19 / 80
ルミエール到着
しおりを挟む日記、十一日目。
ついに王都ルミエールに到着した!
ウィンドホロウからトムのショートカットを通って、予定より早く着けたよ。
リナの弓、カイラの魔法、トムの知識、キラの嗅覚、そして僕の料理で、最高の旅だった。
ルミエールの市場は、想像を超える規模で、魔法の食材が山ほど!
料理コンテストの話も進んで、なんだかドキドキが止まらない。
でも、町に着いたら、ちょっとしたハプニングもあったんだ。
この世界、ほんと一瞬も気が抜けないよ。
---
トムの案内したショートカットの森を抜けると、遠くにルミエールの城壁が見えてきた。
高い石の壁に、キラキラ光る魔法の結界が張られてる。
門の近くには、馬車や冒険者、商人で賑わってる。
キラが、僕の肩でピピッと鳴いてる。
興奮してるみたい。
「うっわー!ルミエールってやっぱめっちゃでかい! これが王都!? 優、早く市場行こうぜ!」
リナが目をキラキラさせて叫んだ。
カイラが地図を片手に微笑んだ。
「ルミエールはエルドリア大陸の中心よ。市場にはドラゴンベリーやフロストハーブみたいな魔法の食材が揃ってる。コンテストの準備も早めに始めようね。」
トムが剣を肩に担いで言った。
「市場もいいがコンテストの会場もチェックしねえとな。ルミエールの料理人は結構手強いぜ。優、負けねえように、気合入れろよ!」
「うん、もちろんだよ! まずは市場で食材見て、どんな料理作るかイメージしたいな。」
キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も食材探すよ!」って言ってるみたい。
可愛い。
ルミエールの門をくぐると、街は活気で溢れてた。
石畳の道に、魔法で浮かぶ街灯、色とりどりの看板。
市場は広場に何百もの屋台が並んでて、見たことない食材が山積みだ。
ドラゴンベリーは真っ赤で少し煙みたいなオーラを放ってる。
フロストハーブは触るとひんやりして、キラキラ光る。
ゴールデンホークの肉も市場の奥で高級食材として売られてる。
「これがドラゴンベリー!? なんかめっちゃ熱そう! カイラ、これはどうやって使うの?」
カイラが杖でドラゴンベリーをスキャンした。
「食べると体が熱くなって一時的に力が上がるわ。でも辛味が強いから調理法に気をつけないといけないわね。スープやソースに少し混ぜると、いいアクセントになると思うわよ。」
リナがフロストハーブを手に持ってニヤニヤ。
何?ちょっと怖いんだけど。
「ねーねー!これ、めっちゃ冷たい! デザートに使ったらシャーベットみたいになるんじゃない?」
「いいね! フロストハーブでひんやりデザート、絶対試したい! トム、ゴールデンホークの肉はどう思う?」
トムが肉をじっと見て言った。
「ここのは新鮮でいいな。 昨日、俺らが狩ったやつと同じくらいだ。 ステーキにしたらコンテストでも目立つんじゃねえか?」
市場でドラゴンベリー、フロストハーブ、ゴールデンホークの肉、そしていくつか新しいスパイスを買った。
『スタークローブ』っていう、星形のスパイスは、甘い香りで、気分を落ち着かせる効果があるらしい。
---
ルミエールの宿屋『ムーンライトイン』にチェックインして、コンテストの詳細を聞きに行った。
コンテストは明後日から始まる。
ルールは、3日間で3つの課題をクリアする形式。
初日は「地元の食材を使った前菜」、2日目は「魔法の食材を使ったメイン」、3日目は「自由テーマのデザート」。
審査員は、ルミエールの有名な料理人と、魔法使いギルドの代表だ。
「3日間か! 大変だけどめっちゃ面白そうじゃん?優、どんなメニューにする?」
リナが宿屋の食堂で目を輝かせて言う。
「うーん、初日の前菜は、ムーンビーンズとウィンドハーブのサラダをベースに、ちょっとアレンジしてみる。2日目は、ゴールデンホークのステーキに、ドラゴンベリーのソースかな。 あとは…デザートはフロストハーブのシャーベットに、スタークローブでアクセントつけたいな。」
カイラが、メモを取りながらうなずいた。
「いいんじゃない?私の魔法で食材の魔力を最大限に引き出せるようにするわ。特にドラゴンベリーの力アップ効果は審査員にアピールできそう。」
トムが、ニヤッと笑って言った。
「優の料理なら審査員もビビるんじゃね?でもルミエールの料理人は魔法使いと組んでるやつもいるから油断すんなよ。」
その時、宿屋の食堂に、派手な服を着た男が入ってきた。
金髪にキラキラしたマント、手に持ってるのは魔法の杖。
後ろには、シェフのエプロンをした女性がいる。
明らかに、コンテストのライバルっぽい雰囲気だ。
でもエプロンして外を出歩くのはどうなの?キッチンに土とか埃とか入っちゃわない?
