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13話 主食発見
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食い扶持が1人増えた。
クゥみたいな目で、俺の作る朝食を見つめてくる彼に、なんか折れた。
多分たくさん食べることに慣れてないっぽいから、最初は重いものより軽いものの方がいいだろう。
肉を細かく切って、あいも変わらずの塩味のスープだけど用意する。2人分。
「ほら、こっちで一緒に食べよう」
リクを呼ぶと笑顔で顔を上げて、慌てて下げた。
昨日襲ってきた悪い奴とは思えないかわいさだ。
皿の上のスープをものすごい速さで飲み干すと、俺が食べるのをジッと見ている。
おかわりをあげてもいいけど、ちょっとずつ慣らす方がいいと思うんだよなー。
「俺の手伝いをしてくれるなら、食事は用意してやってもいいけど、リクは俺の奴隷になる気はあるか?」
奴隷って言い方もどうかとは思うけど、正式な使用人として側に置くには一応義母の許可がいる。給金が発生するからな。
そうなると、リクが義母に取り上げられる可能性もある。
奴隷としてなら彼の日々のお世話は俺の仕事だし、取られない。もちろんお小遣いは用意するとも。用意できる環境が整えばな。
リクがコクリと喉を鳴らして、しばらく考えた後で頷いた。
俺が食べてる間、リクの今までの生活の話を聞く。
何を食べていたのかとか、町までどのくらいで行けるのとか、いっつも殴られていたとか。
結構過酷で驚いた。
そりゃあ、俺みたいな小さいヤツから奪おうってなるわなあ。
「じゃあまず着替えかな」
朝食が済むと今日の予定を進めることにする。
ひとまず人のいるところに行ってパンとか買い出しに行きたいけど、案内人であるリクをなんとかしないと町に出ても店員にきちんと相手にされないかもしれない。
少なくとも、実家の商会だったら門前払いだ。
昨日浄化したから身体は綺麗にはなってる。
けれど、服があちこち破れていて、いかにも薄汚れた孤児だ。
鞄の中から服を出すと着替えを促した。
俺よりも背だけは大きいから、まあ、見えないことはないだろう。
服を変えたら、普通に町にいる子に見える、か?
ちょっと髪が伸び放題だったのを軽く揃えれば、かわいい顔のせいもあってか、悪くない。
でもそれだけじゃダメだ。
「本当は買い物に行きたいんだけど、リクがもう少し筋肉ついてからかなあ」
健康的ではない感じが、浮浪者っぽいというか、なんだか危うい気がするのだ。
裏町仲間に見つかったら簡単にやられてしまいそう。
実際めっちゃ弱かったし。
「だ、大丈夫。町、案内できるし、荷物持てる」
リクは俺に捨てられたくないらしく、自分の有用性をアピールをしてくるけど、一度身内に入れたやつが暴力を振るわれるのとか、俺も許容できねえんだよな。
ひとまずは食べられるものでも探してこいと森の中を走らせたり、俺の切った木を斧で薪用に小さくさせたり、まあともかくリクは頑張った。
身体を使えば鍛えられるし、腹がしっかり減れば食べる量も増える。
徐々に肉多めの料理に変えていって、14歳らしい体格を取り戻させてやらないとな。
気分はお父さんだ。
子供がいたらこんな気持ちになったのかもなあ。
「これ、モズラ。すってドロドロになったら、お湯で茹でるとうまい」
そんな中、リクが山芋みたいなのを掘ってきた。
「モズラ、硬いから、俺やる。俺、力ついたから」
「ん、じゃあお願いしようかな」
俺は荷物の中からすり鉢を出して、リクに渡した。
最近のリクはできるところを見せたがる。
褒めるとパッと笑顔になって、将来はホストかっていう、うん、イケメン滅べ。
身体は俺より大きいけど、犬……いや弟みたいなもんだ。
30分くらいして様子を見に行くと、額に汗を流しながらゴリゴリとすっていた。けど、まだ2センチくらいしか減ってない。
相当硬いんだな、モズラ。
