優の異世界ごはん日記

風待 結

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ルミエール到着

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日記、十一日目。



ついに王都ルミエールに到着した!  
ウィンドホロウからトムのショートカットを通って、予定より早く着けたよ。  
リナの弓、カイラの魔法、トムの知識、キラの嗅覚、そして僕の料理で、最高の旅だった。  
ルミエールの市場は、想像を超える規模で、魔法の食材が山ほど!  
料理コンテストの話も進んで、なんだかドキドキが止まらない。  
でも、町に着いたら、ちょっとしたハプニングもあったんだ。  
この世界、ほんと一瞬も気が抜けないよ。  


---


トムの案内したショートカットの森を抜けると、遠くにルミエールの城壁が見えてきた。  
高い石の壁に、キラキラ光る魔法の結界が張られてる。  
門の近くには、馬車や冒険者、商人で賑わってる。  
キラが、僕の肩でピピッと鳴いてる。
興奮してるみたい。  

「うっわー!ルミエールってやっぱめっちゃでかい!  これが王都!?  優、早く市場行こうぜ!」  

リナが目をキラキラさせて叫んだ。  
カイラが地図を片手に微笑んだ。  

「ルミエールはエルドリア大陸の中心よ。市場にはドラゴンベリーやフロストハーブみたいな魔法の食材が揃ってる。コンテストの準備も早めに始めようね。」  

トムが剣を肩に担いで言った。  

「市場もいいがコンテストの会場もチェックしねえとな。ルミエールの料理人は結構手強いぜ。優、負けねえように、気合入れろよ!」

「うん、もちろんだよ! まずは市場で食材見て、どんな料理作るかイメージしたいな。」  

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も食材探すよ!」って言ってるみたい。  
可愛い。

ルミエールの門をくぐると、街は活気で溢れてた。  
石畳の道に、魔法で浮かぶ街灯、色とりどりの看板。  
市場は広場に何百もの屋台が並んでて、見たことない食材が山積みだ。  
ドラゴンベリーは真っ赤で少し煙みたいなオーラを放ってる。  
フロストハーブは触るとひんやりして、キラキラ光る。  
ゴールデンホークの肉も市場の奥で高級食材として売られてる。  

「これがドラゴンベリー!? なんかめっちゃ熱そう!  カイラ、これはどうやって使うの?」  

カイラが杖でドラゴンベリーをスキャンした。  

「食べると体が熱くなって一時的に力が上がるわ。でも辛味が強いから調理法に気をつけないといけないわね。スープやソースに少し混ぜると、いいアクセントになると思うわよ。」

リナがフロストハーブを手に持ってニヤニヤ。  
何?ちょっと怖いんだけど。

「ねーねー!これ、めっちゃ冷たい!  デザートに使ったらシャーベットみたいになるんじゃない?」  

「いいね!  フロストハーブでひんやりデザート、絶対試したい!  トム、ゴールデンホークの肉はどう思う?」  

トムが肉をじっと見て言った。  

「ここのは新鮮でいいな。 昨日、俺らが狩ったやつと同じくらいだ。 ステーキにしたらコンテストでも目立つんじゃねえか?」

市場でドラゴンベリー、フロストハーブ、ゴールデンホークの肉、そしていくつか新しいスパイスを買った。  
『スタークローブ』っていう、星形のスパイスは、甘い香りで、気分を落ち着かせる効果があるらしい。  

---

ルミエールの宿屋『ムーンライトイン』にチェックインして、コンテストの詳細を聞きに行った。  
コンテストは明後日から始まる。  
ルールは、3日間で3つの課題をクリアする形式。  
初日は「地元の食材を使った前菜」、2日目は「魔法の食材を使ったメイン」、3日目は「自由テーマのデザート」。  
審査員は、ルミエールの有名な料理人と、魔法使いギルドの代表だ。  

「3日間か! 大変だけどめっちゃ面白そうじゃん?優、どんなメニューにする?」  

リナが宿屋の食堂で目を輝かせて言う。  

「うーん、初日の前菜は、ムーンビーンズとウィンドハーブのサラダをベースに、ちょっとアレンジしてみる。2日目は、ゴールデンホークのステーキに、ドラゴンベリーのソースかな。 あとは…デザートはフロストハーブのシャーベットに、スタークローブでアクセントつけたいな。」  

