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ショートカットの試練と絆の深まり
しおりを挟む日記、十日目。
ルミエールへの旅の三日目。
ウィンドホロウを離れてトムの案内するショートカットを通って進んでいる。
森の道は予想以上に険しかったけど、トムの知識とリナの弓とカイラの魔法、それにキラの鋭い嗅覚が大活躍。
途中で手に入れた新しい食材で、キャンプでの料理も盛り上がった。
トムが少しずつチームに馴染んできて、なんだか本物の仲間って感じになってきた。
ルミエールがもうすぐそこ。
どんな冒険と料理が待ってるんだろう?
---
朝、ウィンドホロウの宿屋「シルバーリーフ亭」を後にして、僕たちはトムの提案したショートカットの森へ向かった。
馬車は馬の故障で使えないから、徒歩での移動だ。
リナが荷物を背負い、カイラが魔法の道具を手に、トムが地図をチェックしながら先頭を歩く。
キラは僕の肩に乗って、ピピッと鳴きながら周りをキョロキョロ。
「ちょっとトム、このショートカットってほんと安全なの? ブラックウルフが出ないって言ったけど、なんか怪しい雰囲気だよ……。」
リナが弓を手に警戒しながら言う。
トムがニヤッと笑って答えた。
「心配すんなってリナ。 この森は俺が何度も通ってるんだ。ブラックウルフはメインルートに多いけど、このショートカットは小さいモンスターしか出ねえ。ただ、道がちょっと険しいから、気をつけな。」
カイラが、杖を手に冷静に言った。
「トムの言う通りなら、効率的にルミエールに着けるわね。でも、念のために私の魔法で周囲をスキャンしておくわね。」
カイラが杖を振ると、青い光が広がり、森の木々の間をスーッと進んだ。
「今のところは大きなモンスターの気配はない。でも、優とキラは荷物持つのは大変だし疲れたら言ってね。」
「ありがと、カイラ。キラ、食材探し、頼りにしてるよ!」
キラが、ピピッと鳴いて、まるで「任せて!」って言ってるみたい。
やる気満々だ。可愛い。
森の道は、確かに険しかった。
木の根っこが地面から飛び出してて、つまずきそうになる。
時々、細い川を渡ったり、岩を登ったり。
でも、トムが道をしっかり把握してて、迷わず進める。
「トム、ほんとこの森、詳しいね。冒険者として、結構旅してるの?」
トムが肩をすくめて答えた。
「まぁな。ソロでやってたから、いろんなルート覚えた。金欠でイライラしてたけど、お前らの料理食って、なんか落ち着いたんだ。だから、このショートカットもちゃんと案内して恩返ししたいんだよ。」
リナがちょっと驚いた顔で言った。
「へえ、トム、意外と真面目じゃん。でも、ケンカは控えてよね。 優の料理のためにも平和な旅がいいから!」
トムが笑って手を振った。
「了解、了解。俺だって優の料理、毎日食えるなら、ケンカなんてしないぜ。」
「そうだよね!」
---
昼過ぎ、森の奥でキャンプを張ることにした。
小さな清流のそばで、木々の隙間から陽光が差し込む、いい場所だ。
キラが、ピピッと鳴きながら、近くの茂みに走っていった。
追いかけると、そこには紫色の小さな実がなってる低木があった。
「キラ!お手柄ね!これはナイトシェードベリーだわ!甘酸っぱくて、食べると少し眠気が和らぐの。夜のキャンプにピッタリなのよ!」
カイラが杖でベリーを調べた。
「うん、魔力的にも問題ない。ナイトシェードベリーは、集中力を高める効果もあるのよ。 優、これ、デザートに使ってみたら?」
「へえ、いいね! じゃあ、今夜はブラックウルフが出たらその肉でステーキ作ってナイトシェードベリーのソースって感じかな?」
リナが目を輝かせて言った。
「ステーキ!? やばい、めっちゃ楽しみ!
