優の異世界ごはん日記

風待 結

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森の狩りと魔法の料理

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日記、七日目。

この世界に来て七日目。  
今日、僕たちは王都ルミエールへの旅の準備のために、村の外の森へ出かけた。  
リナ、カイラ、キラ、そして僕の四人(?)で、スプリングリザードの卵を探しに行ったんだ。  
初めての本格的な冒険だったけど、めっちゃドキドキした!  
カイラの魔法とリナの弓、そしてキラの鋭い嗅覚が、最高のチームワークだった。  
そして初めて魔法を使った料理を試してみた。  
この世界ってほんと面白いよね。


---


朝、宿屋「オークの休息」を出て、僕たちは森の奥へ向かった。  
リナは弓と矢筒を背負い、カイラは木の杖を手に持ってる。  
キラは僕の肩に乗って、ピピッと鳴きながら周りをキョロキョロ。  
なんかめっちゃ頼もしいパーティーだな。  

リナが軽やかな足取りで先頭を歩きながら言った。  

「スプリングリザードの卵は、森の奥にある岩場に巣があるんだ。でも親リザードが守ってるから、ちょっと戦う必要があるかも。優は怖くても逃げないでね!」  

「う、うん、頑張るよ……。でも戦うのはリナとカイラに任せてもいいかな?」  

カイラがクスクス笑って答えた。  

「大丈夫、優は料理に専念して。戦闘は私とリナでカバーするから。私の魔法で、リザードをびっくりさせちゃうから!」  

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も戦うよ!」って言ってるみたい。  
いや、キラは戦わないでいいからね。  
食材探すのを頼りにしてるよ。  

森の奥に進むにつれて、木々が密集して、空気がひんやりしてきた。  
紫がかった樹皮の木や、キラキラ光る花がそこかしこに。  
遠くで、昨日聞いたような獣の鳴き声が聞こえる。  
やっぱり、この世界の森はちょっと怖いな。  

しばらく歩くと、岩場が見えてきた。  
ゴツゴツした岩の間に、苔や小さな草が生えてる。  
その中に、緑色の殻に白い斑点がある卵がいくつか転がってる。  
スプリングリザードの卵だ!  

「あった! あれ、絶対スプリングリザードの卵だよ!」  

リナが、興奮気味に指差した。  
でも、その瞬間、岩の陰からガサッと音がした。  
出てきたのは、1メートルくらいのトカゲみたいなモンスター。  
緑色の鱗に、背中に小さな突起が並んでる。  
目がギラッと光って、めっちゃ威圧的だ。  

「スプリングリザードだ! 優、キラ、さがって! カイラ、援護頼む!」  

リナが、素早く弓を構えた。  
カイラが、杖を振って呪文を唱えた。  

「フレア・スパーク!」  

カイラの杖から、キラキラした光の粒が飛び出し、リザードの前に落ちた。  
バチッと小さな爆発音がして、リザードが驚いたように後ずさる。  
その隙に、リナが矢を放つ。  
矢はリザードの足元に刺さり、リザードがキシャッと鳴いて逃げ出した。  

「よし、追い払った! 優、卵、採っちゃお!」  

リナがニヤッと笑って岩場に近づいた。  
僕とカイラも、急いで卵を拾い始めた。  
卵は、鶏の卵より少し大きくて、殻が硬い。  
キラが、ピピッと鳴きながら、卵の匂いをクンクン嗅いでる。  

「キラはいい仕事してるね。この卵、すごく新鮮そうだよ。」  

カイラが卵を手に持って、杖で軽く叩いた。  
卵の周りに薄い青い光が広がった。  

「これは私の保存魔法。これで、卵が旅の間も新鮮なまま保てるの。料理する時まで、完璧な状態で使えるわ。」

「すげえ! 魔法で鮮度キープ!? なにこれ、めっちゃ便利じゃん!」  

リナが卵を布の袋に詰めながら言った。  

「カイラの魔法ってほんと役立つよね!優、これで道中の料理が楽しみ! になったよ!スプリングリザードの卵ってどんな味か早く食べたい!」  

卵を20個くらい集めて、森を出た。  
帰り道、キラが突然ピピッと鳴いて、茂みの方に走り出した。  
追いかけると、そこには小さな赤い花が咲いてた。  
花びらが、まるで炎みたいに揺れてる。  

