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080 起死回生
しおりを挟む三つの竹砦から次々に飛来する砲弾たち。
着弾するたびに内包されていたエネルギーが解放されては、自由にはしゃぎまわる。
熱、光、音が狂い踊っては、圧力が急激に膨張し爆発を起こす。
紅蓮が奔り、伝播する。
生じた爆発同士が結びつき、より大きな破壊を誘発しては、場を痛めつけ、空間そのものをも炸裂する。
本丸一帯はたちまち火の海となった。
大量の粉塵も発生し、礫が撥ねては、瓦礫が散乱する。
その渦中にて――
援護射撃というには、あまりにも苛烈な砲弾の雨。
その下を掻い潜りながら、対峙していたのは黒雷ことハートと、私たちが操縦するタケノヤマタオロチだ。
一見すると敵味方の区別なしに砲撃しているようでいて、それとなく射線をズラしてくれているおかげで、大きな図体にもかかわらずタケノヤマタオロチはいまのところ直撃を免れている。
「この絶妙具合……たぶんイスケのおかげだね」
竹砲兵であるイスケは射撃および砲撃のエキスパート。
彼が指揮をとってくれているからだ。
天からは砲弾の雨。
地では幾多の爆発。
荒れる本丸。
立ち込める爆煙により、みるみる視界不良になっていく。
さなか――
連続する砲撃音や爆撃音に混じって、聞こえてきたのは異質な発射音。
北と東南から同時に轟いた。
この局面で放たれたのは徹甲弾である。
射出された徹甲弾が向かうのは、もちろんハートのところ。
こちらの動きに合わせて、イスケたちが狙い撃つ。
一瞬にして最高速へと至った砲弾が光の矢となりて、獲物を貫かんとする。
北からの一撃は背から胸へとかけて。
東南からの一撃は腹をぶち抜かんと。
いかに無双の黒雷の身とて、山の頂をも吹き飛ばすような攻撃をまともに喰らってはただではすまない。
だからハートはとっさにジャンプをしてその場から逃れようとした。
けれども……
「逃がさないよ! それっ」
レバーを操作して私が動かしたのは第八の首だ。
跳躍して逃げようとしていたハートの後ろ左足を捉えて、ガブリと噛みつく。
とたんに牙がめり込み、肉を断ち、骨をも砕く。
が、噛み千切るまでには至らない。
噛みついたのと同時に凄まじい雷撃がドッと押し寄せてきた。第八の首の口腔内およびノドの奥へと流れ込んでくる。
黒い稲妻が一瞬にして内部を蹂躙し、ズタズタに切り裂き、タケノヤマタオロチを痛めつける。
その余波はコクピットにも及び、私も無事ではすまない。
だが、ようやく巡ってきた好機だ! ここで引き下がるわけにはいかない!
第八の首にてハートを引きずり降ろしたところで、すかさずその胴体にぐるぐると巻きついた第四の首。絡みつき、ギチリギチリと締めあげる。
だがまだだ。
まだ足りない。
こちらも満身創痍にて出力不足が祟っており、絞め殺すまでには至らない。
けれどもそれは計算のうち。
私の本命は別にある!
さらに第一の首が上から巻きつく。
第八、第四、第一の首による三重の拘束。
かーらーのー……
第一の首、その口があーんと開いて、にょきっと顔を出したのは徹甲弾。
今回の決戦のためにと制作した特別な砲弾にて、五発あったうちの最後の一発だ。
これを零距離からごちそうしてやる所存にて。
なお、ただいま揚弾エレベーターおよび換装室に不具合が生じているので、装填は竹三人官女らによる手作業にて行った。
「いっけぇえぇぇぇぇぇーっ!」
私が発射ボタンを押すのに前後して、竹砦から放たれた二発も着弾する。
三発もの徹甲弾がほぼ同時に一点へ集中。
刹那――
世界からすべての音と色が消えて、あらゆる感覚も失せた。
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