1 / 53
I
しおりを挟む
オメガといえば、中性的な見かけをして庇護される存在なイメージが浮かぶけど、俺はその真逆をいくオメガ。
背もオメガとしては高くて、中高と学生時代は体育会系の中で生きてきた。オメガ特有のヒートとかも軽い方で、抑制剤飲んでるからかフェロモンも感じたことがなかった。
それでも過去3回受けたバース判定では紛うことなく「オメガ」と判定されてて、やっぱりオメガなんだと思う。
だからか、就職するときに一般職を希望してたけど、オメガ枠での採用になってしまった。
学生時代は「ベータ」として生きてきたつもりだったし、俺はオメガじゃなくて、普通のベータとして生きていきたかったんだけどなぁ。
オメガ枠の職員が配属される部署は備品管理みたいな事務仕事みたいなことをしていて、実際に会社の中を周ったりすることはほとんどない。
部署の中でパソコンをカチカチしたりする事務作業ばかり。
大事な仕事ではあるんだろうけど、替えがきくというか、当たり障りない作業ばかりで楽しいというかやりがいがあるとは言えない。
まぁ楽っちゃ楽なんだけど。
このままずっとこの仕事をやり続けるかといえば、首を縦に振るのは難しい。
それでもせっかく入れた有名企業なので、自分のできる範囲で頑張ってるんだけど。
そんな時、会社のトップが変わった。
社内のいろいろが変化していって、慌しく過ぎていった。
そして、俺にも変化が起きた。
働き方改革とかいうやつで、オメガの職員も希望すれば備品管理じゃない仕事ができるようになるらしい。
そして、そのトップバッターとして、なぜか俺に白羽の矢が刺さった。
元々俺が一般職希望だったことや
あとは日頃の仕事振りが認められる形となり転属されることになった。
そうして、今日から新しい部署での仕事が始まった。
正直、少し緊張している。
馬鹿みたいに考えすぎて、朝の電車でも何度も深呼吸した。
オメガ専用部署にずっといたから、普通の業務ってどんな感じなんだろう、と。
俺が行くことになった部署に行くと、概ね好意的に迎えられているようで安心した。
俺のお世話係というかペアを組んだ相手は、二歳上の面倒見の良さそうな体育会系の男性だった。
「俺は舟形弘、よろしくな。ベータだから」
普通は話すことじゃないけど、自己紹介でわざわざバース性まで明かしたのは俺がオメガだからかな。
俺も中高は体育会系だったし、頼りになりそうな先輩だ。
「小国直樹です。よろしくお願いします」
舟形先輩に差し出された手を握る。
今までが当たり障りない仕事ばかりで、二年目ではあるが、まるで新卒の新入社員みたいな俺は、午前中はオリエンテーションみたいな案内で、場所の説明から業務内容まで説明を受けた。
昼食を共にして、午後になり漸く仕事らしいことに取り掛かった。
仕事内容の説明は思ったより具体的で、資料整理や数字のチェック、会議で使う資料の作成など、初めて見る単語や手順が多くて少し戸惑った。
でも舟形先輩は手取り足取り教えてくれる。
焦らなくていい、と言われると、少し気持ちが落ち着いた。
終業の時間になり、キリがいいとこで今日の業務は終わる。
「本当は小国くんの歓迎会をやりたいとこなんだけど、今うちの課は大きいプロジェクト抱えてるから、時間ある人だけでちょっとした食事会でも」
と、帰りは近くの割烹居酒屋に誘われた。
メンバーは舟形先輩の他に二十代から三十代くらいの三人と俺の五人で、会社近くの店に歩いて向かった。
「カンパーイ」
食事会に参加したメンバーから無礼講ということで、課内のメンバーについていろいろ教わった。
「白鷹課長は注意した方がいいぞ」
一人がそう話すと、
「オメガ嫌いで有名だからな」
「番じゃないようなんだけど、婚約者なのかな、専務の娘さんがいるからなぁ」
「そうそう。彼女以外のオメガを毛嫌いしてるようだよ」
「今回の人事だって、なんでうちの課にオメガが来るんだって、思ってるみたいだよ」
課長の白鷹迅についてのことをいろいろ話してくれた。
オメガをあまり好意的に思ってないアルファは少なくない。
特にハイスペックなアルファはオメガからフェロモン攻撃を受けるっていうのは珍しくないようだ。
白鷹課長くらいイケメンで、優秀なアルファなら苦労してきたんだろうな、という思いに至るのは容易い。
「小国君、最初はちょっと怖く感じるかもしれないけど、仕事をきちんとやれば大丈夫だよ」
と舟形先輩。
どきりとしたけれど、先輩の笑顔で少し勇気が出る。
白鷹課長にはあんまり近付かないように気をつけようって思った。
俺もこれから大きいプロジェクトに舟形先輩と関わることになるんだから、気をつけないとな。
背もオメガとしては高くて、中高と学生時代は体育会系の中で生きてきた。オメガ特有のヒートとかも軽い方で、抑制剤飲んでるからかフェロモンも感じたことがなかった。
それでも過去3回受けたバース判定では紛うことなく「オメガ」と判定されてて、やっぱりオメガなんだと思う。
だからか、就職するときに一般職を希望してたけど、オメガ枠での採用になってしまった。
学生時代は「ベータ」として生きてきたつもりだったし、俺はオメガじゃなくて、普通のベータとして生きていきたかったんだけどなぁ。
オメガ枠の職員が配属される部署は備品管理みたいな事務仕事みたいなことをしていて、実際に会社の中を周ったりすることはほとんどない。
部署の中でパソコンをカチカチしたりする事務作業ばかり。
大事な仕事ではあるんだろうけど、替えがきくというか、当たり障りない作業ばかりで楽しいというかやりがいがあるとは言えない。
