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第119話 おっさん、カノッサスに来援する
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――中央ゴレムス暦1583年8月17日
カノッサス
とうとうブレイン率いるバルト王国軍五○○○がカノッサスへと到着した。
都市は日中からどの城門も固く閉じられ蟻の這い出る隙間もない。
「テメーら、敵の数は少ない。時間をかけずにちゃっちゃと攻略だッ!」
ブレインの目の前にいる兵士たちはその一喝を受けて喊声を上げている。
アラモ砦を陥落させ、これからアウレア大公国の内部深く攻め入るのだ。士気が上がらないはずがない。
カノッサスの兵力は五○○程度。
この大都市を包囲して各所から同時に攻め込めば決着は簡単につく。
そう兵士の大多数は考えていた。
「敵兵なにするものぞッ! カノッサスが簡単には落ちぬことを教えてやれッ!」
カノッサスの筆頭武官セザール将軍が気を吐いている。
こちらも兵力が少ないにもかかわらず士気は旺盛だ。
急ごしらえの梯子を城壁にかけてバルト兵が侵入を試みる。
それを槍で突いたり、煮えたぎる油をかけたりして防ぐのはアウレア兵。
弓兵たちは曲射によって場外の兵士たちに間断なく矢の雨を降らせている。
戦場にはバルト兵たちの悲鳴が重なり響き渡った。
そんな状況をブレインは苦々しい表情で眺めている。
「チッ、できればここで【戦法】は使いたくねー」
ブレインはおっさんがいない内にカノッサスを落し、野戦でアウレア大公国軍を【戦法】を持って撃ち破ろうと考えていた。
貿易や戦功値によって新しい【戦法】をゲットしているおっさんと違ってブレインが新たに入手するのは難しい。
バルト王国のいち軍人に過ぎず、軍を率いて戦うことによって得られる戦功値も中々増やすことができないからだ。一応、ログインボーナスで幾らかの戦功値は入るものの、その量はたいした値ではない。
おっさんがアルタイナで戦っていた頃には、ブレインはせいぜいラグナリオン王国と小競り合いをしていた程度である。聖戦に出ていればまた違ったのだろうが、そうしていれば今、カノッサスにいたかは分からないのだ。
「破城槌の展開を急げッ! 城門に突撃を続けろッ!」
ブレインが聞かされているのはアウレア大公国軍の主力がおっさんと共にアルタイナにあるということくらいだ。いかなアウレア大公国と言えどある程度の兵力を備えとして置いているはずなので、【戦法《タクティクス》】はそれを迎え討つ時に使用したいと考えているのである。
それからの戦いは激しさを増した。
それでもカノッサスの士気は高く、中々城壁内への侵入はできそうにない。
「伝令が行っていれば、いつ援軍が来てもおかしくはない。使うか……」
【覇王の進軍Ⅲ】
ブレインはとうとう決断を下した。
【戦法】の発動に兵士たちが光輝く。
それに伴い喊声も増したようである。
しかしそれから幾ら攻め続けてもカノッサスの牙城を崩すことはできなかった。
おっさんがアルタイナで実感したことをブレインも今味わうことになってしまったのである。
野戦用の【戦法】は要塞などを攻める際にはその効果を発揮しにくい。攻城戦には攻城戦の【戦法】が必要なのである。
「覇王の進軍を使っても落とせないとは……」
陽も落ちて暗くなった本陣でブレインは唇を噛んだ。
―――
――中央ゴレムス暦1583年8月18日 夜半
おっさん
おっさん率いるアウレア大公国軍、三○○○がカノッサスの西側に着陣した。
松明などは消してある。
翌朝に急に三○○○もの軍が確認されればバルト王国側の精神的ダメージも大きいだろうということでそうしているのだ。
「侵攻はとまっているみたいだな」
おっさんは呑気にそう言うとブリンガーへ伝令を走らせた。
この援軍の存在を知ればカノッサスのアウレア兵の士気は増々上がるだろう。
現におっさんが通った北と西の兵士たちはおっさんの旗印を見て歓声を上げたくらいである。ちなみにおっさんの軍旗はイグルがイガーに乗っている図柄である。
「五○○の兵でよくもたせてくれたよ。大したもんだ。流石はレーベ。ブリンガー卿だけのことはある」
おっさんがブリンガーに渡りをつけてしばらく経った頃。
伝令がブリンガーからの書状を預かって戻ってきた。
「へぇ……夜襲か。いいねぇ。一気に片をつけるか!」
おっさんは脱いでいた甲冑を付け直してバッカスや部隊長たちを呼び出し、夜襲の手順を説明した。
それを聞いたバッカスの笑みが深くなる。
確実に楽しもうと考えている顔だ。
「閣下、腕がなりますぜ」
「おう。バッカスくんも期待してるよ?」
そして合図の鈍い鐘の音が三回鳴らされた。
「よし。進軍だ敵本陣まで一気に突き進めッ!」
おっさんも斬り込むつもり満々でアドに乗り先頭を走る。
真っ暗闇の中、アドを走らせていると暗闇の先に蠢く影があった。
「何だ? 軍かッ!?」
「閣下、あの軍旗はバルト兵ですぜ」
「あっちも夜襲を企んできた訳か……よし全軍突撃ッ!」
【車懸りの陣Ⅲ】
そして暗闇での戦闘が開始された。
カノッサス
とうとうブレイン率いるバルト王国軍五○○○がカノッサスへと到着した。
都市は日中からどの城門も固く閉じられ蟻の這い出る隙間もない。
「テメーら、敵の数は少ない。時間をかけずにちゃっちゃと攻略だッ!」
ブレインの目の前にいる兵士たちはその一喝を受けて喊声を上げている。
アラモ砦を陥落させ、これからアウレア大公国の内部深く攻め入るのだ。士気が上がらないはずがない。
カノッサスの兵力は五○○程度。
この大都市を包囲して各所から同時に攻め込めば決着は簡単につく。
そう兵士の大多数は考えていた。
「敵兵なにするものぞッ! カノッサスが簡単には落ちぬことを教えてやれッ!」
カノッサスの筆頭武官セザール将軍が気を吐いている。
こちらも兵力が少ないにもかかわらず士気は旺盛だ。
急ごしらえの梯子を城壁にかけてバルト兵が侵入を試みる。
それを槍で突いたり、煮えたぎる油をかけたりして防ぐのはアウレア兵。
弓兵たちは曲射によって場外の兵士たちに間断なく矢の雨を降らせている。
戦場にはバルト兵たちの悲鳴が重なり響き渡った。
そんな状況をブレインは苦々しい表情で眺めている。
「チッ、できればここで【戦法】は使いたくねー」
ブレインはおっさんがいない内にカノッサスを落し、野戦でアウレア大公国軍を【戦法】を持って撃ち破ろうと考えていた。
貿易や戦功値によって新しい【戦法】をゲットしているおっさんと違ってブレインが新たに入手するのは難しい。
バルト王国のいち軍人に過ぎず、軍を率いて戦うことによって得られる戦功値も中々増やすことができないからだ。一応、ログインボーナスで幾らかの戦功値は入るものの、その量はたいした値ではない。
おっさんがアルタイナで戦っていた頃には、ブレインはせいぜいラグナリオン王国と小競り合いをしていた程度である。聖戦に出ていればまた違ったのだろうが、そうしていれば今、カノッサスにいたかは分からないのだ。
「破城槌の展開を急げッ! 城門に突撃を続けろッ!」
ブレインが聞かされているのはアウレア大公国軍の主力がおっさんと共にアルタイナにあるということくらいだ。いかなアウレア大公国と言えどある程度の兵力を備えとして置いているはずなので、【戦法《タクティクス》】はそれを迎え討つ時に使用したいと考えているのである。
それからの戦いは激しさを増した。
それでもカノッサスの士気は高く、中々城壁内への侵入はできそうにない。
「伝令が行っていれば、いつ援軍が来てもおかしくはない。使うか……」
【覇王の進軍Ⅲ】
ブレインはとうとう決断を下した。
【戦法】の発動に兵士たちが光輝く。
それに伴い喊声も増したようである。
しかしそれから幾ら攻め続けてもカノッサスの牙城を崩すことはできなかった。
おっさんがアルタイナで実感したことをブレインも今味わうことになってしまったのである。
野戦用の【戦法】は要塞などを攻める際にはその効果を発揮しにくい。攻城戦には攻城戦の【戦法】が必要なのである。
「覇王の進軍を使っても落とせないとは……」
陽も落ちて暗くなった本陣でブレインは唇を噛んだ。
―――
――中央ゴレムス暦1583年8月18日 夜半
おっさん
おっさん率いるアウレア大公国軍、三○○○がカノッサスの西側に着陣した。
松明などは消してある。
翌朝に急に三○○○もの軍が確認されればバルト王国側の精神的ダメージも大きいだろうということでそうしているのだ。
「侵攻はとまっているみたいだな」
おっさんは呑気にそう言うとブリンガーへ伝令を走らせた。
この援軍の存在を知ればカノッサスのアウレア兵の士気は増々上がるだろう。
現におっさんが通った北と西の兵士たちはおっさんの旗印を見て歓声を上げたくらいである。ちなみにおっさんの軍旗はイグルがイガーに乗っている図柄である。
「五○○の兵でよくもたせてくれたよ。大したもんだ。流石はレーベ。ブリンガー卿だけのことはある」
おっさんがブリンガーに渡りをつけてしばらく経った頃。
伝令がブリンガーからの書状を預かって戻ってきた。
「へぇ……夜襲か。いいねぇ。一気に片をつけるか!」
おっさんは脱いでいた甲冑を付け直してバッカスや部隊長たちを呼び出し、夜襲の手順を説明した。
それを聞いたバッカスの笑みが深くなる。
確実に楽しもうと考えている顔だ。
「閣下、腕がなりますぜ」
「おう。バッカスくんも期待してるよ?」
そして合図の鈍い鐘の音が三回鳴らされた。
「よし。進軍だ敵本陣まで一気に突き進めッ!」
おっさんも斬り込むつもり満々でアドに乗り先頭を走る。
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