竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~

月芝

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387 降下・侵入作戦 ― 心臓ファクトリー

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 サクタがガーディアンを討ち取り首級をあげた。
 この機を逃してなるものか。

「いまだ! 敵を駆逐せよっ」

 私は部隊に突撃を命じた。
 雄叫びをあげては勢いのままに直進し、まずは前方に展開している近衛隊をまとめて薙ぎ払う。
 竹武者たちは一対一でも強いが、仲間と連携しての戦いも心得ている。
 互いをカバーしつつ、効率よく近衛隊のモノらを狩っていく。
 そうして近衛隊をあらかた片付けたら、すかさず反転し、背後から追いかけてきたミニボントクたちを迎え討つ。

 朱色の刃嵐が吹き荒れる。
 中心にいるのは竹女武将マサゴだ。今度は自分の番だとばかりに、二刀流にて寄ってくる敵勢を片っ端に斬り伏せていく。
 サクタ同様にマサゴも見違えるほどに強くなっていた。
 職務の合間に鍛錬を欠かしていないのは、彼女も同じであったのだ。
 それは他の竹武者たちも……

(みんなみんな強くなっている……私だけたいして変わってない。やはりここいらでババーンとパワーアップしておかないと、姫としての立つ瀬が……)

 ……なんぞと考えているうちに、この場での戦闘は集結した。
 べつに確保すべき場所でもないので、私たちはさっさと次へと向かうことにする。

  〇

 ちゃんと目的地へと向かえているのかを、いちいち確認するまでもない。
 進むほどにドクンドクンと脈打つ音が大きくなっているから。
 ボントクの心臓の鼓動だ。
 さすがは超大型生命体だけのことはある。
 モンスタートラックのアイドリングばりにドドドと激しい。
 が、実物はもっと凄かった。

「な、なんじゃこりゃあーっ!」

 いざ、心臓部分へと到達し、私はおもわず大声をあげずにはいられない。
 心臓といえば、だいたい誰もが想像する絵ずらがあるでしょう?
 二心房二心室タイプのやつね。
 ちなみに魚類の場合は、一心房一心室だから。
 哺乳類の心臓に比べたら、魚類のはもっとシンプルだということ。
 まぁ、それはさておき私がびっくらポンしたのは、ボントクの心臓部分がまるで工場のような造りをしていたからである。

 ところどころ発光している。
 入り組んだ太い血管がパイプみたいで、ちょっとした工場夜景みたいな雰囲気なのだ。
 で、予想した通りというか、予想以上というか。
 やはりボントクの心臓はデカかった。

「えーと……タタラ場?」

 一帯が熱を帯びており、かなりの高温多湿にて、生臭いのと合わせて不快指数がMAXだ。
 砂鉄から鉄を作る古代の製鉄所にある炉のごとく大きいのが、たぶん心臓なのだろう。
 ムキムキどころかゴリゴリである。高密度の筋繊維の集合体にて、堅いだけでなく弾力があり、おそらく厚いはず。
 これでは刀や槍はろくに通りそうにない。
 そんなのがドクンドクンと脈打っており、うかつに近くにいたら、ドンっ!
 押されて吹き飛ばされてしまう。

「爆薬を残しておいて正解だった。こんなのまともに壊そうとおもったら、いったい何時間かかることやら」

 私はさっそく爆破解体作業を行うべく、セッティングを始めるように命じる一方で、キョロキョロと探していたのは禍石である。
 禍々の異能を支えているのは禍石だ。
 強い固体ほど、キレイな色や形の整った禍石を保有している。
 雑魚だと梅干しの種みたいなのだが、これがトップクラスの強者だと宝珠と見紛うほどの品となり、内包されている力も桁違いとなる。
 私はそれを吸収し、己が糧にすることができる。
 理論上は禍石を吸収すればするほどにパワーアップし続けることが可能……なはず。

 まぁ、実際にはそんなに単純な話ではないけれど。
 何事にも順序というものがある。
 諸々をすっ飛ばして、いきなり強力な固体の禍石を吸収しようとしても、うまいこといかない。反発を起きて吸収を拒絶されるのだ。
 もしくは力を御しきれずに、我が身が爆散しかねない。
 ようは過ぎた力は、身を亡ぼすということ。
 とはいえ、やりおうはあるわけで……

「はて? てっきり心臓のそばにあるものとおもったんだけど」

 ボントクの禍石がみつからない。
 私が首をかしげていたら、爆薬のセッティングをしているメンバーから「あっちに妙な場所がある」との報告があった。
 どれどれと行ってみれば、扉みたいなものがあって、一定の間隔でガコンガコンと開いたり閉まったりしている。
 隙間から奥をじっとのぞいてみれば、その先は一本の通路になっており、さらに奥は小部屋になっていて、中央には恐竜の卵みたいなのが載った台座らしきものがあった。

「おっ、ボントクの禍石か! やっぱり心臓の近くにあったんだね、しめしめ」

 では、お宝をさっそくいただいちゃおう。
 開閉のタイミングを見計らって、私は通路に踏み込もうとする。
 だが寸前にて背後からのびてきた手により、肩を掴まれ止められた。
 代わりに通路へと投げ込まれたのは、空の竹筒。

 カッコンと床に落ちたとたんに、ビー! ビー! ビー!
 通路全体にバイブ機能みたいなのが働いたとおもったら、あちこちから飛んできた溶解液によって、竹筒はたちまち穴だらけにされてしまった。

「なっ! 侵入者対策&盗難防止のトラップだと」

 どうやらひと筋縄ではいかないらしい。


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