優の異世界ごはん日記

風待 結

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旅の始まりと道中の料理

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日記、八日目。

オークウェル村を離れてついに王都ルミエールへの旅が始まった。  
リナ、カイラ、キラ、そして僕の四人(?)で、馬車に揺られながらの冒険だ。  
森を抜けて初めての町にたどり着いたけど、そこで出会った食材や人々が、想像以上に刺激的だった。  
道中の料理も、みんなを笑顔にしてくれる。  
この世界の食材とカイラの魔法のおかげで、料理の可能性がどんどん広がってる。  
王都に着くのが、ますます楽しみになってきたよ。  

---

朝早く、宿屋「オークの休息」でカールさんに見送られて、僕たちは馬車に乗り込んだ。  
馬車は、木製でちょっとガタガタするけど、頑丈な作りだ。  
リナが御者を務め、カイラが地図と魔法の道具をチェックしてる。  
キラは、僕の膝の上でピピッと鳴きながら、外の景色をキョロキョロ見てる。  

「優、初めての旅、ワクワクするでしょ?  
ルミエールまでは三日だけど、途中の森や町で、面白い食材いっぱい見つかるよ!」  

リナが馬の手綱を握りながら、ニコニコして言う。  

「うん!とっても楽しみ! スプリングリザードの卵もすごく美味しかったし、もっとすごい食材に出会いたいな。」  

カイラが地図を広げながら言った。  

「最初の町のウィンドホロウには、小さいけど市場があるわ。そこなら、ルミエールほどじゃないけど、ちょっと珍しい食材が手に入る。私の魔法で食材の魔力を調べてあげるから、料理の参考にしてね。」  

「魔力の食材、か……。どんな効果があるんだろう? ね、カイラ、教えてよ!」  

カイラが杖を軽く振って、小さな光のリストを空中に投影した。  

「例えば、ウィンドホロウの市場には、シルバーリーフっていうハーブがあるの。食べると、ちょっとだけ動きが速くなる効果があるわ。あとはブレイズナッツっていう木の実があって、焼くと香ばしくて、気分をリフレッシュさせる効果があるわね。」

「シルバーリーフ!? ブレイズナッツ!?  へぇ…それ、料理に使ったら、どんな味になるんだろう!?」  

頭の中で、メニューが膨らんでいく。  
シルバーリーフは、葉っぱっぽいしサラダやスープにアクセントとして使えそう。  
ブレイズナッツは、焼くと香ばしいってことだしローストしてデザートやおつまみにしたら、面白そうだ。  

キラが、ピピッと鳴いて、馬車の窓から外を指差した。  
見ると、道の脇に、キラキラ光る小さな実がなってる低木がある。  
なんだろう?
イルミネーションとはちょっと違うよね?

「キラ、どうした?また何か見つけたの?」  

リナが馬車を止めて、木に近づいた。  

「おっ!!これ、スターライトベリーだ!甘酸っぱくて、夜に食べると、体が軽く感じるんだよ。優、これ、絶対料理に使えるよ!」  

カイラが、杖でベリーを調べた。  
青い光がベリーを包み、彼女が頷いた。  

「うん、魔力もちゃんと含まれてる。スターライトベリーは、疲労回復の効果があるよ。旅の途中で食べると、元気が出るから、いい食材だね。」  

「よし、じゃあ、採っちゃおう! キラってばナイス発見!」  

キラが、ピピッと得意げに鳴いた。  
僕とリナで、スターライトベリーを布の袋に詰めた。  
小さいけど、キラキラ光る実が、なんか宝石みたいだ。  

---

昼過ぎ、馬車はウィンドホロウの町に到着した。  
オークウェルより少し大きく、石造りの建物が並んでる。  
市場は、広場に色とりどりの屋台が並んでて、活気がある。  
魚や肉、野菜、果物、そしていくつかの見たことない食材が並んでる。  
シルバーリーフやブレイズナッツも、屋台の隅に置いてあった。  

「うわ、めっちゃ賑やか!リナ、カイラ、どれから見る?」  

リナが目を輝かせて言った。  

「全部! でも、まずはシルバーリーフ!  
ハーブ大好きだから、どんな味か気になる!」  

カイラが屋台のおじさんに話しかけた。  

「シルバーリーフ、1束ください。ブレイズナッツも、200gくらい。」  

おじさんが、ニコニコしながら袋に詰めてくれた。  

「お嬢さん、いい目してるね。シルバーリーフは、スープに入れるとサッパリするよ。 ブレイズナッツは、焼くと香ばしくて、子供たちに大人気だ。」  

「ありがとう! これで、どんな料理作ろうかな。」  

市場を歩きながら、ほかの食材もチェックした。  
青い魚『サファイアフィッシュ』は、焼くとバターみたいな風味が出るらしい。  
『クラウドマッシュルーム』は、茹でるとふわっとした食感になるキノコ。  
全部、すっごく料理の想像をかきたてる!  