リクだってそこそこ力もついたはずなのにな。
夕方になって、リクがすり終わったモズラを持ってきた。
アレ1つすり終わるのに、何時間かかったんだろうか……。
それをリクがスプーンにすくってはお湯に通して一口サイズの塊にしていく。
「こうしておくと、時間が経っても柔らかいままなんだ」
茹でたモズラをスープに入れて食べたら、すっごく美味しかった。
もっちりとした主食だ。餅だ。
「リク、これ、すっごく美味しいな!今度いっぱい採ってきてな」
擦るのが大変だったからか、リクの顔は引きつった笑みになってたけど、次からは怪力の俺がすってあげるからさ、というのは心の中だけで呟いておいた。
そんなこんなで、リクも少しふっくらとして筋肉もついてきたし、さらに少し背も伸びたんじゃないかな。
俺と手合わせをしても簡単に転ばなくなったし、強くなってるんだと思う。まあ、怪力の俺に勝てないのは致し方あるまい。
むふふ、俺、最強説。
なんて思って油断してたからいけなかった。
なぜ運動させられているのか理解できていなかったリクに、それを問われてついポロリと『リクが1人でもちゃんと生きていけるようにだよ』みたいなことを言ってしまったのだ。
ずっと1人でいたリクの気持ちをわかっていなかった。
それからは不安なのか、やたらと俺にくっつくようになったし、とにかく姿が見えなくなると泣く。
夜寝る時なんか、ちょっと痛いくらい抱きしめてくる。
おかしいな。
俺、怪力なはずなのに、なぜか引き剥がすことができなくてだな。
まあリクの涙を見ちまえば、引き剥がそうなんて気は引っこんじまうからそのせいだろうけど。
そして、やたら濃い目のスキンシップが当たり前になった頃、ようやく少しの間姿が見えない距離で離れていても、捨てられることはないと信じられるようになったみたいだ。
はじめの頃は俺がしていた獣の狩りも、最近はリクも参加してアビジャコウという秋田犬くらいのネコみたいな獣まで獲れるようになった。
そろそろ町に出てみてもいいかもしれないな~。
クゥみたいな目で、俺の作る朝食を見つめてくる彼に、なんか折れた。
多分たくさん食べることに慣れてないっぽいから、最初は重いものより軽いものの方がいいだろう。
肉を細かく切って、あいも変わらずの塩味のスープだけど用意する。2人分。
「ほら、こっちで一緒に食べよう」
リクを呼ぶと笑顔で顔を上げて、慌てて下げた。
昨日襲ってきた悪い奴とは思えないかわいさだ。
皿の上のスープをものすごい速さで飲み干すと、俺が食べるのをジッと見ている。
おかわりをあげてもいいけど、ちょっとずつ慣らす方がいいと思うんだよなー。
「俺の手伝いをしてくれるなら、食事は用意してやってもいいけど、リクは俺の奴隷になる気はあるか?」
奴隷って言い方もどうかとは思うけど、正式な使用人として側に置くには一応義母の許可がいる。給金が発生するからな。
そうなると、リクが義母に取り上げられる可能性もある。
奴隷としてなら彼の日々のお世話は俺の仕事だし、取られない。もちろんお小遣いは用意するとも。用意できる環境が整えばな。
リクがコクリと喉を鳴らして、しばらく考えた後で頷いた。
俺が食べてる間、リクの今までの生活の話を聞く。
何を食べていたのかとか、町までどのくらいで行けるのとか、いっつも殴られていたとか。
結構過酷で驚いた。
そりゃあ、俺みたいな小さいヤツから奪おうってなるわなあ。
「じゃあまず着替えかな」
朝食が済むと今日の予定を進めることにする。
ひとまず人のいるところに行ってパンとか買い出しに行きたいけど、案内人であるリクをなんとかしないと町に出ても店員にきちんと相手にされないかもしれない。
少なくとも、実家の商会だったら門前払いだ。
昨日浄化したから身体は綺麗にはなってる。
けれど、服があちこち破れていて、いかにも薄汚れた孤児だ。
鞄の中から服を出すと着替えを促した。
俺よりも背だけは大きいから、まあ、見えないことはないだろう。
服を変えたら、普通に町にいる子に見える、か?
