計を見て俺は慌てて鏡の前に立ち、もう一度髪が跳ねていないかや服がだらしなくないかを確かめる。世界で一番好きな人に会うのだから、念入りに準備をしていたつもりだけどいざ時間が近づくとソワソワしてしまう。あれから一年ずっと口説き、何度もデートに誘い、そして公爵様にも兄とは違うところを見せるため政治も日々の鍛錬もこなすところを示しようやく認めていただいたんだ。
馬車に乗り込むと義姉さんはぎこちない笑顔で笑ってくれた。
あぁこの笑顔を見るために俺は今世に帰ってきたんだ。俺が幸せにするからね義姉さん。
義姉さんが悲しむものも全部無くして、義姉さんがずっと笑っていられるような場所を作るから。
「義姉さん」
「いい加減エリンって呼んでくださいよジュード」
「そうだねエリン、愛しているよ。ずっと愛している」
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