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467 竹姫探検隊がゆく! ― モップでわお!
しおりを挟むモップを持ってゴシゴシ……
デスチクレキまみれとなった玉座まわりを掃除する。
王さまにいろいろ訊こうとしたら「まずは片付けよ。話はそれからじゃ」と言われた。
で、「がんばれ」とモップを渡された。
「そこは拭き掃除もこなせる、全自動のお掃除ロボットとかじゃないの!?」
と唇を尖らせれば、「ふん、床の拭き掃除といえばモップと決まっている。それが様式美というもの」と王さま。ナゾの美学を振りかざす。
ちょっとイラっとした。
いっそのことコイツの脳天をモップでかち割ってやろうかと、一瞬考えたのは秘密だ。
棒にモジャモジャなドレッドヘアーみたいなのがついたオーソドックスなモップ。
でもこれがかなり優れものだったりする。
スーッと濡れた床を撫でれば、ぐんぐん水分を吸収して、拭いたあとがサラっとして、ちっともベタつかない!
おもわず「ワーオ!」
私は深夜の外国の通販番組のノリで感嘆してしまった。
だって本当によく水分を吸い取り、汚れが落ちるんだもの。
そのくせちっとも重くならないのだ。
なのに試しに絞ってみたら、じゃばじゃば滝のように吸い取った分が流れ出てくる。
う~ん、このモップのモジャモジャ、かなり優れた繊維で作られているっぽい。
ちなみに棒の部分は、ふつうの木の棒だ。
このギャップ、チグハグ感、そこまでこだわったのならばもうちょっとがんばれよ……みたいなのは、なにやらクラブの王さまに通じるものがある。
たぶん作ったの、同じヤツだろう。
掃除はヘミにも手伝ってもらった。
とはいえ竹イヌがトラ型のアタッチメントパーツを装着しているので、いくらネコの手を借りたいからとて、このままでは役に立たない。
そこで私は予備のモップを拝借して、合体させることで即席のトンボっぽいのを作成する。
――えっ、トンボってなに?
あー、野球部とかがグランドの整地作業で使っているT字型の道具のこと。
これをヘミが引くことで、スイスイ掃除がはかどるという寸法だ。
大雑把なところはヘミにやってもらって、細かいところを私が補填する。
かくして見事なチームワークにより、玉座の間の掃除は完了した。
なお掃除中、王さまは大きな鏡の前で熱心にヒゲを整えていた。くるんとしたカールを作るのに並々ならぬ情熱を注いでいる。
当人はあれがオシャレだと思い込んでいるようだ。
というか、それ以前に自分にはヒゲがまったく似合っていないことに気がついていないようだ。
親切心から乙女の意見として言ってやるべきか。
私は悩むも言ったら言ったでそのあとが面倒くさくなりそうなので、やっぱりダマっておくことにする。
〇
掃除の時間が終わった。
竹茶と土星饅頭でティータイムとしゃれこみつつ――
「ずばり、この島から脱出する方法はあるの?」
私が訊ねれば、王さまは「あるよ」
たまにまちがって廃棄されてしまう品とかがあって、返還要求がくるので転送用の装置があるという。
それを使えば大陸へと戻れる……らしい?
「らしい? なぜに疑問形」
「あーいや、何度か返還には応じたことがあるのはたしかだが、いかんせんナマモノを送ったことがないので」
そういうのは航空便か船便が使用されていた。
が、そんなものとっくの昔に絶えてひさしいのは、島の様子からしていまさら言うまでもないだろう。
「で、その装置とやらはちゃんと使えるの?」
「どれ、ちょっと調べてみよう」
言うなり王さまはなぜだが座禅を組んでは、ポクポクちーんのポーズ。とんちか?
とたんに、口から「ん~、あ~、ピコピコヒコロピー、ガガガ……」とボロいファックスが稼働しているときのような音を出す。
で、待つことしばし。
「あー、機械自体は稼働しておるようじゃ。というか、余が寝ている間も、ジジイのションベンみたいにチョロチョロと動いておったらしい」
「もうっ、乙女相手にクソじじいのションベンとか言わないで! ぷんぷん」
「クソとまでは言っておらんわい。
でじゃ、ワームホールが現在繋がっておるのが、ちょうどこの塔の天辺付近じゃな」
話を聞いて私は「ふむ。やっぱりそうだったんだ」と独りごちる。
かすかにだがリグニンコードによる仲間との繋がりを感じていたのが、この塔の真上だったもので。だからこそこの塔を目指して、遠路はるばるやってきたのだから。
ようやく帰還への目途が立ったな。やれやれである
――えっ、ワームホールなんか通って大丈夫なのかですって?
それについてはさして心配していない。
だって私とヘミはナマモノじゃないもの。
でも本当に良かった。
夢の島でのサバイバル編、いよいよクライマックスとかで、ラストバトル!
相手は最初に遭遇したようなトンデモ大怪獣とかの展開じゃなくって。
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