トム!ブラックウルフ出たら、ちゃんと倒すの手伝ってよ!」
トムが剣を手にニヤッと笑った。
「何で出る前提で話すんだよ…。まぁいいや。任せな。 俺の剣なら、ブラックウルフくらい一撃だ。」
その時、森の奥からゴソゴソと音がした。
リナが素早く弓を構え、カイラが杖を上げた。
トムも剣を抜いて、僕の前に立った。
「優、さがれ! 何かいるぞ!」
キラが、ピピッと鳴いて、茂みに飛び込んだ。
そしたら、飛び出してきたのは、ブラックウルフじゃなくて、でっかい鳥みたいなモンスター。
青い羽に、金色のクチバシ。
「ゴールデンホークだ! これもめっちゃ美味い肉なんだよ! 食材ゲットチャンス!」
リナが矢を放ち、ゴールデンホークの翼をかすめた。
鳥がキーッと鳴いて飛び上がろうとした瞬間、カイラが呪文を唱えた。
「アイス・バインド!」
カイラの杖から冷気が放たれ、ゴールデンホークの足が凍りついた。
トムがすかさず剣で飛び込み、ホークを仕留めた。
みんな素早い…あっという間だ。
「よーし!ゲット! 優!こいつの肉、めっちゃ柔らかくて、焼くと香ばしいぞ!」
「すげえ! リナ、カイラ、トム、ナイスチームワーク! キラもホーク見つけてくれてありがとうね!」
キラが、ピピッと鳴いて、得意げに羽を振った。
---
キャンプに戻って、ゴールデンホークの肉を調理することにした。
カイラの魔法で、肉を新鮮なまま保存。
ナイトシェードベリーを潰して、ルミナフラワーの蜜と混ぜ、甘酸っぱいソースを作る。
ゴールデンホークの肉は、ウィンドハーブと塩でシンプルに味付けして、キャンプの火でグリル。
カイラが火魔法で、完璧な焼き加減にしてくれる。
完成したステーキは、表面がカリッと、中がジューシー。
ナイトシェードベリーのソースが、肉の濃厚な旨味に爽やかなアクセントを加える。
リナが一口食べて叫んだ。
「うわ、めっちゃ美味い! この肉、柔らかすぎ! ソースの甘酸っぱさも最高じゃん!」
トムがステーキをガツガツ食べながら言った。
「お前、ほんとすげえよ。 こんな美味い飯、ソロじゃ絶対食えねえ。 ルミエールまで、絶対ついてくぜ。」
カイラが微笑んで言った。
「ゴールデンホークの肉は集中力アップの効果もちゃんと出てたよ。ナイトシェードベリーのソースもいいアクセントになってる。」
キラが、ピピッと鳴いて、ステーキの欠片をつついてる。
なんか、キラも満足そう。
ステーキも食べるんだね?
キラは食いしん坊さんかな?
可愛いからいいんだけどそ。
夜へキャンプの火を囲んで、みんなでルミエールの話をした。
トムが剣を磨きながら言った。
「ルミエールのコンテストってどんなやつが出るんだろうな。 俺は剣士として、優の食材集めもちゃんと手伝うぜ。」
リナがニヤッと笑って言った。
「トム、意外と役立つじゃん! でも、ケンカは禁止ね! 優の料理のために、平和なチームでいくんだからね!」
「わかった、わかった。」
カイラが笑いながらグラス(っぽいもの)を掲げた。
「優の料理にリナの弓、トムの剣と私の魔法、そしてキラの嗅覚。 ふふっ、ルミエール、絶対盛り上げるわよ!」
キラが、ピピッと鳴いて、まるで「僕も!」って言ってるみたい。
就寝前にいつもの日記。
キラははいつものように僕の膝で寝てる。
明日はルミエールに到着する。
どんな食材、どんなコンテストが待ってるんだろう?
料理で、みんなを幸せにできるように、頑張るぞ。
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