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130 城外乱闘
しおりを挟むドカン! と破壊音が鳴り、査問会が開かれていた部屋全体がゆれて、壁に大きな穴があきました。
廊下へともつれあうかのようにして転がり出たのは、フレイアとレプラ。
そこでまたもや、ドカン! と一発。
青みがかった重厚な石が砕け散り、廊下の壁にも大きな穴が。
勢いよく城の外へと飛び出した二人。
両手足が女性のソレではなくて、まるで甲冑を身につけた騎士のような姿になっており、爪や拳、ヒジやヒザやつま先あたりが、凶悪そうなトンガリ具合。ドラゴンのウロコが変形したものらしく、その背からはツバサも生えている。
どうやらドラゴンは半竜半人の姿にもなれるみたいです。
そんな両者がガツンガツンと空中でやりあっている。
フレイアの赤さび色の拳がふるわれれば、レプラの黒い蹴りが放たれる。
そのたびに重たそうな音がして、ビリビリと大気がふるえる。
さすがにドラゴンの姿で暴れないところをみると、最低限度の分別は残っているみたいですが、それとていつまでもつことやら。
空の上で暴れている二人を、城の壁にあいた大穴から見上げていたのは、水色オオカミのルクとウルル姫、お使いの男女の計三名と一頭。
「フレイアさん、あんなことも出来たんだ。おおきな剣……、いらないよね」とルク。
「あちきも話には聞いていたけど、見るのははじめてなのじゃ。なんともすさまじいのじゃ」とウルル。「そこだ、イケ。どっちも負けるな」と幼女大興奮。
「あーあ、だからイヤだったんだよ。あの二人がからんだら、ぜったいに何かあるって思ってたんだ」とは、お使いの男性の方。とんだことにまきこまれてしまい、きっと出世にひびくと頭をかかえています。
「レプラさまステキ。ふだんの淡々としたお姿も麗しいけれど、ああやって戦っている姿も凛々しくっていいわ」とは、お使いの女性の方。どうやら彼女はレプラさんがスキみたい。
と、のんびり見学していられたのもここまで。
フレイアさんの一撃を受けたレプラさんが、六つある尖塔のひとつに激突。そのせいでポッキリと塔が折れてしまったから、さぁ、たいへん!
するとその折れた先端部分をレプラさんが両手でつかんで、ぶん投げた。
ものすごい勢いにて飛んでくるソレを、あわててかわしたフレイアさん。ですが狙いがはずれたものが、そのままの勢いにて別の塔にグシャリ。これにて二棟目の塔がゆっくりと傾いていく。
そして右隣りにあった三棟目をもまきこで倒れたからたまらない。
あっという間に塔の数が半分になってしまいました。もちろん城内は上を下への大さわぎです。
ドラゴンたちは人化していても、とってもじょうぶ。だから城の崩壊や瓦礫(がれき)の下敷きになってもへっちゃらですが、だからってこわしていいわけがありません。
それにまだ幼いウルル姫や水色オオカミのルクは、ぜんぜんだいじょうぶじゃない。
だから三人と一頭は、とりあえず城の中央塔から逃げ出して、安全な場所へと向かうことになりました。
ルクたちと入れ替わるようにして現場に駆けつけたのは、多数の警備兵たち。
みな半竜半人の姿となって、空へと舞いあがっては、二人の女性のところに殺到。
「レプラさま、気をおしずめください」
「フレイアさまも、おやめください」
警備兵らのうったえは、まるで聞く耳をもってもらえず。なんとか取り押さえようとするも、「じゃまをするな」とばかりに、これをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
興奮しきっている女たちに殴られ、蹴られ、ぶん投げられた警備兵たちが、大砲の弾のように飛んでは、ボコボコと城の屋根や壁に穴をあけていく。
見る間にボロボロになっていくお城。
せっかくの優美な姿が、いまや見るかげもありません。
そんな城内を「ひえー」と逃げ惑うルクたち。
これでもまだまだぜんぜん本気じゃないというドラゴン同士のケンカ。もしも半竜半人の姿をやめて本来の姿にもどったら、人間の国なんてかんたんに滅びちゃうかも。
街の方へと逃げようとしていたルクたち。ですがそちらに通じる廊下が、崩れて埋まってしまっています。
そこで彼らがとった進路は、奥の本殿へと通じる道。
その先にあるのは皇龍の一族が住まう居城。
この城の背後にそびえる山とみまがう超巨大建造物。
ドラゴンがドラゴンのままで、ふつうに生活できる大きさ。
本来ならば特殊な結界があるので、許可なく立ち入ることはかなわぬ場所なのですが、こちらには第三姫のウルルがいるので問題ありません。
だからそこに逃げ込むことにしたのですが、まさかその行動がひとつの奇跡を呼ぶことになろうとは……。
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