カイラが、メモを取りながらうなずいた。  

「いいんじゃない?私の魔法で食材の魔力を最大限に引き出せるようにするわ。特にドラゴンベリーの力アップ効果は審査員にアピールできそう。」  

トムが、ニヤッと笑って言った。  

「優の料理なら審査員もビビるんじゃね?でもルミエールの料理人は魔法使いと組んでるやつもいるから油断すんなよ。」  

その時、宿屋の食堂に、派手な服を着た男が入ってきた。  
金髪にキラキラしたマント、手に持ってるのは魔法の杖。  
後ろには、シェフのエプロンをした女性がいる。  
明らかに、コンテストのライバルっぽい雰囲気だ。  
でもエプロンして外を出歩くのはどうなの?キッチンに土とか埃とか入っちゃわない?
いや、人のファッションに口出しはしちゃいけないか。

金髪男が僕たちのテーブルに近づいてきた。  

「お前らがウィンドホロウで噂になってた料理人のチームか? 俺はラルフ、ルミエールの魔法使いだ。こっちは、俺のパートナーのシェフでアリシア。コンテストは俺たちの料理が一番になるぜ。」  

アリシアが自信満々に微笑んだ。  

「あなたの料理はウィンドホロウでは評判だったみたいね。でも、ここルミエールじゃ私の魔法料理がトップよ。」  

リナがムッとして立ち上がった。  
もう…血の気多いなあ。

「ほー!言うね!  優の料理は絶対負けないから!  カイラの魔法だってめっちゃすごいんだから!」  

矛先を向けられカイラが冷静に言った。  

「ラルフ、アリシア、自信があるのはいいけど、コンテストで実力を見せ合いましょう。  優の料理と私の魔法、そしてリナのサポートにトムの知識、キラの嗅覚。 私たちのチームも負けないわよ。」  

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「やる気満々!」って言ってるみたい。  
ええー、キラも血の気多い感じ??
トムが剣を軽く叩いて笑った。  

「へえ、面白そうじゃん。 優!こいつらに負けねえように、気合入れろよ?!」  

ラルフがニヤリと笑って言った。  

「ふん、いいだろう。コンテストで、俺たちの魔法料理をたっぷり味わわせてやるよ。」  

ラルフとアリシアは、テーブルを離れていった。  
え、何あの悪人みたいな言い方…。料理対決ってそういう感じ?
リナが拳を握って言った。  

「むっかつくー!  優!絶対絶対あの二人をぶっ倒そうね!」  

リナ…なんか体から湯気出そうになってる…怖い。

「はは…落ち着いて、リナ。 まあでも確かに燃えてきたよ。 コンテストは最高の料理で勝つぞ!」  

「おお!」


---

その夜、宿屋のキッチンを借りて、コンテストの練習を始めた。  
初日の前菜用に、ムーンビーンズをベースにしたサラダをアレンジ。  
ドラゴンベリーを少し加えて、ピリッとしたアクセントにしてみた。  
カイラが魔法でドラゴンベリーの辛味を調整して、食べやすい味に。  

完成したサラダをチームで試食した。  
ムーンビーンズの甘みと、ドラゴンベリーのピリ辛が、絶妙なバランス。  
ウィンドハーブの爽やかさが、全体を引き締める。  

リナが一口食べて叫んだ。  

「うっわ!めっちゃ美味い!  このピリ辛、クセになる!  これ、コンテストで絶対ウケるよ!」  

トムが満足気に頷きながら言った。  

「確かに、こいつはいけるな。ラルフの魔法料理がどんなもんか知らねえけど、負けねえぞ。」  

カイラが微笑んで言った。  

「ドラゴンベリーの力アップ効果もちゃんと出てたわ。審査員が食べたら、元気になっちゃうかもね?優、いいスタートだね。」  

キラが、ピピッと鳴いて、サラダの豆をつついてる。  
なんか、キラもコンテストにワクワクしてるみたい。  

夜、宿屋の部屋で、みんなでコンテストの戦略を練った。  
リナが目を輝かせて言った。  

「優の料理、カイラの魔法、トムの知識、私のサポート、キラの嗅覚!  このチーム、絶対優勝だよ!」  

トムが笑いながら言った。  

「ルミエールに来てこんなチームに入れるなんて俺はついてるぜ!優!明後日のコンテスト、気合入れろよ!」  

カイラがグラスを掲げて言った。  
あ、またお酒…。

「ルミエールのコンテスト、私たちの絆で勝ち抜きましょうね!優、最高の料理を期待してるわよ!」  

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も頑張る!」って言ってるみたい。  
はあ、癒やされる。



この日記はリナが持ってた紙に書いた。  
紙の準備もサポートってこと…?
キラは、僕の膝で寝てる。  
明日はコンテストの準備を本格化させる。  
どんな食材、どんなライバルが待ってるんだろう?  
頑張るぞ。  



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