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第二部 魔法少女は、ふたつの世界を天秤にかける
第16話 新興都市カルチェジャポネ その二
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カルチェジャポネへと向かっていた白音たちは、かつての魔族の王城が空中に浮いていることに驚かされた。
皆一様にその高い魔法技術に目を瞠ったが、白音は自分の故郷が晒し者のようにされていると感じて、少し複雑な胸中だった。
かつての故郷で、もしかしたら白音の顔を知るものがいるかもしれない。
その時はまた、いつきに幻覚で『おじさん』に偽装してもらわなければならないだろう……。
ちびそらが浮遊する城を見つけたのは、はぐれ召喚者たちのベースキャンプを旅立ってから十日目の午後のことだった。
それからさらに馬車を進めてその翌日、白音たちはようやく荒野の終端と思われるところに辿り着いていた。
空中に静止しているただの黒い点だった城も徐々に大きくなり、今は白音の目にもなんとか判別できるくらいのサイズになっている。
魔法によって無理矢理造られたらしい荒野は、やはり唐突に人為的な終端を迎えた。
クレーターのリムのような崖があり、それが白音たちの眼前、見渡す限りの両翼にずっと続いている。
その崖の一部分が切り崩されて、なだらかな斜路が設けられているようだった。
白音たちがずっと辿ってきた商路は、そこへと延びている。
馬たちに少し無理をしてもらってそこを登り切ると、その先には鬱蒼とした密度の高い森が広がっていた。
その景色のあまりの変わりように、白音たちは思わず目を瞠る。
この崖までが、巨大鮫の魔法で削り取られた範囲ということになるだろうか。
そして崖の高さが、おそらくは削り取られた深さを示している。
改めて、地形を変え自然の営みを歪めてしまうような、これは恐るべき魔法だと痛感する。
さらにその先へも、森を切り拓いて造られた街道が続いていた。
先程までの間に合わせの馬車道とは違う。
しっかりと石畳で舗装された道だった。
ただ、往時はしっかりと整備された美しい通商路だったのだろうが、今は随分古びて手入れもなされていない印象だった。
傷みがかなり酷い。
白音にとってそれは、見覚えのある道だった。
人族との戦争で追われ、北の地へと敗走した道。
王族の命を守り、召喚英雄たちのあまりの強さに悔しさを噛みしめた道。
だからこのまま逆に辿って南下すれば王都、すなわち現在のカルチェジャポネへと到着するだろう。
「ほんとに大丈夫っすか?」
気づけばまたいつきが、白音の顔を覗き込むようにしている。
前世でいろいろとあった因縁深い土地だと聞いて、心配してくれているのだ。
「……ごめんね。もう切り替えるわ」
パンッ、といい音を立てて白音が自分の両頬を叩いて気を入れ直す。
今は感傷にふけっている時ではない。
「…………道はこれであってるみたい。ちょっと上から先の様子を確認してみるわね」
白音が手綱を引いて馬を停めた。
そして御者台に座ったまま偽装を解いて、魔族の証である白銀の翼を露わにする。
空から街道の先の安全を確認するつもりだった。
リュックから小型望遠鏡を取り出して胸元に挿し入れる。
当たり前のように取り出した小型望遠鏡だが、実はこれを見つけたのはつい昨晩のことだった。
携帯食料が減ってきたので荷物の整理をしていたら、リュックの内ポケットにいろいろと便利なキャンプグッズが入っていたのだ。
こんなに便利なものが入っているなら、事前に支給品の目録を見せておいて欲しかったなと白音は思った。
リュックを支給してくれたのはブルームの社長、蔵間誠太郎だ。
さすがにちょっと筋違いな文句ではあろう。
白音が準備をしている間に、いつきはファンタジアの魔法を使って周囲からの視線を遮るようにしてくれていた。
