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201 滅亡までのカウントダウン ― 三日目、その一
しおりを挟む信仰――
それは神や仏などを信じること。
またはある宗教を信じて、その教えを心のよりどころとし、生きがいにすること。
「神を感じるのは心であって、理性ではない。信仰とはこのようなものなのである」
と、彼のブレーズ・パスカルもおっしゃっていた。
えっ、誰それって?
パスカルはフランスの哲学者にて、自然哲学者でもあり、物理学者に、思想家に、数学者に、キリスト教神学者に、デカルト主義者に、発明家で実業家でもある。
この無茶苦茶な経歴からして、ハイパーな偉人だったのはまず間違いあるまい。
幼少期は神童としておおいに名を馳せ、数々の分野でその天才ぶりを発揮するも、わずか39才で早逝してしまった。
「人間は考える葦である」などの名言を多数残していることでも有名だ。
妹を溺愛しており、無類のシスコンであったことでも有名だったりもする。
まぁ、パスカルのことはさておき。
信仰や宗教だ。
私の前世でもバリバリに幅を利かせており、心の平穏どころから世界平和を脅かす紛争の原因になっていたものである。
功罪ともに多々。
教義や主義は宗教によっていろいろだが、共通しているのが崇め奉る存在がいること。
いやいや、宗教ってそういうもんじゃないの?
といえばそれまでだが、世界各地で多発的に発生しているという事実はじつに興味深い。
文明が発達した地域でも、原始的な暮らしをしている地域でも、大なり小なり何かを拝んでいる。
870万種ともいわれる膨大な生態系にあって、そんなことをしているのは人間という種族ただひとつ。
というのも不思議といえば不思議なことにて。
ちなみに昔はもっと多くて125万種ほどもいたという説もあるけれど。
神さまとやらを拝む人間たちが、ゴリゴリと他種族を滅亡させ続けているのだから、「ちょっとなんだかな~」にて。
〇
白いローブを頭からすっぽりかぶって、私たちは現在とある国に潜入中である。
これまでのように堂々と領空侵犯とかはしていない。
なぜなら、その国は一神教による宗教国家にて、信仰なき者には非常に冷たいから。
その国の名をポポテスコラといい、クグノチの第三の木片が運び込まれた場所なのだが、ガンダルシアからこちらへと向かう際に、リュカクさんから「あそこはまともに筋を通しても、めちゃくちゃ時間がかかるし、面倒くさいから、こっそり忍び込んで片付けたほうがいい」とのアドバイスをもらった。
外交上は問題ありありなのだけど、それぐらいポポテスコラという国は他とは一線を画しているということ。
信仰第一にて、種族間での差別はない。
セール・テスコラという女神を拝めば問題なし。
ただし「異教徒はクソ虫だ!」との教義にて。
問答無用でぶち殺せとまではいわないが、視界に入ったら露骨に嫌な顔をしては、舌打ちをして、カーペッと痰を吐く。
ぐらいには扱いが粗雑になるという。
「いやはや大陸は広いねえ。いろんな国があるなぁ~、世界は広いなぁ~」
なお白いローブで全身を隠すのは、ポポテスコラ国では一般的な服装にて。
姿形に囚われることなく、ただ白く、清くありなさい。
教義でうんぬんかんぬん。
おかげで正体を隠せるから、隠密行動なのに堂々と動けるのはありがたいんだけど。
ついでにいえば、このポポテスコラ国は白こそが最上とされており、着る物も建物も、食べ物まで白、白、白である。
だから大きな湖の中央にある島に築かれている都もやたらと白い。
エーゲ海に浮かぶ白い宝石といわれるミコノス島のようで、遠目には美しいが、いざ足を踏み入れてみると、陽射しの具合によっては反射でちょっと目がチカチカしちゃう。
「ほーこれが噂の女神さまなのか? なんだかヘンテコだなぁ」
都の広場に飾られている女神像を前にして、私は首をかしげる。
ボン、キュッ、ボンなナイスバディの女神さまなのだけれども、首から上がなぜだかワニっぽい。
(わに、ワニ、鰐ねえ……あっ!)
私はふと閃いてしまった。
セール・テスコラの後半部分を逆から読めば、あのロゴが有名なとある服飾メーカーと同じになるではないか!
もちろんたまたまなのだろうけど、もしもそうじゃなかったら、それはそれで怖いな。
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