「これ!クリムゾンブレイズだわ!めっちゃレアなハーブなのよ!食べると体がポカポカするし料理にも使えるわ。」

カイラが興奮気味に説明してくれた。  
クリムゾンブレイズってなんかカッコいい名前だな。  
スープやグリルに使ったら、面白いアクセントになりそう。  


---


宿屋に戻って、キッチンで早速スプリングリザードの卵を調理することにした。  
カイラの魔法で鮮度が保たれてるから、卵はツヤツヤだ。  
リナが言ってた通り、クリーミーでハーブっぽい風味らしいから、シンプルな卵焼きにしてみよう。  
クリムゾンブレイズを少し加えて、温まる効果をプラスする。  

キッチンでは、カイラが魔法で火加減を調整してくれる。  
彼女が杖を振ると、薪の火がちょうどいい強さに安定する。  
すごい!
めっちゃ便利!  
現代のガスコンロより、こっちの方が楽かも。  

「卵焼きってどうやって作るの? この世界じゃ、卵はスープか茹でるくらいしかやらないんだよね。」  

リナが、興味津々で覗き込んでくる。  

「うん。シンプルだけど火加減が大事なんだ。カイラの魔法で完璧な火加減にできるから、ふわっとした卵焼きになるよ。」  

卵をボウルに割り、リバーリーフを細かく刻んで混ぜる。  
クリムゾンブレイズをほんの少し、指先でつまんで加えた。  
フライパンにオリーブオイルを熱し、卵液を流し込む。  
カイラが杖で火を微調整してくれて、ふわっとした焼き上がりになった。  

完成した卵焼きは、黄金色で、ほのかにハーブの香りが漂う。  
クリムゾンブレイズの効果か、食べると体がポカポカしてくる。  

リナが一口食べて叫んだ。  

「うわ、めっちゃふわふわ! この温まる感じ、クリムゾンブレイズの効果だ!  優、カイラ、最高のコンビだよ!」  

カイラがちょっと照れながら言った。  

「私の魔法はただの火加減調整だけど、優の料理と合うと、こんなに美味しくなるんだね。王都でもっとすごい魔法と料理を試してみたいな。」  

カールさんが、卵焼きを一口食べて満足そうに頷いた。  

「お前ら、ほんとすげえな。この卵焼きは村の料理じゃ考えられねえ。ルミエールのコンテストも絶対勝てるぞ。」  

村人たちも、卵焼きを食べて、ポカポカ効果に驚いてる。  
子供たちが、「体が温かい!」ってはしゃいでるのが、めっちゃ微笑ましい。  

その夜、食堂で、僕、リナ、カイラ、キラで旅の計画を立てた。  
馬車は明日出発。  
ルミエールまでの三日間、途中の森や町で食材を集めながら進む。  
カイラが、魔法の道具で食材を保存してくれるし、リナがモンスターから守ってくれる。  
キラは、食材を見つける名探偵(?)だ。  
僕の役目は、みんなを喜ばせる料理を作ること。  

「優の道中のご飯、めっちゃ楽しみ! モンスターの肉とかどんな料理になるかな?」  

リナが目を輝かせて言う。  

「うん、ゴールデンホークの肉とか、ドラゴンベリーとかも試してみたいな。  カイラの魔法で、どんなすごい料理ができるか楽しみだよ。」  

カイラが微笑んで言った。  

「私の魔法ももっと研究して、優の料理をサポートするわ。ルミエールのコンテスト、絶対優勝しましょうね!」

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も頑張るよ!」って言ってるみたい。  
このチーム、ほんと最高だな。  

この日記、リナがまた紙を貸してくれた。  
キラは、僕の膝で寝てる。  
明日、ルミエールへの旅が始まる。  
どんな食材、どんな冒険が待ってるんだろう?  
料理でみんなを幸せにできるように、頑張るぞ!




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