まぁ楽っちゃ楽なんだけど。
このままずっとこの仕事をやり続けるかといえば、首を縦に振るのは難しい。
それでもせっかく入れた有名企業なので、自分のできる範囲で頑張ってるんだけど。
そんな時、会社のトップが変わった。
社内のいろいろが変化していって、慌しく過ぎていった。
そして、俺にも変化が起きた。
働き方改革とかいうやつで、オメガの職員も希望すれば備品管理じゃない仕事ができるようになるらしい。
そして、そのトップバッターとして、なぜか俺に白羽の矢が刺さった。
元々俺が一般職希望だったことや
あとは日頃の仕事振りが認められる形となり転属されることになった。
そうして、今日から新しい部署での仕事が始まった。
正直、少し緊張している。
馬鹿みたいに考えすぎて、朝の電車でも何度も深呼吸した。
オメガ専用部署にずっといたから、普通の業務ってどんな感じなんだろう、と。
俺が行くことになった部署に行くと、概ね好意的に迎えられているようで安心した。
俺のお世話係というかペアを組んだ相手は、二歳上の面倒見の良さそうな体育会系の男性だった。
「俺は舟形弘、よろしくな。ベータだから」
普通は話すことじゃないけど、自己紹介でわざわざバース性まで明かしたのは俺がオメガだからかな。
俺も中高は体育会系だったし、頼りになりそうな先輩だ。
「小国直樹です。よろしくお願いします」
舟形先輩に差し出された手を握る。
今までが当たり障りない仕事ばかりで、二年目ではあるが、まるで新卒の新入社員みたいな俺は、午前中はオリエンテーションみたいな案内で、場所の説明から業務内容まで説明を受けた。
昼食を共にして、午後になり漸く仕事らしいことに取り掛かった。
仕事内容の説明は思ったより具体的で、資料整理や数字のチェック、会議で使う資料の作成など、初めて見る単語や手順が多くて少し戸惑った。
でも舟形先輩は手取り足取り教えてくれる。
焦らなくていい、と言われると、少し気持ちが落ち着いた。
終業の時間になり、キリがいいとこで今日の業務は終わる。
「本当は小国くんの歓迎会をやりたいとこなんだけど、今うちの課は大きいプロジェクト抱えてるから、時間ある人だけでちょっとした食事会でも」
と、帰りは近くの割烹居酒屋に誘われた。
メンバーは舟形先輩の他に二十代から三十代くらいの三人と俺の五人で、会社近くの店に歩いて向かった。
「カンパーイ」
食事会に参加したメンバーから無礼講ということで、課内のメンバーについていろいろ教わった。
「白鷹課長は注意した方がいいぞ」
一人がそう話すと、
「オメガ嫌いで有名だからな」
「番じゃないようなんだけど、婚約者なのかな、専務の娘さんがいるからなぁ」
「そうそう。彼女以外のオメガを毛嫌いしてるようだよ」
「今回の人事だって、なんでうちの課にオメガが来るんだって、思ってるみたいだよ」
課長の白鷹迅についてのことをいろいろ話してくれた。
オメガをあまり好意的に思ってないアルファは少なくない。
特にハイスペックなアルファはオメガからフェロモン攻撃を受けるっていうのは珍しくないようだ。
白鷹課長くらいイケメンで、優秀なアルファなら苦労してきたんだろうな、という思いに至るのは容易い。
「小国君、最初はちょっと怖く感じるかもしれないけど、仕事をきちんとやれば大丈夫だよ」
と舟形先輩。
どきりとしたけれど、先輩の笑顔で少し勇気が出る。
白鷹課長にはあんまり近付かないように気をつけようって思った。
俺もこれから大きいプロジェクトに舟形先輩と関わることになるんだから、気をつけないとな。
123
あなたにおすすめの小説
恋が始まる日
一ノ瀬麻紀
BL
幼い頃から決められていた結婚だから仕方がないけど、夫は僕のことを好きなのだろうか……。
だから僕は夫に「僕のどんな所が好き?」って聞いてみたくなったんだ。
オメガバースです。
アルファ×オメガの歳の差夫夫のお話。
ツイノベで書いたお話を少し直して載せました。
幸せごはんの作り方
コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。
しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。
そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。
仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話
勘違いへたれアルファと一途つよかわオメガ──ずっと好きだったのは、自分だけだと思ってた
星群ネオン
BL
幼い頃に結婚の約束をした──成長とともにだんだん疎遠になったアルファとオメガのお話。
美しい池のほとりで出会ったアルファとオメガはその後…。
強くてへたれなアルファと、可愛くて一途なオメガ。
ありがちなオメガバース設定です。Rシーンはありません。
実のところ勘違いなのは二人共とも言えます。
α視点を2話、Ω視点を2話の後、その後を2話の全6話完結。
勘違いへたれアルファ 新井裕吾(あらい・ゆうご) 23歳
一途つよかわオメガ 御門翠(みがと・すい) 23歳
アルファポリス初投稿です。
※本作は作者の別作品「きらきらオメガは子種が欲しい!~」や「一生分の恋のあと~」と同じ世界、共通の人物が登場します。
それぞれ独立した作品なので、他の作品を未読でも問題なくお読みいただけます。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる