乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず

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牢屋にぶち込まれる姉妹

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しん…暫くの沈黙の後、姉は口を開いた。


「わかった。私が全部…」


背負おうと言いかけた時、妹が青ざめて姉にしがみついた。


「や、やだやだやだ!!!お姉ちゃんと離れるの嫌!!」
「ち、チカ…」
「なしてえ…なしてお姉ちゃんだけ牢屋行っちゃうん…なしてそんなことしようとするん…私、お姉ちゃんと離れるの嫌や…」


涙を流す妹を見て姉は間違った選択をしようとしたと後悔した。

話の内容からきっと本来召喚される聖女様は一人なのだろう。だから直接王様に会わせず、一旦牢屋に入れておこうという考えなのだろう。
全て自分が責任を負えばいいと思っていた。これからどうなろうと、妹はこの世界にきて喜んでいた。
妹には楽しくこの世界を満喫してほしいと思っていたが、それは間違いだった。


「チカ、泣かんで。ごめん。お姉ちゃんが間違ってた」
「うん…」


姉が妹の涙を拭うとパチパチと拍手しているアレン。「いやー、素晴らしい姉妹愛だね、涙出るよ」と全く泣いていない。


「じゃあ、俺は王様に伝えくるからフィルは二人を牢屋まで案内してあげて」
「はいはい…本当お前悪趣味だな。この二人が聖女様だったらどうするんだ。嫌われるぞ」
「その時はその時だよ。まあ…」


すっとアレンは冷たい視線でフィルを見た。


「その時はフィルは俺に謝ってね」





ガシャン、と大きな音を立てて牢屋が施錠される。牢屋に入れられた姉妹と鍵を閉めるフィル。
彼は大きくため息混じりに言った。


「悪く思わないでくれ。俺だってこんな幼いお嬢さんたちを牢屋に入れたくないんだ」
「…」
「一つくらい暴言吐いたっていいんだぞ」


妹は不安そうに姉にしがみついている。攻略対象に会えて嬉しい筈が怖さが勝っているようだ。
一方、姉はじと、とフィルを睨んでいる。そして口を開いた。


「おっさんみたいなこと言うね」
「うっ、ま、まあまだ10代の君から見たらおっさんかな…いやお兄さんと呼べ。そう、俺はお兄さんだ」
「…私たちはどうなるの?」


フィルはかなり警戒した様子の姉を見て、言いづらそうにした。


「聖女様っていうのは神聖な存在なんだ。この世界にいなくてはならない存在。それを騙ったとなるとまあ死刑だろうな」
「!…まず私たちは聖女様のつもりでこの世界に来たわけじゃ…」
「そうか、なら何故あの部屋にいた?あの部屋は聖女様を召喚させる部屋だ。関係者以外立ち入り禁止の場所にいたお前たちが聖女様以外なんだっていうんだ?」
「……」


これ以上言ってもこちらの立場が危うくなる姉は黙ってしまった。
その反応を見てフィルはやれやれとまたため息を吐いた。


「言っておくが俺はお前たち姉妹が悪だとは決めつけてない。あの部屋は色々と不安定なんだ。二人召喚されることもあるだろうというのが俺個人の判断だ」
「!じゃ、じゃあ、私たちをここから出し」
「それは無理だ。言っただろ、お前たち姉妹は虚偽の罪が問われている。ただの嘘じゃない、聖女様のだ」
「…、その罪はどうやったら晴らせるの?」


その台詞にフィルは顎に手を当ててうーんと考えた。


「まあ、それは追々わかるだろ」
「え、ちょ」
「流石にすぐに処刑とはならないだろうさ。どちらかが聖女様だった場合、こんなことをしたアレンも俺も首が飛ぶから」
「…」
「それより妹の方はチカっていうんだろ。姉のお前は?なんて名前なんだ?」
「…言わない」
「お、反抗期か?」
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