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397 遺跡に潜入せよ
しおりを挟む露天掘りの採石場――
その最下層には洞窟の入り口のような場所があった。
ゲートが設けられており、警戒は厳重だ。
周囲には資材が入った木箱が大量に詰まれており、それらと人員を内部へと運ぶためのトロッコも敷かれてある。
トロッコといっても小型の列車っぽい造りにて、なかなかのシロモノである。
上層の駐留軍もそうであったが、ただの遺跡の発掘にしてはあまりにも大掛かりすぎる。
はたしてイーカリオスの連中は遺跡で何をしているのか?
隙をみてトロッコ車両の下へと潜り込んだ竹忍者たち。
底にピタっと張りつき、じっと息を潜めては、その刻が来るのをじっと待つ。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……
じきに動き出したトロッコが、コウリン達には気づかぬままにゲートを潜った。
〇
――前言撤回!
イーカリオス製のトロッコ列車の乗り心地は最悪であった。
ガタガタ揺れっぱなしにて、掴まってるコウリンたちはとってもたいいへん! 危うく何度も振り落とされそうになる。
ブレーキ音もやかましいわりに、効きがいまひとつ。
そのせいでカーブを曲がるたびに、車両がちょっと浮くもので、ひやひやさせられる。
これに比べたらカイザラーンの竹列車は天国であろう。
下り坂をガタガタ走り続けていたトロッコはトンネルを突き当りまで進んだところで停車した。
が、そこには何もない。
コウリンたちがいぶかしんでいると、急にガコンと視界が下がり始めた。
景色が斜め後方へと流れていく。
斜行エレベーターのようにトロッコの停車場ごと下降しているのだ。
一転して静かな挙動である。
使用されている技術レベルに天と地ほどもの差がある。
どうやらこれは遺跡にもとからあったものをそのまま借りているようだ。
その証拠に、洞窟然としていた景色が、とたんに人工物っぽく変容している。
雰囲気がシャンピニオン・ロードたちが暮らす地下大空洞へと通じている地下道に似ている。
……
…………
………………チ~ン。
昔の電子レンジみたいな音がしたとおもったら、斜行エレベーターが停まった。
時間にすればほんの十分ほどであったが、動きがかなりスムーズだったので、相当深くまで降りているだろう。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……
ふたたび動き始めるトロッコ。
快適ではない移動がまだ続くことに、げんなりしつつコウリンらは車両にしがみつき続ける。
幸いかな。
今度はほんの五分ほどですんだ。
トロッコが到着したとたんに、わらわらと作業員たちが群がっては、荷下ろしを始めた。
その混雑にまぎれて、車両の下から這い出た竹忍者たちは、おもいおもいのところに身を隠しつつ、周囲の様子を観察し、そしてたいそう驚いた。
とてつもなく広い空間である。
たくさんの照明が設置されており、煌々と照らしているものの、それでも、奥の方には光が届いていない。
遺跡というよりも倉庫……それもかなりSFチックでメカメカした造りだ。
実際、壁材や柱などは石ではなくて鉄っぽい素材で建造されている。
もしもこの場に竹姫がいたらきっと「う~ん、格納庫っぽい」とかつぶやいたことであろう。
作業員たちの会話を盗み聞いたところでは、ここが件の古代遺跡とやらでまちがいないようだ。
すべての荷下ろしが完了し、交代の人員を乗せてトロッコが戻っていく。
搬入された資材の振り分け作業を横目に、コウリンたちも行動を開始する。
空間を奥へと向かうと、途中に分岐があったもので、まずは右の方から調べることにする。
ときに暗がりに身を沈め、ときに天井や壁に張りついては行き合った者をやり過ごし、進むうちに奇妙な場所に出た。
20メートルほどもあろうか。
巨人が壁沿いにずらりと並んで立っている。
ここは古代遺跡なので、てっきり石像の類かとおもいきや、そうではなかった。
石像というよりかは、鉄像?
フルプレートアーマーをそのまま大きくしたかのようだが、ただのデカい置物なんぞではない。
あくまで勘だが、おそらくこれは兵器……それも、極めて実用性が高いもの。
コウリンはそう判断した。
本来ならばもっと接近して、より詳しく調べたいところだが、鉄像の周囲にはイーカリオスの研究員とおぼしき者らがたむろしており、これ以上近づくのはむずかしい。
そこでコウリンは麾下の竹忍者に、遠目でもかまわないので竹カメラにて映像を記録しておくように命じ、自身は分岐に戻って今度は左の方へと向かったのだけれども、そこでコウリンが目にしたのは…………
大巨人の足の裏?
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