人気がないのは確認済みだが、万が一のためだ。
「ありがと、いつきちゃん」
魔族の翼の色は個体差が大きく、様々な色合いを持つ。
しかし陽光に煌めいて美しいその白銀は、分けてもかなり珍しい。
少なくとも白音は自分以外に同じ翼を持つ者を聞いたことがない
かつて転生する前、デイジーとしての白音は伝説に語られるほどの剣技を持つ一騎当千の戦士だった。
だからその白銀の翼は、二十年近く経った今ですら記憶にのこす者がいる。
いつきはその美しい『姐さんの翼』を、本当は見せびらかして廻りたいくらいに思っていた。
しかしそうすると魔族だとばれるどころか、個人情報まで漏洩してしまうらしい。
それで泣く泣く、幻覚の魔法で覆い隠しているのだ。
白音は馬車を降り、文字通りに羽を伸ばし始めた。
空を飛ぶための準備運動のようなものだ。
そんな『姐さんの翼』をいつきがじっと見つめていると、白音が手を差し伸べた。
「一緒に来る?」
「はいっす!!」
いつきが喜んで白音の手を取る。
軽くて華奢ないつきを『お姫様抱っこ』していると、馬車の中で休んでいたちびそらが走って飛び出してきた。
白音は自分の体に飛び移るつもりなのだろうと思って受け止める用意をする。
しかしちびそらは思い切りよく御者台を踏み切り、白音とは別の方向へとジャンプした。
「あ、ちょっ、どこへ!! …………」
慌てる白音をよそに、さらにちびそらの後方からもっと勢いよく、猛然とリプリンが飛び出した。
見間違いでなければ徐々に縮みながらだったと思う。
背後からちびそらを追うようにして跳んだ。
そしてちびそらの方へと触手を伸ばすと、そのままちびそらの背中に張り付いた。
「え? え? 何?!」
「なんすか……?!」
白音もいつきも何が起こっているのかよく分からない。
思わず固唾を呑んで、お姫様抱っこスタイルのままふたりの動向を見守ってしまった。
ちびそらの胴体にぐるぐるとリプリンが巻き付き、そして背中側で触手を伸ばして一対の翼を形成した。
たまにスズメに化けては飛行練習していた、その翼である。
それがあたかもちびそらの背中から生えているかのように、しっかりとくっついている。
スズメの頭や胴体はどこにも見当たらない。
翼だけであった。
そして翼『だけ』の姿をしたリプリンが羽ばたきを始めると、あろうことかちびそらが空を舞い始めた。
「リプリン、完璧。よーそろー!!」
ちびそらが楽しげに笑った。
彼女が楽しげに笑うところを見るのは本当に久しぶりだと思う。
そしてよく見れば、ちびそらの失われた右腕の位置にリプリンが小さな自分の頭部を形作っていて、一緒に笑い合っている。
どうやらそこから周囲の様子を見ているらしいが、多分ちびそらの右腕がない分のバランスを取る意味合いもあるのだろう。まさに完璧な飛行計画だった。
そして、白音といつきも顔を見合わせて爆笑した。
「こんなんありっすか……」
「ホントにね」
リプリンが化けた翼は、形はスズメなのだが色は白銀に輝いている。
あくまで白音を模して、白音のように飛びたかったのだろう。
その願いがちびそらの頭脳を得ることによって、叶ったのだ。
白音も翼を開き、ふたりの後を追った。
「ゆっくり、ゆっくりね。慎重に上昇して」
白音がそう言うと、翼の生えたちびそらは速度を緩めて白音の隣に並んでくれた。
どうやっているのかは知らないが、飛行に関する意思疎通は言葉を使わなくとも行えているらしい。
まるで自分の翼であるかのように自在に扱っている。
少しずつ高度を上げていくと、やがて南の彼方に見慣れた稜線を描く山々が連なっているのを確認できた。
その山並みと空に浮いている城の位置関係からすると、土地勘のある白音にはおおよその現在地が推定できた。
城はおそらく元あった位置から離れてはいない。
真上に浮上しているだけだろう。
