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第64話 サースバード大会戦 ②
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――中央ゴレムス暦1582年12月20日 7時過ぎ
サースバード おっさん
「決戦だ。ガイナスを押し出せ! ガイナスに前線を一気に上げさせろ!」
おっさんが鋭く下知を与えるや伝令が一斉に走り出す。
辺りに緊張が走る。
伝令が到着するまでもなくおっさんの声はガイナスに届いたはずである。
他にも必要なことは伝えておいた。
ガイナスの動きで前線の動きが変わるようには手配してあるが、混乱状態になったらどうなるか分からない。
おっさんがガイナスに指示を出したらそれを周囲に伝えるのも彼の役目であった。
虚空に見やすいようにボードを固定してそれを見ながら指示を出す。
【軍神の加護】は温存しつつ、緒戦を有利に運ぶべし。
【戦法】のぶつかり合いはどちらに勝利の女神は微笑むのか?
おっさんはすぐさま【戦法】を発動する。
【車懸りの陣Ⅱ】
兵士たちが銀色に光り輝く。
そして次々と色が切り替わっていく。
橙、青、黄が順番だ。
恐らくだが、橙色は攻撃UP、青色は俊敏UP、黄色は士気か練度UPだとおっさんは分析している。しかし、体を輝かせた兵士が突撃してくるなんて敵兵はビビらないんだろうか?とおっさんはふと思っていた。
指示を出してしまえば、指揮官なんて楽なものだ。
おっさんはボードをジッと見つめ続けていた。
お気楽とは言ってもここまで大規模な会戦は初めてである。
おっさんは冬なのにもかかわらず、じっとりと嫌な汗をかくのを感じていた。
おっさんの戦いは今始まったばかりだ。
◆ ◆ ◆
戦闘開始の報を受けてガイナスは部隊をすぐに動かした。
目指すはヴァンパ城の前に陣取る敵本隊、そしてそれを護るように布陣している部隊である。
鶴翼の陣形に鋒矢の陣形で突っ込んで行く形である。
後詰が矢の部分の内部にいるとは言え、どこかが瓦解すればそこから崩れていく可能性だってある。
「お前らッ! 俺に続けッ! 敵将を討ち取るんだよッ!」
ガイナスは大音声で味方を鼓舞しながら、走竜の上から槍を振り回している。
その膂力に敵兵たちの体は千切れ飛び血しぶきが舞う。
本当ならガイナスの周囲を護るべき兵士たちも巻き込まれないように少し離れた位置で戦っている。
「(しかし何度見ても驚くぜ。体が光輝いて力が湧いてくるんだからな……初めて見た時はビビり散らかしたモンだが)」
ガイナスの鉄槍が1人の兵士の頭蓋骨を叩き割る。
その槍を突き出す度に敵兵たちの命が散っていく。
「(今のところは互角ってとこか? 敵は強ぇな)」
ガイナスの判断通り、状況は一進一退であった。
勢い込んでバルト王国に攻め入ったはいいが、碌に実戦経験のないアウレア兵が急に強くなるはずがない。
今のところ、敵兵が光り輝くと言うことはない。
そう言う現象に当たると言うことはつまり、敵がプレイヤーだと言うことだ。
ガイナスにプレイヤーと言う概念はないが、おっさんにから敵にも使える者がいる可能性を示唆されている。
「くそッ……鬱陶しいぜッ!」
群がってくるバルト王国兵を薙ぎ払いガイナスは毒づく。
戦場ではあちこちから乾いたパーンと言う音が聞こえてくる。
バルト王国の使う火縄銃である。
距離を取れば当たる確率は少なくなると言うものの、やはりあの炸裂音と煙は体感した者を恐怖に陥れる。
「一旦退けッ! 長弓隊に鉄砲隊を狙わせろッ!」
ガイナスは矢継ぎ早に命令を下し、戦線の崩壊を防ぐために奔走する。
◆ ◆ ◆
「まさか敵さんから攻めてくるとは思わなかったぜ」
ブレインは予想が外れたことに少し驚いていた。
驚いたと言っても嬉しい誤算である。
「アルデってぇのは好戦的なんだな。おしッ俺も出るぞッ!」
ブレインは座っていた床几から勢いよく立ち上がると側近から大剣を受け取って歩き始めた。慌てたのは副官たちである。
「ちょちょちょちょ、お待ち下さい! 閣下は総大将ですぞ!」
「あ? せっかくの気分に水を差すんじゃねぇよ」
「総大将たるもの、後方でどっしりと戦況を見極めるべきかと!(ヤバい殺されるかも知れん)」
「あーそれよく言うよな。でも大将は皆の手本となって先頭を切って攻めろとかも言わねぇか?」
「うーん。言われてみれば……(聞いたことがあるな)」
「な? 決まりッ」
「ちょちょちょしかしですねぇ……このような大きな規模の戦ですぞ! 閣下にもしものことがあれば全体の命運を左右しますッ!」
「んだと? お前はこの俺が不覚を取るとでも言うつもりか?」
「めめめ滅相もございません! 戦いはまだ緒戦でございます。強い者は後からやってくるものかとッ!(これ死んだ)」
「ふーん。そう言うもんか。そこまで言うなら仕方ねぇ。だが、このまま互角ってんじゃ俺の沽券にかかわるからな」
珍しく他人の意見を入れたブレインは床几に座り直すと頭の中で念じた。
【覇王の進軍Ⅲ】
言うまでもない【戦法】である。
ブレインはプレイヤーだったのだ。
バルト王国全軍が銀色に光り輝く。
『うおおおおおおおおおおおおおおお!!』
戦場の各方面からバルト王国兵たちの雄叫びが湧き起った。
サースバード おっさん
「決戦だ。ガイナスを押し出せ! ガイナスに前線を一気に上げさせろ!」
おっさんが鋭く下知を与えるや伝令が一斉に走り出す。
辺りに緊張が走る。
伝令が到着するまでもなくおっさんの声はガイナスに届いたはずである。
他にも必要なことは伝えておいた。
ガイナスの動きで前線の動きが変わるようには手配してあるが、混乱状態になったらどうなるか分からない。
おっさんがガイナスに指示を出したらそれを周囲に伝えるのも彼の役目であった。
虚空に見やすいようにボードを固定してそれを見ながら指示を出す。
【軍神の加護】は温存しつつ、緒戦を有利に運ぶべし。
【戦法】のぶつかり合いはどちらに勝利の女神は微笑むのか?
おっさんはすぐさま【戦法】を発動する。
【車懸りの陣Ⅱ】
兵士たちが銀色に光り輝く。
そして次々と色が切り替わっていく。
橙、青、黄が順番だ。
恐らくだが、橙色は攻撃UP、青色は俊敏UP、黄色は士気か練度UPだとおっさんは分析している。しかし、体を輝かせた兵士が突撃してくるなんて敵兵はビビらないんだろうか?とおっさんはふと思っていた。
指示を出してしまえば、指揮官なんて楽なものだ。
おっさんはボードをジッと見つめ続けていた。
お気楽とは言ってもここまで大規模な会戦は初めてである。
おっさんは冬なのにもかかわらず、じっとりと嫌な汗をかくのを感じていた。
おっさんの戦いは今始まったばかりだ。
◆ ◆ ◆
戦闘開始の報を受けてガイナスは部隊をすぐに動かした。
目指すはヴァンパ城の前に陣取る敵本隊、そしてそれを護るように布陣している部隊である。
鶴翼の陣形に鋒矢の陣形で突っ込んで行く形である。
後詰が矢の部分の内部にいるとは言え、どこかが瓦解すればそこから崩れていく可能性だってある。
「お前らッ! 俺に続けッ! 敵将を討ち取るんだよッ!」
ガイナスは大音声で味方を鼓舞しながら、走竜の上から槍を振り回している。
その膂力に敵兵たちの体は千切れ飛び血しぶきが舞う。
本当ならガイナスの周囲を護るべき兵士たちも巻き込まれないように少し離れた位置で戦っている。
「(しかし何度見ても驚くぜ。体が光輝いて力が湧いてくるんだからな……初めて見た時はビビり散らかしたモンだが)」
ガイナスの鉄槍が1人の兵士の頭蓋骨を叩き割る。
その槍を突き出す度に敵兵たちの命が散っていく。
「(今のところは互角ってとこか? 敵は強ぇな)」
ガイナスの判断通り、状況は一進一退であった。
勢い込んでバルト王国に攻め入ったはいいが、碌に実戦経験のないアウレア兵が急に強くなるはずがない。
今のところ、敵兵が光り輝くと言うことはない。
そう言う現象に当たると言うことはつまり、敵がプレイヤーだと言うことだ。
ガイナスにプレイヤーと言う概念はないが、おっさんにから敵にも使える者がいる可能性を示唆されている。
「くそッ……鬱陶しいぜッ!」
群がってくるバルト王国兵を薙ぎ払いガイナスは毒づく。
戦場ではあちこちから乾いたパーンと言う音が聞こえてくる。
バルト王国の使う火縄銃である。
距離を取れば当たる確率は少なくなると言うものの、やはりあの炸裂音と煙は体感した者を恐怖に陥れる。
「一旦退けッ! 長弓隊に鉄砲隊を狙わせろッ!」
ガイナスは矢継ぎ早に命令を下し、戦線の崩壊を防ぐために奔走する。
◆ ◆ ◆
「まさか敵さんから攻めてくるとは思わなかったぜ」
ブレインは予想が外れたことに少し驚いていた。
驚いたと言っても嬉しい誤算である。
「アルデってぇのは好戦的なんだな。おしッ俺も出るぞッ!」
ブレインは座っていた床几から勢いよく立ち上がると側近から大剣を受け取って歩き始めた。慌てたのは副官たちである。
「ちょちょちょちょ、お待ち下さい! 閣下は総大将ですぞ!」
「あ? せっかくの気分に水を差すんじゃねぇよ」
「総大将たるもの、後方でどっしりと戦況を見極めるべきかと!(ヤバい殺されるかも知れん)」
「あーそれよく言うよな。でも大将は皆の手本となって先頭を切って攻めろとかも言わねぇか?」
「うーん。言われてみれば……(聞いたことがあるな)」
「な? 決まりッ」
「ちょちょちょしかしですねぇ……このような大きな規模の戦ですぞ! 閣下にもしものことがあれば全体の命運を左右しますッ!」
「んだと? お前はこの俺が不覚を取るとでも言うつもりか?」
「めめめ滅相もございません! 戦いはまだ緒戦でございます。強い者は後からやってくるものかとッ!(これ死んだ)」
「ふーん。そう言うもんか。そこまで言うなら仕方ねぇ。だが、このまま互角ってんじゃ俺の沽券にかかわるからな」
珍しく他人の意見を入れたブレインは床几に座り直すと頭の中で念じた。
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