今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura

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今更……助けてくれと……言われても……

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 〝父上。今すぐ迎えにきてください。私は今、3つ隣の国で不当にも奴隷扱いされています。あなたの血を、高貴なる血を受け継いだ私がです。ただ、生活をするために金を借りただけなのに……朝早くから……夜遅くまで……無理矢理働かせられ、このままでは身も心も持ちません。あいつらは、私がどれだけ高貴な人間なのか理解をしようとしないのです。どうか私を助け出してください。もうすぐ冬がやってきます。それまでに迎えにきてください。その時は、私が気にいっていた〝殴り屋〟パンチングベアのコートを持ってきてください。あれほど高貴な私に似合う物はありませんので。では、お待ちしています。 モウナイ王国の輝ける太陽 ヨハンより〟

 何を言っているのか……
 これを読んだ時……理解ができずに……頭痛までしてきた……
 4年前もバカ息子〝元王太子〟の言うことを理解できなかったが……
 さらに磨きがかかったか……


 4年前、最愛を見つけたと……婚約者への〝婚約破棄〟を叩きつけ……
 王城を出て行ったバカ息子……
 突然の出奔に……どれだけの混乱が生じ……損害が出たと思っている……

 バカ息子の婚約者への賠償……
 王太子変更による……次男、次男婚約者への教育……
 新しいスペアの確保……
 大きく勢力図が変わった派閥の仲介……

 あの時を思い出しただけでも……腹が立ってくる……

 そして、やっと落ち着いたと思ったら……この手紙だ……
 バカバカしい内容と……読みづらい子供のような文字……
 なんの悪戯かと疑えば……間違いなくバカ息子の文字だと言われ……呆れて何も言えなくなった……

 今更……助けてくれと……言われても……助けるはずがなかろう……
 なぜにあのバカ息子は助けてもらえると思っているのだ……
 たとえ3つ離れた国だろうが……この国の混乱くらいは耳にしただろう……

 いや……バカ息子は気にもしなかったのだろう……
 自分以外に興味がない……だから平気で出奔したのだ……

 この手紙が来てから……すぐにバカ息子の身辺を探らせた……
 呆れるの一言だ……

 〝私の最愛(笑)〟に仕事をさせて……自分は王子気取り……
 現実を見た〝私の最愛(笑)〟に逃げられ……生活苦……
 そして、金を借りて返済できずに……強制労働……

 真っ当な金貸しが法に則って行う強制労働……何が奴隷だ……
 
 全てバカ息子が原因……なるようにしてなっただけだ……
 これが国民の金で教育させた者の末路とは……あまりの無様さに……笑う前に涙が溢れてきた……
 それと同時に……そんなバカ息子を育てた親として……情けなくなった……

 チラチラとこちらを窺う宰相……
 安心しろ……迎えなど送らない……
 こんなバカが国に帰ってきても……新たな混乱しか生まれない……
 そんなバカ息子に……国民の金など使えるか……

 私が愛した息子は……『私は父を超える王になります』と励んでいた息子は…… 
 4年前に死んだ……そう、死んでいるのだ……
 今更……その亡霊から手紙が来たとて……助けるわけがあるまい……
 
 残念だな……バカ息子……
 その冬の寒さを墓標に……本当の亡霊になってくれ……
 
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