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246 作戦会議
しおりを挟む水色オオカミのルク、翡翠(ひすい)のオオカミのラナ。
皇龍の一族の第二姫ラフィール、赤さび色のドラゴンのフレイア、黒色のドラゴンのレプラ。
天空の覇者グリフォンのルシエルと、その妻のティア。
ドラゴンとグリフォンには、人化してもらっています。本来の姿のままだと、あまりの威容に森全体がふるえますので。
古代バロニア王国の神像ガァルディアの分体であるからくり人形の娘。
西の森の魔女エライザ。
野ウサギのフィオとタピカの兄弟。
森の便利屋さんの仲間であるアライグマのエスタロッサ。
以上がティー奪還作戦にかかわるメンバーたち。
なお黒カラスのセンバはムリがたたって鳥葬の塔にて静養中。
ひさしぶりの再会をよろこぶ者がいる一方で、初顔合わせ同士は互いに自己紹介を和やかにすませていくなか、ちょっとだけヘンな空気が漂っていたのが、ルシエルとティアとレプラの三名。
レプラはかつて武者修行と称して、外界を放浪中にルシエルとやりあって敗北。自分より強い男にすっかりホの字になって、いろいろとがんばったのですがルシエルはとっても鈍かった。
ちっとも想いに気がついてもらえないまま、ダラダラと時間ばかりが流れていく。
そんなレプラを尻目にルシエルの妻の座にあっさりとおさまったのがティア。
だれがわるいともいえない微妙な三角関係?
ですが鈍いのは男ばかり。女はわりとこの手の問題に敏感です。
ましてや複雑な家庭環境のせいで肩身の狭い王宮にて、幼いころよりずっと周囲の悪意と戦いつづけていた経験を持つティアは、とくに観察眼にもすぐれているので、レプラが自分の夫に向ける目を見て、彼女が抱いている感情にすぐに気がつきました。
「はじめまして。ルシエルの『妻』のティアです。以後おみしりおきを」
さりげなく牽制されて愛想笑いをひくつかせたレプラ。
しゅんかん、見えない火花が二人の間にバチバチ散ったようにルクには見えました。
この辺の事情をよく知るフレイアはニヤニヤと意地のわるい笑みを浮かべており、ラフィールは「あらあら、どうしましょう」と言いつつもすこし楽しげ。
そんなラフィールにルクは、北の極界にて氷漬けにされていた婚約者のシャモンを助け出したことをすでに伝えてあります。
ですが彼女は以前のように泣いてとり乱すこともなく、じつに落ちついたもの。
てっきりこっちを放り出して、すぐさま竜の谷へともどるかとおもわれたのですけれども……。
「いいんですのよ。わたしもさんざん待たされてたいそう気をもんだのですから。彼も少しはその辛さを味わうべきです。それに恩人のピンチを見捨ててもどったりしたら、きっとお母さまに怒られてしまいますから」
外界を旅することで、ずいぶんとたくましくなったドラゴンのお姫さま。かつて自分の殻に閉じこもってメソメソ泣いていた姿がウソのようです。
と、和気あいあいとしていたのもここまで。
魔女エライザが場を仕切り、話しを進めはじめたとたんに、みんなの顔が真剣なものになりました。
「戦力的には申し分ないね。ドラゴンたちが来てくれたから足も確保できた。あとはレクトラムの居場所なんだが」とエライザ。
つねに地の国の空を消えたりあらわれたりしながら、気まぐれにフラフラしている白銀の魔女王の城がある浮遊島。それゆえに見つけ出すのがムズかしい。
「それについては心配いらぬ。すでに私の本体が信号を捕捉し、位置情報を追っている」
発言したのはからくり人形のガァルディア。
さらわれたティーが身につけている腕輪には細工がされており、居場所がわかるようになっているそう。これこそがあの腕輪に隠されていたヒミツであったのです。
長兄のフィオに似たのか思慮深いところがある一方で、次兄のタピカの直情的な部分もあわせ持つ末妹のティーは、わりとお転婆。
そんな彼女の身を案じての、もしもの備えが役に立ちました。
魔法ではなく、からくり王クラフトの発明した独自の技術が採用されており、はた目にはただの腕輪にしか見えません。いまだに信号がつづいていることからも、敵方には気づかれていないハズだとのことです。
戦力が整い、居場所もわかっている。あとは敵陣に乗り込むだけ。
話がその段へとさしかかったところで、これまで発言を控えていたエスタロッサが口を開きました。
「わたくしはここに残ります。ざんねんですけれども、わたくしがついて行ったところで足手まといにしかなりませんから。それにティーに託された森の便利屋さんの仕事もありますので」
自分にできることをがんばりながら、みんなの無事の帰りを待つと言うエスタロッサ。
その健気な姿に、みなが感じ入り決意もあらたにします。
「僕はついて行くよ。妹がさらわれたのにダマってなんていられないから」とフィオ。
「オレもオレも! ダメだっていったってついて行くからな。ぜったいにティーをとり返すんだ」とはタピカ。
野ウサギの兄弟は末の妹を助けに行く気まんまんです。
その心意気に「よく言った! それでこそ男の子だ」と笑顔を見せたのはフレイア。
「ふぅ、やっぱりこうなったか。わかった、ならばコレを持っていけ」
やれやれと肩をすくめたエライザがフィオとタピカに手渡したのは、黒カラスのセンバが持っているのと同じような首からさげる魔法の小袋。
「おまえたちの助けになりそうな魔道具を適当にみつくろってある。それを使ってティーを助けろ」
そう言ったエライザもまたここに残るそうです。
いかにすぐれた魔法使いであろうとも、彼女はやや腰の曲がったお婆ちゃん。寄る年波には勝てぬとか。
そのかわりにお手製の魔道具を野ウサギの兄弟へと託したのです。
こうしてすべての準備を整えたルクたちは、エライザとエスタロッサに見送られて、夜明けとともに白銀の魔女王の城を目指して出発しました。
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