白音は胸元から小型望遠鏡を取り出し、浮遊する城の直下辺りを探った。
するとやはりあった。
スコープ越しでもまだ細部までは分からないが、街らしき建造物群が見えた。
白音は、抱いているいつきにスコープを渡す。
「おー、あれが姐さんの育った街なんすね。ちょっと感動っす」
小型望遠鏡を不思議そうに見ていたリプリンに、ちびそらがその仕組みを説明し始めた。
専門用語は交えずに、一般的な語彙だけで望遠鏡の構造を上手に説明している。
するとリプリンはすぐに、ふたつの触手の先端で大小対になるレンズを作って見せた。
「あれ? 逆さまに見えるよ?」
どうやらちびそらが教えたのはケプラー式の望遠鏡だったらしい。
凸レンズふたつでは像が倒立してしまう。
あとでフィールドスコープを見せて、プリズムを追加する方法を教えよう、それなら天地が逆さまに見えることはない。
白音がそう思っていたら、いきなりリプリンの翼がおなか側に回り込み、ちびそらを仰向けに吊り下げて飛行を始めた。
「おっけー」
ちびそらが逆さまの姿勢でリプリン式望遠鏡を覗き込み、親指を立てている。
リプリンの方は自分で作った望遠鏡を見てはいないようだった。
しかしわざわざ目を使わなくとも、レンズのところに視神経を作れば一緒に覗けるのかもしれない、と白音は想像した。
ただそれだとリプリンだけ像が逆さまのままでは…………とも思ったが、そうか視神経を逆さまに作るだけでいいんだ、と納得する。
だとすると、ちびそらの方も内部で画像を反転処理とかすればいいような……。
考えているとだんだん分からなくなってきた。
彼女たちの常識や生活様式を当たり前に理解できるようになるのは、なかなかに難しそうだった。
背面飛行が楽しそうなので、今はそれでいいのだろう。
「大きな湖が街の真ん中にあるぞ」
多分一番高解像度で街の姿を捉えているちびそらが言った。
静止飛行していた白音の隣に並んで、同じくその場に留まる。
リプリンの飛行能力は、もう本家のスズメよりも高そうだった。
「え? どこどこ? そんなものわたしの時代にはなかったはずだけど……、造ったのかな?」
皆一様にその高い魔法技術に目を瞠ったが、白音は自分の故郷が晒し者のようにされていると感じて、少し複雑な胸中だった。
かつての故郷で、もしかしたら白音の顔を知るものがいるかもしれない。
その時はまた、いつきに幻覚で『おじさん』に偽装してもらわなければならないだろう……。
ちびそらが浮遊する城を見つけたのは、はぐれ召喚者たちのベースキャンプを旅立ってから十日目の午後のことだった。
それからさらに馬車を進めてその翌日、白音たちはようやく荒野の終端と思われるところに辿り着いていた。
空中に静止しているただの黒い点だった城も徐々に大きくなり、今は白音の目にもなんとか判別できるくらいのサイズになっている。
魔法によって無理矢理造られたらしい荒野は、やはり唐突に人為的な終端を迎えた。
クレーターのリムのような崖があり、それが白音たちの眼前、見渡す限りの両翼にずっと続いている。
その崖の一部分が切り崩されて、なだらかな斜路が設けられているようだった。
白音たちがずっと辿ってきた商路は、そこへと延びている。
馬たちに少し無理をしてもらってそこを登り切ると、その先には鬱蒼とした密度の高い森が広がっていた。
その景色のあまりの変わりように、白音たちは思わず目を瞠る。
この崖までが、巨大鮫の魔法で削り取られた範囲ということになるだろうか。
そして崖の高さが、おそらくは削り取られた深さを示している。
改めて、地形を変え自然の営みを歪めてしまうような、これは恐るべき魔法だと痛感する。
さらにその先へも、森を切り拓いて造られた街道が続いていた。
先程までの間に合わせの馬車道とは違う。
しっかりと石畳で舗装された道だった。
ただ、往時はしっかりと整備された美しい通商路だったのだろうが、今は随分古びて手入れもなされていない印象だった。
