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362 竹泉郷 後編
しおりを挟むブルマクVSザロール。
長さがちがう不安定な竹の上にもかかわらず、まるで地面のようにシュッタタと駆けては、華麗に宙を舞い、ときに疾風怒涛の攻勢をみせるTPSハチ女。
スピードこそはそれにおよばないものの、やはり足場の悪さをものともせずに突き進んでは、ときに竹のしなりをも利用して攻撃パターンを瞬時に組み立てる白銀のアリ男。
ぶつかり、離れては、また衝突し、絡み合うようにして疾走しては、打ち合い、互いの身を削り合う。
接触するたびにギャンギャンと。
会場に硬質の剣戟のような音が鳴り響く。
凄まじい応酬。他とは一線を画する実力者同士の激突。
同じ組にいた三体のモブたちは、ふたりの戦いに巻き込まれて撥ね飛ばされてしまい、そうそうに退場となった。
いちおう本大会のルールとして『故意に相手を殺めるような危険行為はしないように』と定めているので、たぶん加減をしているのだろうけど、それでも凄い戦いだ。
「ほへ~、どっちもなかなかやるねえ。名前持ちなだけある。各々看板を背負っているだけのことはある。まぁ、さすがにうちの主力メンバーにはかなわないだろうけど、組頭クラスとならいい勝負かなぁ」
貴賓席にて口元を扇で上品に隠しつつ、私は感心しきり。
このふたり……かなりデキる。
オービタル、セレニティ、それなりに強い種族だとはおもっていたけれども、想定よりもより強くなっている。どうやら互いに競い合うことで高め合ったようだ。
『宝石は摩擦なくして磨かれず、人もまた試練なくして完成されることはない』
とは、よく言ったものである。
あー、ちなみにこの言葉、ローマ帝政初期の哲学者・政治家・劇作家であり、ストア派哲学の代表的存在として知られるルキウス・アンナエウス・セネカというおっさんの格言だ。あの暴君として有名なネロ皇帝の家庭教師を務めた人物でもあったりする。おかげで一時期はブイブイいわせていたらしけど、政争に巻き込まれて失脚して、最終的には自害しているいわくつき。
閑話休題。
ようは両種族ともに、この人外魔境の樹海で一大勢力を築いているのは伊達じゃないということだ。
これは少々両種族に対する認識をあらためた方がよさそうである。
にしてもブルマクとザロールの対決は本当に見応えがある。
まんまバトルマンガのワンシーンにて。
特撮ばりの派手なアクションだ。あとで録画している映像を編集するのがいまから楽しみ、ワクワク。
……なんぞと考えているうちに、勝負にもいよいよ決着の刻が。
互いに突き出した拳が交差しつつ、互いの顔面にめり込んでいる。
クロスカウンターみたな形だが、双方ともにダメージを受けた模様。
でも、こうなると体格に勝るブルマクの方が有利だ。正面からぶつかれば質量がある方が勝つがゆえに。
ぐらりと先に傾いだのは、やはりザロール。
装着しているヘルメットのシールド部分が割れて、なかの素顔がチラッとあらわに。
てっきりハチっぽい顔をしているのかとおもいきや、奥に隠されていたのは美麗な顔立ちにて、宝塚ばりに男装の麗人みたいでおもわずドキリとしちゃう。
そんなザロールだが、ただでは終わらなかった。
このまま泉に落下するかとおもわれたのだけれども、これで誰もが決着だとおもった刹那のことである。
ビュン!
宙に弧を描き跳ね上がったのは、長いおみ足の一本。
倒れる動きを利用しての蹴撃を放つ。
しなやかな背中、海老ぞりとなり後方より足が跳ね上がる。
これは……やや変則のスコーピオンキックだ!
サソリが尾の毒針で獲物を攻撃するかのような動きにて、そう呼ばれている蹴り技。
「えっ、ハチなのにサソリ!」
おもわず突っ込まずにはいられなかったけれども、これがまさかのクリーンヒット。
下方の死角からの不意打ちが完璧に相手の顎先を捉える。
まともに喰らったブルマクの顔がゴキリと直角に曲がったところで、膝から崩れ落ちた。
両者ともに泉に落ちてダブルノックアウト。
よって第二組は勝者ナシという結果とあいなった。
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