その夜、ウィンドホロウの宿屋で、夕食の準備を始めた。  
リナとカイラが交渉して僕が料理を振る舞って美味しければ宿代をまけてもらうんだって。
すごいよね二人とも。
抜け目ないなあ。
宿屋のキッチンは、オークウェルのより少し立派で、鉄のオーブンもある。  
カイラが、魔法で火を安定させてくれる。  

「優、今日は何作るの? スターライトベリー、使ってみる?」  

「うん、メインはサファイアフィッシュのグリルに、シルバーリーフでアクセントつけて。デザートは、ブレイズナッツとスターライトベリーのタルトにしようかな。」  

リナが目をキラキラさせて言った。  

「タルト!?  やばい、めっちゃ楽しみ!  
キラも、絶対食べるよね?」  

キラが、ピピッと鳴いて、キッチンの隅で跳ねてる。  
なんか、キラも料理にワクワクしてるみたいだ。  
なんというかリナとキラって似たもの同士な感じがしちゃうな。癒やされる。

サファイアフィッシュは、鱗を取って、シルバーリーフと塩、オリーブオイルでマリネ。  
カイラの火魔法で、じっくり焼き上げる。  
魚の表面がカリッと、中はふわっと仕上がった。  
ブレイズナッツは、軽くローストして、スターライトベリーとルミナフラワーの蜜でタルトのフィリングに。  
クラグポテトをベースにした生地に詰めて、オーブンで焼く。  

完成した料理を、宿屋の食堂に運んだ。  
ウィンドホロウの宿屋は、旅人や商人で賑わってる。  
みんな、僕の料理を見て、興味津々だ。  

「なんだ、このキラキラしたタルトは!?魚も、とんでもなくいい匂いがする!」

旅人の一人が、リナと同じくらい興奮して叫んだ。  
サファイアフィッシュのグリルを食べた人たちが、シルバーリーフの爽やかな風味に驚いてる。  

「この魚はバターみたいに濃厚なのに、軽い! それになんだこのハーブ!?」  

タルトも大好評。  
ブレイズナッツの香ばしさと、スターライトベリーの甘酸っぱさが、みんなを笑顔にしてる。  
カイラが、食べてる間に魔法で分析してくれた。  

「シルバーリーフはちゃんと動きを速くする効果が出てるわね。スターライトベリーも、疲労回復の魔力がちゃんと働いてる。 優ってばほんと料理で魔力を引き出すの、上手なのね!」

リナが、タルトを頬張りながら叫んだ。  

「優、天才!  このタルト、食べると元気出てくる!  旅の疲れも吹っ飛んだよ!」  

キラが、ピピッと鳴いて、タルトの欠片をつついてる。  
なんか、キラも元気になってるみたい。  

宿屋の主人が、満足そうに言った。  

「お前、ルミエールの料理コンテストに出るんだろ?  この料理なら、絶対目立つぞ。  王都の料理人もビビるんじゃねえか?」  

その夜、食堂は笑い声と美味しい匂いでいっぱいだった。  
リナ、カイラ、キラと一緒に、テーブルで料理を食べながら、王都の話をした。  

「優、王都の市場はもっとすごいよ。 ドラゴンの鱗で作ったスパイスとか、魔法の果物とか、なんでも揃ってる!」  

「ドラゴンの鱗!?  食べられるの?!それってどんな味!?」  

カイラが、笑いながら答えた。  

「ちょっとピリッとするけど、食べると体が熱くなるの。コンテストではそういう食材を使った料理が評価されるのよ。優なら、すごいメニュー思いつきそうね!」

キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も食べる!」って言ってるみたい。  
可愛い。
このチーム、ほんと最高だ。  

この日記はリナが馬車に積んでた紙に書いた。  
流石だよなあ。
料理に関係してるのなら欠かせないよね!だってさ。
キラは、僕の膝で寝てる。  
明日、ルミエールに近づく。  
どんな食材、どんな冒険が待ってるんだろう?  
料理で、みんなを幸せにできるように、頑張るぞ。  



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