傷みがかなり酷い。
白音にとってそれは、見覚えのある道だった。
人族との戦争で追われ、北の地へと敗走した道。
王族の命を守り、召喚英雄たちのあまりの強さに悔しさを噛みしめた道。
だからこのまま逆に辿って南下すれば王都、すなわち現在のカルチェジャポネへと到着するだろう。
「ほんとに大丈夫っすか?」
気づけばまたいつきが、白音の顔を覗き込むようにしている。
前世でいろいろとあった因縁深い土地だと聞いて、心配してくれているのだ。
「……ごめんね。もう切り替えるわ」
パンッ、といい音を立てて白音が自分の両頬を叩いて気を入れ直す。
今は感傷にふけっている時ではない。
「…………道はこれであってるみたい。ちょっと上から先の様子を確認してみるわね」
白音が手綱を引いて馬を停めた。
そして御者台に座ったまま偽装を解いて、魔族の証である白銀の翼を露わにする。
空から街道の先の安全を確認するつもりだった。
リュックから小型望遠鏡を取り出して胸元に挿し入れる。
当たり前のように取り出した小型望遠鏡だが、実はこれを見つけたのはつい昨晩のことだった。
携帯食料が減ってきたので荷物の整理をしていたら、リュックの内ポケットにいろいろと便利なキャンプグッズが入っていたのだ。
こんなに便利なものが入っているなら、事前に支給品の目録を見せておいて欲しかったなと白音は思った。
リュックを支給してくれたのはブルームの社長、蔵間誠太郎だ。
さすがにちょっと筋違いな文句ではあろう。
白音が準備をしている間に、いつきはファンタジアの魔法を使って周囲からの視線を遮るようにしてくれていた。
人気がないのは確認済みだが、万が一のためだ。
「ありがと、いつきちゃん」
魔族の翼の色は個体差が大きく、様々な色合いを持つ。
しかし陽光に煌めいて美しいその白銀は、分けてもかなり珍しい。
少なくとも白音は自分以外に同じ翼を持つ者を聞いたことがない
かつて転生する前、デイジーとしての白音は伝説に語られるほどの剣技を持つ一騎当千の戦士だった。
だからその白銀の翼は、二十年近く経った今ですら記憶にのこす者がいる。
いつきはその美しい『姐さんの翼』を、本当は見せびらかして廻りたいくらいに思っていた。
しかしそうすると魔族だとばれるどころか、個人情報まで漏洩してしまうらしい。
それで泣く泣く、幻覚の魔法で覆い隠しているのだ。
白音は馬車を降り、文字通りに羽を伸ばし始めた。
空を飛ぶための準備運動のようなものだ。
そんな『姐さんの翼』をいつきがじっと見つめていると、白音が手を差し伸べた。
「一緒に来る?」
「はいっす!!」
いつきが喜んで白音の手を取る。
軽くて華奢ないつきを『お姫様抱っこ』していると、馬車の中で休んでいたちびそらが走って飛び出してきた。
白音は自分の体に飛び移るつもりなのだろうと思って受け止める用意をする。
しかしちびそらは思い切りよく御者台を踏み切り、白音とは別の方向へとジャンプした。
「あ、ちょっ、どこへ!! …………」
慌てる白音をよそに、さらにちびそらの後方からもっと勢いよく、猛然とリプリンが飛び出した。
見間違いでなければ徐々に縮みながらだったと思う。
背後からちびそらを追うようにして跳んだ。
そしてちびそらの方へと触手を伸ばすと、そのままちびそらの背中に張り付いた。
「え? え? 何?!」
「なんすか……?!」
白音もいつきも何が起こっているのかよく分からない。
思わず固唾を呑んで、お姫様抱っこスタイルのままふたりの動向を見守ってしまった。
ちびそらの胴体にぐるぐるとリプリンが巻き付き、そして背中側で触手を伸ばして一対の翼を形成した。
たまにスズメに化けては飛行練習していた、その翼である。
それがあたかもちびそらの背中から生えているかのように、しっかりとくっついている。
スズメの頭や胴体はどこにも見当たらない。
