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156 田の字プラン、地下シェルター、貯水槽
しおりを挟むたまたま目についた建物内を探索する。
五階建てにて、各フロアは両脇の階段で行き来できる。
共用廊下が外気に面しており、各部屋はずらっと横並び。扉はすべて同じサイズにて、部屋の間取りもまたしかり。
田の字プランだ。
田の字プランとは――
共用の外廊下に面して中央に玄関があり、外廊下側の個室二部屋は玄関から伸びる廊下で左右に区切られている。また、住戸の真ん中に水回りが配置され、バルコニー側にはリビング・ダイニングと個室が並んで配置されていることが多い。
まぁ、これだとちょっとイメージしにくいかもだけど。
ようは上からみたら、田の字に空間が仕切られているということ。
なんら面白味はないけれど、マンションなどではオーソドックスな間取りであることからして、使い勝手は良い。
天井や鴨居の高さ、通路の幅、窓の大きさなどから推察するに、かつての住人たちの背丈や体格は、だいたい一般的なアンスロポス族ぐらいとおもわれる。
あー、これって、標準的なヒューマン体形ってことね。
ちなみにジュドーくんらケモミミしっぽなテリオン族は、それよりもやや大柄な者が多い。とはいっても、年齢や男女差があるけれど。
「ふ~ん、まあまあかな。私たちだとちょっと手狭だけど、悪くはないわね」
借りたら、いったい家賃はいくらかしらん?
地方ならば6~7万、都心なら最寄り駅次第で倍以上ぼったくられるかも。
もしも家主になれば家賃収入だけで左うちわ。
ひゃほう、ウハウハじゃない!
などということを妄想しつつ、私がざっと室内を見てまわっていると、階下の方がザワつく。
すわ、ついに何か発見したのか。
色めき立ち、私がおっとり刀で現場に駆けつけてみれば、「なんじゃこりゃあーっ!?」
場所は一階の階段脇にある小さな扉の奥であった。
てっきり用具入れの類かとおもいきや、開けてビックリ。
地下へと階段が続いているではないか。
三十段ほどの階段を降りた先には、またしても扉。
ただし、まるで銀行の金庫の扉のように、丸くて、ぶ厚くて、ごつくて……
だから、ついはしたない声を出してしまった。
ホホホ、下品で失礼、ごめんあそばせ。
でもって、この発見はテンション爆上がり。
だって、これほどの立派な扉なんだもの。
きっと中には目もくらむようなお宝がわんさか。
………………入っていませんでした。
それどころか空っぽです。
期待させといてなんだよ、けっ。
少々やさぐれモードの竹姫さま。
とりあえず金庫室みたいな地下室に入ってみたのだけれども、ぐるりと中を見渡して感じたのは……
「あれ? ここって、もしかして金庫じゃなくてパニックルーム? いや、シェルターかな」
パニックルームとは緊急時に立てこもり身を守るための避難部屋のこと。
シェルターはその上位版みたいなもの。
どちらにせよ、いざという時に逃げ込む場所。
そんなものが設置されているということは、それが必要になる理由があるということだ。
外敵なのか、環境的なことなのかはわからないけれども、どうやらここは安心安全なユートピアではなかったらしい。
「……にしても、ここにも何もないね。扉はきちんと閉じられていたし、破られた形跡もない。どこもキレイなもんだ。
ということは、逃げ込む暇もなく強襲された? もしくは異変に見舞われた?」
それにしたって痕跡が無さすぎる。
う~ん、わからん。
〇
シェルターとおぼしき場所があった建物の探索を終えた一行は、さらに奥地を目指す。
途中、いくつか建物を注意して調べてみたら、大なり小なり似たような施設があることが判明した。
でも、やはりどこも空っぽにて、ナゾはますます深まるばかり。
入り組んだ古代都市の内部。
道なりに進んでいると、先行していた竹忍者のうちの一体が戻ってきた。
報告によれば、この先に拓けている場所があり、そこには丸い貯水槽らしきものがあるとのこと。
生きる以上は、食べる物を食べ、飲み物を飲み、出す物を出さねばならぬ。
大勢の者らが身を寄せ合って暮らすとなれば、すべてが膨大な量となる。
適切に処理しなければ、どえらいことになる。
泡沫都市みたいな環境で、疫病なんぞが発生したら、悲惨である。
バッドエンドまっしぐら。
だから貯水槽のひとつやふたつあって当たり前なのだけれども……
案内されるままに進み、いざ、実物を前にして。
私は「ものすご~~~~く、いやな感じがする」と顔をしかめた。
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