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371 第一次防衛ライン戦 ― バブルジェット
しおりを挟む海中にいるボントクは、空の上にいるこちらに気づいていない。
先制攻撃の好機!
大編隊は20機が横並びとなり、これが五列という構成によりアタックを開始する。
正面から近づいては、目標の全身を舐めるようにして爆撃を敢行する。
上空をすれ違いざま、次々に投下される爆雷たち。
その光景はさながらゲリラ豪雨の時に出現する雨柱を彷彿とさせた。
着水するなり後部にあるスクリュウが回転をし、爆雷は目標へと向かって一斉に動き出す。
爆雷の群体。
まるで巨大な一匹の魚のように統制のとれた俊敏な動きは、水族館で見たイワシの群れの舞いのようでとても美しい。
だが、その姿が拝めたのはほんのわずかな時間ばかり。
秘めた凶暴さが獲物へと牙をむくまでのこと。
着弾!
水中にて爆発が連発する。
爆発によって衝撃波が発生するのと同時に、引き起こされたのはバブルパルスなる現象だ。これは水中で発生した泡が膨張と収縮を繰り返す現象のこと。
しかし、ただの泡とあなどるなかれ。
泡の近くに船体などがあると、バブルは膨張と収縮によってそれを巻き込み破壊する力となるのだ。
対象との間に生じる反射波によってバブルがギュムッと押しつぶされることにより形状が変化し、反対側の面がへこんむのだが、これが復元しようとして水流をともないながらバブル中心部に向かう動きが起きて、水流はバブルをも貫通して対象に向かう。
この特殊な水流はバブルジェットと呼ばれ、大きな破壊力を宿す。
じつは魚雷や機雷などの兵器に使用される爆薬は、爆風や爆速よりもバブルパルスが最大になるように計算されて作られている。
意図的にバブルパルスを発生させて、敵艦を沈没させる戦術もあって、魚雷よりも安価な誘導弾で、実験では全長約250メートルの元強襲揚陸艦を真っ二つにして撃沈したというから凄まじい。
閑話休題。
大量の爆撃により海上に極太な柱が盛大にあがった。
吹き上げられた大量の海水が、白い泡沫が、雨となっては周囲へ降り注ぐ。
海は嵐のごとく荒れ狂い、渦を巻く。
だがそれで終わりではなかった。
大編隊の最後尾が投下を終えたのと入れ違うようにして、最前列が戻ってきてはふたたび絨毯爆撃を開始する。
そう、爆撃は一回ではなかったのだ!
繰り返し、執拗に、弾頭が続くかぎり行われる
今回の作戦に投入された爆雷たちがもしも都市部で使用されていたら、大国の王都ですらもたちまち焼け野原となって、すべてが灰燼に帰すだろう。
対象を滅却する爆雷の集中豪雨は、じつに四回も行われた。
落とされたほぼ全弾が目標へと命中したはず。
よしんばはずれても誘爆しては、凶悪なバブルジェットを産み出す一助となったことであろう。
かつて、これほどまでに一点集中された高密度の爆撃があっただろうか?
おそらくは私の前世でもなかったのにちがいあるまい。
本部のモニター越しに第一次防衛ライン戦を見守ってた者らも、あまりの凄まじさに言葉なく固まっている。
そんな攻撃をまともに喰らったのだ。
さしものボントクも――
「……殺ったのかしらん」
こういう台詞がフラグになるとはわかっていても、私はつい口にせずにはいられなかった。
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