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356 第三都市カラムス
しおりを挟む勢いだけで結婚しても、ろくなことにはならない。
だからまずは同棲して、お互いのことをよく知って相性を確かめましょう。
……みたいな意を込めて、新都市建造計画を打診したところ。
オービタル、セレニティ、反戦派の三勢力はこの提案をあっさり受け入れた。
まぁ、各陣営ともにいろいろと思惑があるのだろうけど、いったん決まるとそこから先は早かった。
建造を主導する我らカイザラーンが誇る竹人形たちは、365日24時間働き続けられるモーレツ戦士である。
技術にこれまで蓄積したノウハウもあるから、都市造りも慣れたもの。
ガンガンいっちゃうぜ!
それに負けじと食らいついてくるガッツをみせたのがオービタル、セレニティ両陣営から派遣された大量の下っ端……もとい労働力たち。
「遠慮なくこきつかってください」
「どうぞご随意に」
そんな添え状付きでゾロゾロ送られてきたのだけれども、これがおおいに役に立つ。
働きアリと働きバチの献身と勤労ぶりはとみに有名だが、その特徴は彼らにも受け継がれており、手先も器用で力もあり覚えがよくて、とっても優秀であった。
両種族が急速に勢力を拡大したのは、彼らの支えがあってこそであろう。
頼りになる縁の下の力持ち。
そんな連中が互いを意識しては、競い合うようにして働くこと、働くこと。
おかげで作業がはかどってしょうがない。
なお反戦派からも人材が送られてきたが、下手に混ぜるとトラブルのもとになりそうだと判断し、彼らには裏方にまわってもらった。
〇
トンカン、トンカン、トントン、トンツカタン。
聞こえてくるのは工事の音。
ただいま建築ラッシュ中である。
せっせと働く者たち。
作業を盛り上げるのは、月下の竹林に鳴り響くリズミカルな調べ。
竹で組んだ特設ステージの上では、四人組のガールズバンドが演奏をしている。
ブゥオォォォォォォ~~~~ン♪
キンコン、キンコン、カンコンカン♪
ちりとてちんちん、ちんとんしゃん♪
ピ~ヒャラ、ピ~ヒャラ、ヒャラララ~♪
私こと竹姫が尺八を吹き、三人竹官女のタマキが篠笛を、ヒコノが竹琴、オヨウがお琴を担当しての四重奏。
ちなみに竹琴とは竹で作った木琴みたいな打楽器のことである。
黙々とあくせく働くのだけではつまらない。
どうせならばお祭り騒ぎにして、ノリノリで楽しく突貫工事。
これが我らカイザラーンの流儀である。
独特のノリに当初は戸惑っていた連中も、途中からは頭やお尻をフリフリ、触覚をゆらゆらさせてた。
かくして、わずか七日で第三都市カラムスは完成した。
ちなみに名前の由来はもちろん竹にて。
元ネタはヒマラヤカラムスだ。
地下茎が広がらないバンブー類にて、暑さ寒さに強く、枝が細かくたくさん出る。
いつのまにやら渡来していたそうで、当時の移動手段や輸送方法を鑑みるに、竹という存在が凄いのか、それをわざわざ運ぶ人間が凄いのか。
山越え、谷越え、海も越え、はるばる極東の島国までやってきてはしっかり根をはる。
そのたくましさにあやかったという次第。
まぁ、それはさておき。
第三都市カラムスはちょうど両陣営の境界に位置している。
三層構造にて、マンションみたいな高層建築群はセレニティ用、地下街はオービタル用、それらに挟まれる格好となる地表部分は反戦派用プラス共有スペースとなっている。
空をブンブン飛ぶハチと地べたを這いずりまわっているアリを、同じ空間に放り込んでも混乱するだけだろう。
だから最初から分けることにした。
まずは自分たちの生活基盤を固めてから、双方が少しずつ歩みよっていけばいいとおもう。
地表域を預かる反戦派はなにかと気苦労も多いだろうが、そこはがんばってもらうしかない。もちろんカイザラーンも協力は惜しまないつもりだ。
というわけで、迎えました落成式。パチパチパチ。
カイザラーンからは私が参加し、反戦派からはドゥジェムとテルセーロが、両陣営からは代表の者らが出席する。あくまで試験的な試みということもあってか、さすがにトップが出てくることはなかった。当面は様子見といったところか。
落成式そのものは滞りなくすんだ。
でも問題が起きたのは、そのあとに設けたパーティーの席でのことである。
ちょっと私が席を離れているうちに、なぜだかオービタル、セレニティ両陣営の代表同士が一触即発状態に……
いったい何があったの?
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