ちょっと髪が伸び放題だったのを軽く揃えれば、かわいい顔のせいもあってか、悪くない。
でもそれだけじゃダメだ。
「本当は買い物に行きたいんだけど、リクがもう少し筋肉ついてからかなあ」
健康的ではない感じが、浮浪者っぽいというか、なんだか危うい気がするのだ。
裏町仲間に見つかったら簡単にやられてしまいそう。
実際めっちゃ弱かったし。
「だ、大丈夫。町、案内できるし、荷物持てる」
リクは俺に捨てられたくないらしく、自分の有用性をアピールをしてくるけど、一度身内に入れたやつが暴力を振るわれるのとか、俺も許容できねえんだよな。
ひとまずは食べられるものでも探してこいと森の中を走らせたり、俺の切った木を斧で薪用に小さくさせたり、まあともかくリクは頑張った。
身体を使えば鍛えられるし、腹がしっかり減れば食べる量も増える。
徐々に肉多めの料理に変えていって、14歳らしい体格を取り戻させてやらないとな。
気分はお父さんだ。
子供がいたらこんな気持ちになったのかもなあ。
「これ、モズラ。すってドロドロになったら、お湯で茹でるとうまい」
そんな中、リクが山芋みたいなのを掘ってきた。
「モズラ、硬いから、俺やる。俺、力ついたから」
「ん、じゃあお願いしようかな」
俺は荷物の中からすり鉢を出して、リクに渡した。
最近のリクはできるところを見せたがる。
褒めるとパッと笑顔になって、将来はホストかっていう、うん、イケメン滅べ。
身体は俺より大きいけど、犬……いや弟みたいなもんだ。
30分くらいして様子を見に行くと、額に汗を流しながらゴリゴリとすっていた。けど、まだ2センチくらいしか減ってない。
相当硬いんだな、モズラ。
リクだってそこそこ力もついたはずなのにな。
夕方になって、リクがすり終わったモズラを持ってきた。
アレ1つすり終わるのに、何時間かかったんだろうか……。
それをリクがスプーンにすくってはお湯に通して一口サイズの塊にしていく。
「こうしておくと、時間が経っても柔らかいままなんだ」
茹でたモズラをスープに入れて食べたら、すっごく美味しかった。
もっちりとした主食だ。餅だ。
「リク、これ、すっごく美味しいな!今度いっぱい採ってきてな」
擦るのが大変だったからか、リクの顔は引きつった笑みになってたけど、次からは怪力の俺がすってあげるからさ、というのは心の中だけで呟いておいた。
そんなこんなで、リクも少しふっくらとして筋肉もついてきたし、さらに少し背も伸びたんじゃないかな。
俺と手合わせをしても簡単に転ばなくなったし、強くなってるんだと思う。まあ、怪力の俺に勝てないのは致し方あるまい。
むふふ、俺、最強説。
なんて思って油断してたからいけなかった。
なぜ運動させられているのか理解できていなかったリクに、それを問われてついポロリと『リクが1人でもちゃんと生きていけるようにだよ』みたいなことを言ってしまったのだ。
ずっと1人でいたリクの気持ちをわかっていなかった。
それからは不安なのか、やたらと俺にくっつくようになったし、とにかく姿が見えなくなると泣く。
夜寝る時なんか、ちょっと痛いくらい抱きしめてくる。
おかしいな。
俺、怪力なはずなのに、なぜか引き剥がすことができなくてだな。
まあリクの涙を見ちまえば、引き剥がそうなんて気は引っこんじまうからそのせいだろうけど。
そして、やたら濃い目のスキンシップが当たり前になった頃、ようやく少しの間姿が見えない距離で離れていても、捨てられることはないと信じられるようになったみたいだ。
はじめの頃は俺がしていた獣の狩りも、最近はリクも参加してアビジャコウという秋田犬くらいのネコみたいな獣まで獲れるようになった。
そろそろ町に出てみてもいいかもしれないな~。
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