翼だけであった。
そして翼『だけ』の姿をしたリプリンが羽ばたきを始めると、あろうことかちびそらが空を舞い始めた。
「リプリン、完璧。よーそろー!!」
ちびそらが楽しげに笑った。
彼女が楽しげに笑うところを見るのは本当に久しぶりだと思う。
そしてよく見れば、ちびそらの失われた右腕の位置にリプリンが小さな自分の頭部を形作っていて、一緒に笑い合っている。
どうやらそこから周囲の様子を見ているらしいが、多分ちびそらの右腕がない分のバランスを取る意味合いもあるのだろう。まさに完璧な飛行計画だった。
そして、白音といつきも顔を見合わせて爆笑した。
「こんなんありっすか……」
「ホントにね」
リプリンが化けた翼は、形はスズメなのだが色は白銀に輝いている。
あくまで白音を模して、白音のように飛びたかったのだろう。
その願いがちびそらの頭脳を得ることによって、叶ったのだ。
白音も翼を開き、ふたりの後を追った。
「ゆっくり、ゆっくりね。慎重に上昇して」
白音がそう言うと、翼の生えたちびそらは速度を緩めて白音の隣に並んでくれた。
どうやっているのかは知らないが、飛行に関する意思疎通は言葉を使わなくとも行えているらしい。
まるで自分の翼であるかのように自在に扱っている。
少しずつ高度を上げていくと、やがて南の彼方に見慣れた稜線を描く山々が連なっているのを確認できた。
その山並みと空に浮いている城の位置関係からすると、土地勘のある白音にはおおよその現在地が推定できた。
城はおそらく元あった位置から離れてはいない。
真上に浮上しているだけだろう。
白音は胸元から小型望遠鏡を取り出し、浮遊する城の直下辺りを探った。
するとやはりあった。
スコープ越しでもまだ細部までは分からないが、街らしき建造物群が見えた。
白音は、抱いているいつきにスコープを渡す。
「おー、あれが姐さんの育った街なんすね。ちょっと感動っす」
小型望遠鏡を不思議そうに見ていたリプリンに、ちびそらがその仕組みを説明し始めた。
専門用語は交えずに、一般的な語彙だけで望遠鏡の構造を上手に説明している。
するとリプリンはすぐに、ふたつの触手の先端で大小対になるレンズを作って見せた。
「あれ? 逆さまに見えるよ?」
どうやらちびそらが教えたのはケプラー式の望遠鏡だったらしい。
凸レンズふたつでは像が倒立してしまう。
あとでフィールドスコープを見せて、プリズムを追加する方法を教えよう、それなら天地が逆さまに見えることはない。
白音がそう思っていたら、いきなりリプリンの翼がおなか側に回り込み、ちびそらを仰向けに吊り下げて飛行を始めた。
「おっけー」
ちびそらが逆さまの姿勢でリプリン式望遠鏡を覗き込み、親指を立てている。
リプリンの方は自分で作った望遠鏡を見てはいないようだった。
しかしわざわざ目を使わなくとも、レンズのところに視神経を作れば一緒に覗けるのかもしれない、と白音は想像した。
ただそれだとリプリンだけ像が逆さまのままでは…………とも思ったが、そうか視神経を逆さまに作るだけでいいんだ、と納得する。
だとすると、ちびそらの方も内部で画像を反転処理とかすればいいような……。
考えているとだんだん分からなくなってきた。
彼女たちの常識や生活様式を当たり前に理解できるようになるのは、なかなかに難しそうだった。
背面飛行が楽しそうなので、今はそれでいいのだろう。
「大きな湖が街の真ん中にあるぞ」
多分一番高解像度で街の姿を捉えているちびそらが言った。
静止飛行していた白音の隣に並んで、同じくその場に留まる。
リプリンの飛行能力は、もう本家のスズメよりも高そうだった。
「え? どこどこ? そんなものわたしの時代にはなかったはずだけど……、造ったのかな?」
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