いや、人のファッションに口出しはしちゃいけないか。
金髪男が僕たちのテーブルに近づいてきた。
「お前らがウィンドホロウで噂になってた料理人のチームか? 俺はラルフ、ルミエールの魔法使いだ。こっちは、俺のパートナーのシェフでアリシア。コンテストは俺たちの料理が一番になるぜ。」
アリシアが自信満々に微笑んだ。
「あなたの料理はウィンドホロウでは評判だったみたいね。でも、ここルミエールじゃ私の魔法料理がトップよ。」
リナがムッとして立ち上がった。
もう…血の気多いなあ。
「ほー!言うね! 優の料理は絶対負けないから! カイラの魔法だってめっちゃすごいんだから!」
矛先を向けられカイラが冷静に言った。
「ラルフ、アリシア、自信があるのはいいけど、コンテストで実力を見せ合いましょう。 優の料理と私の魔法、そしてリナのサポートにトムの知識、キラの嗅覚。 私たちのチームも負けないわよ。」
キラが、ピピッと鳴いて、まるで「やる気満々!」って言ってるみたい。
ええー、キラも血の気多い感じ??
トムが剣を軽く叩いて笑った。
「へえ、面白そうじゃん。 優!こいつらに負けねえように、気合入れろよ?!」
ラルフがニヤリと笑って言った。
「ふん、いいだろう。コンテストで、俺たちの魔法料理をたっぷり味わわせてやるよ。」
ラルフとアリシアは、テーブルを離れていった。
え、何あの悪人みたいな言い方…。料理対決ってそういう感じ?
リナが拳を握って言った。
「むっかつくー! 優!絶対絶対あの二人をぶっ倒そうね!」
リナ…なんか体から湯気出そうになってる…怖い。
「はは…落ち着いて、リナ。 まあでも確かに燃えてきたよ。 コンテストは最高の料理で勝つぞ!」
「おお!」
---
その夜、宿屋のキッチンを借りて、コンテストの練習を始めた。
初日の前菜用に、ムーンビーンズをベースにしたサラダをアレンジ。
ドラゴンベリーを少し加えて、ピリッとしたアクセントにしてみた。
カイラが魔法でドラゴンベリーの辛味を調整して、食べやすい味に。
完成したサラダをチームで試食した。
ムーンビーンズの甘みと、ドラゴンベリーのピリ辛が、絶妙なバランス。
ウィンドハーブの爽やかさが、全体を引き締める。
リナが一口食べて叫んだ。
「うっわ!めっちゃ美味い! このピリ辛、クセになる! これ、コンテストで絶対ウケるよ!」
トムが満足気に頷きながら言った。
「確かに、こいつはいけるな。ラルフの魔法料理がどんなもんか知らねえけど、負けねえぞ。」
カイラが微笑んで言った。
「ドラゴンベリーの力アップ効果もちゃんと出てたわ。審査員が食べたら、元気になっちゃうかもね?優、いいスタートだね。」
キラが、ピピッと鳴いて、サラダの豆をつついてる。
なんか、キラもコンテストにワクワクしてるみたい。
夜、宿屋の部屋で、みんなでコンテストの戦略を練った。
リナが目を輝かせて言った。
「優の料理、カイラの魔法、トムの知識、私のサポート、キラの嗅覚! このチーム、絶対優勝だよ!」
トムが笑いながら言った。
「ルミエールに来てこんなチームに入れるなんて俺はついてるぜ!優!明後日のコンテスト、気合入れろよ!」
カイラがグラスを掲げて言った。
あ、またお酒…。
「ルミエールのコンテスト、私たちの絆で勝ち抜きましょうね!優、最高の料理を期待してるわよ!」
キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も頑張る!」って言ってるみたい。
はあ、癒やされる。
この日記はリナが持ってた紙に書いた。
紙の準備もサポートってこと…?
キラは、僕の膝で寝てる。
明日はコンテストの準備を本格化させる。
どんな食材、どんなライバルが待ってるんだろう?
頑張るぞ。
213
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
異世界ネットスーパー始めました。〜家事万能スパダリ主夫、嫁のために世界を幸せにする〜
きっこ
ファンタジー
家事万能の主夫が、異世界のものを取り寄せられる異世界ネットスーパーを使ってお嫁ちゃんを癒やしつつも、有名になっていく話です。
AIと一緒に作りました。私の読みたいを共有します
感想もらえたら飛んで喜びます。
(おぼろ豆腐メンタルなので厳しいご意見はご勘弁下さい)
カクヨムにも掲載予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる