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第124話 ブレインの処遇
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――中央ゴレムス暦1583年8月24日
アラモ砦 おっさん
アラモ砦を見事、奪還したおっさんはその戦果をアウレアへ報告していた。
その結果、大公ホーネットから2つの命令が下された。
一つ、そのままバルト王国に攻め込み王都ベイルトンを占領せよ。
一つ、敵総大将、ナリッジ・ブレインを処刑せよ。
流石のおっさんもその下知には頭を悩ませていた。
やっとアルタイナ戦争が終結し、帰国したアウレア兵たちをまた呼集しなければならないのだ。兵だけでなく貴族諸侯の不満にも繋がりかねない。
平時ならば貴族院か民院によって否決されるかも知れないが、現在はバルト王国討伐令が既に出ている状態だ。なにしろおっさんが元帥なのである。
しかもおっさんはアウレアを掌握するまで元帥位から降りるつもりがないので攻めないと言う選択肢も取れない。まさに痛し痒しである。
ブレインに関しては一応、捕らえてはいるがそれなりの対応をしている。
なにしろおっさんと同郷なのだ。
おっさんとしても甘くなってしまうと言うものである。
なのでバルト王国への侵攻はともかくブレインの処遇についてはおっさんも頭を悩ませていた。
ホーネットはサースバード会戦でジィーダバが死んだ時のことを覚えているのかも知れない。あの時のバルト王国総大将もブレインであった。彼がもっとおっさんを追いつめていれば……と言う思いでもあるのかも知れないが流石に知る由もない。
ホーネットの命令を知らないバッカスとブレインは、おっさんの目の前でぎゃあぎゃあと騒ぎ立てていた。
「だから捕まったんだから潔く軍門にくだればいいんじゃないのか?」
「うっせー三下! 俺は誰かの下になんかつかねーんだよ」
「今、バルト王国に仕えてるじゃねぇか! バカか? バカなのか?」
「うっせうっせ! 俺は先代に借りがあるから仕方ねーんだよ!」
「そこまでのものなのか? 一体どんな借りがあるんだよ」
「この世界に来て路頭に迷ってた俺を拾ってくれたんだよ!」
「(この世界?)なんだそりゃ、お前さんは犬コロかなんかか?」
「んだよ! 恩義を忘れない良いヤツじゃねーか!」
「自分で言うなよこのバカ野郎が……」
おっさんはなにやってんだコイツらと半ば呆れながらそのやり取りを聞いていた。
「(とにかくバルト王国討伐はホーネット陛下の強い意向であると言うことを全面に押し出していくしかないな。裏からも噂を流すか……。問題はブレインだ。偽の首を用意するか。流石に陛下もヤツがどんな顔か知らんやろ。一応ダメ元で頼んでみるが……)」
おっさんは後ろ手に縛られて部屋のど真ん中で胡坐をかいているブレインに言った。
「ブレイン、これからバルト討伐が始まる。バルトに勝ち筋はない。俺はお前を死なせたくない」
「……まぁ確かにバルト王国に俺以上のヤツなんて存在しねーんだが……」
「だろ? 別に参戦しろとか言うほど俺は鬼畜じゃないぞ?」
「……」
「近日中にアウレアは国境を越えるぞ」
バルト討伐は決定事項だ。
ホーネットの意志もあるが、おっさんの天下統一の意志も変わってはいない。
バルト王国を滅ぼすのはアウレアの総意であった。
「とにかく覚悟を決めておいてくれ」
おっさんはブレインにそう申し渡すと、バッカスに言ってブレインを地下牢に連れて行かせた。
アラモ砦 おっさん
アラモ砦を見事、奪還したおっさんはその戦果をアウレアへ報告していた。
その結果、大公ホーネットから2つの命令が下された。
一つ、そのままバルト王国に攻め込み王都ベイルトンを占領せよ。
一つ、敵総大将、ナリッジ・ブレインを処刑せよ。
流石のおっさんもその下知には頭を悩ませていた。
やっとアルタイナ戦争が終結し、帰国したアウレア兵たちをまた呼集しなければならないのだ。兵だけでなく貴族諸侯の不満にも繋がりかねない。
平時ならば貴族院か民院によって否決されるかも知れないが、現在はバルト王国討伐令が既に出ている状態だ。なにしろおっさんが元帥なのである。
しかもおっさんはアウレアを掌握するまで元帥位から降りるつもりがないので攻めないと言う選択肢も取れない。まさに痛し痒しである。
ブレインに関しては一応、捕らえてはいるがそれなりの対応をしている。
なにしろおっさんと同郷なのだ。
おっさんとしても甘くなってしまうと言うものである。
なのでバルト王国への侵攻はともかくブレインの処遇についてはおっさんも頭を悩ませていた。
ホーネットはサースバード会戦でジィーダバが死んだ時のことを覚えているのかも知れない。あの時のバルト王国総大将もブレインであった。彼がもっとおっさんを追いつめていれば……と言う思いでもあるのかも知れないが流石に知る由もない。
ホーネットの命令を知らないバッカスとブレインは、おっさんの目の前でぎゃあぎゃあと騒ぎ立てていた。
「だから捕まったんだから潔く軍門にくだればいいんじゃないのか?」
「うっせー三下! 俺は誰かの下になんかつかねーんだよ」
「今、バルト王国に仕えてるじゃねぇか! バカか? バカなのか?」
「うっせうっせ! 俺は先代に借りがあるから仕方ねーんだよ!」
「そこまでのものなのか? 一体どんな借りがあるんだよ」
「この世界に来て路頭に迷ってた俺を拾ってくれたんだよ!」
「(この世界?)なんだそりゃ、お前さんは犬コロかなんかか?」
「んだよ! 恩義を忘れない良いヤツじゃねーか!」
「自分で言うなよこのバカ野郎が……」
おっさんはなにやってんだコイツらと半ば呆れながらそのやり取りを聞いていた。
「(とにかくバルト王国討伐はホーネット陛下の強い意向であると言うことを全面に押し出していくしかないな。裏からも噂を流すか……。問題はブレインだ。偽の首を用意するか。流石に陛下もヤツがどんな顔か知らんやろ。一応ダメ元で頼んでみるが……)」
おっさんは後ろ手に縛られて部屋のど真ん中で胡坐をかいているブレインに言った。
「ブレイン、これからバルト討伐が始まる。バルトに勝ち筋はない。俺はお前を死なせたくない」
「……まぁ確かにバルト王国に俺以上のヤツなんて存在しねーんだが……」
「だろ? 別に参戦しろとか言うほど俺は鬼畜じゃないぞ?」
「……」
「近日中にアウレアは国境を越えるぞ」
バルト討伐は決定事項だ。
ホーネットの意志もあるが、おっさんの天下統一の意志も変わってはいない。
バルト王国を滅ぼすのはアウレアの総意であった。
「とにかく覚悟を決めておいてくれ」
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