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覗き込んだ先には、先ほどの星と違って、模様迄がはっきりと映った星があった。
それは図鑑で見ただけのものと違って、何処かぼんやりと、そしてそこに移っていなかったものまでがよく見える。
「わ。」
思わず声が出るほどに、それは綺麗なものに見えた。
「どうかな。」
「うん、これは凄いかも。」
空を見たときに、赤く光っているそれくらいの知識しかなかったけど、こうして覗き込むと、薄茶色と言えばいいんだろうか、もっと、こう、オレンジのそれこそ図鑑で見たときはそんな色だったから、そう思っていたが、淡い色合いで、所々に黒い影、そして上部には白い部分がある。
「こんなによく見えるんだ。」
「今日はシーイング、えっと、風もあまりなくて、大気の状態もいいみたいだから。
倍率、変えてみる。」
「あ、変えれるんだ。その、上の方にある白い部分って。」
「極冠だね。地球と同じ、北極と南極に、氷があるの。」
「あれ、水、無いんじゃなかったっけ。」
言われた言葉に思わず、レンズから目を離して彼女を振り返る。
「うん。大気が薄いから、水は蒸発したって、そう言われてるね。一応地下に氷として残ってるみたいだけど。
その地図を作ったって、そんな話を呼んだことも有るし。」
「えっと、これで見えるのって、地下じゃないよね。」
「あ、ごめんね。極冠は二酸化炭素、ドライアイスって言えば分かり易いかな。そう言われてるよ。」
「そっか、水じゃなくても、個体にはなるもんね。」
そう応えてもう一度覗き込んでみる。少し話している間に、中心から既に少し動いてしまっている。
それでも、不思議な模様がそこには見えている。
「うん。そのドライアイスの下には、塩水湖があるかもしれないとか、まぁ、他にも色々と。」
「水があることは、前提、なんだ。あ、氷は、水の氷は地下にあるって分かってるんだっけ。」
「そうだね。表面で、三角州とか、水の影響を受けた、そう判断できる鉱物とか、色々見つかってるから。過去にはあった、それは間違いないって言われてるよ。」
「でも、そんな無くなるものなんだ。」
「私も、そのあたりはらしいとしか言えないけど、大気の状態が変わったんだって。昔は大気があって、水が存在できる状態だったんじゃないかって。」
「へー。じゃ、この見えてる模様って。」
「その倍率だと、大まかな地形によるものかな。」
そう言われて、改めてレンズから顔を外す。
そう言えば倍率を変えるなんて話もあった。
「結構はっきり黒いけど、所々。」
「うーん。土地の質、なのかな。ごめんね。私もそこまで詳しくないから。」
「そっか。うん。大丈夫自分で調べるよ。」
「わ。興味、出てきたんだ。」
「うん。」
こうして、ここまではっきり見えると、流石に色々と気になってくる。というか、先ほどの一等星は大きく見えただけだったけど、ここまではっきりと見え方が変わるだなんて、思ってもいなかった。
「えっと、月って、見れたりするかな。」
「あ、そうだね。まずは月が定番だよね。大体半月だし、うん、よく見えると思うよ。
じゃ、ちょっと変わってね。」
そうして、彼女と場所を変わり、また彼女が空を見てからレンズではなく、そこから出ているのぞき窓のようなものを使って望遠鏡の向きを変え、そのあとレンズを変えたりと、あれこれと作業をしているのを、何となくわくわくした気持ちで見る。
火星、それでさえかなり遠いのだ。それでも結構、こうして空を見上げてみるのとは違って見えた。では、もっと近い月ならどう見えるのだろうか。
そんなことを思いながら、肉眼で月を探してそちらを見てみる。
半分掛けた、流石に月齢までは詳しくないから、一目で本当に半分かどうかまでは分からないけど、薄く白く光る衛星がそこにはある。
「はい。出来たよ。月は動きが早いから。割とすぐに外れちゃうから。」
「あ、そうなんだ。」
そう応えてしまうが、考えてみれば、他と違って、一日で一周するのだから、それも当然か。計算まではぱっとできないけど、円周を動く、それを計算で出せば、どれだけ一分で動くのか、それも分かるものだろうし。
場所を開けてくれた彼女に変わって、覗き込むと、火星とはまた違った、白と灰色の中間の様な、そんなものが視界一杯に広がっている。
「わ。こんなに大きく見えるんだ。」
思わず驚きの声を上げるほどに、本当に前の前一杯に見える。クレーターその縁もはっきりと分るくらいに。
以前、双眼鏡で見た時にも驚いたけど、それ以上に。それこそ写真で見るよりも、新鮮な驚きがある。
「よく知ってるみたいだったし、その、本当は月からだよね。」
「僕が言い出したことだし。クレーター、本当にクレータなんだね。」
「うん。そうだね。これくらいの望遠鏡でも、はっきり形、分かるでしょ。」
「うん。えっと、名前もあったりするんだっけ。」
「流石に全部はないし、私も覚えてないけど、うん、ついてるよ。」
「へー。」
そうして、暫くのぞき込んでから、改めてレンズから顔を離して、今度は肉眼で見てみる。
そこには望遠鏡で覗き込むのとは、まったく違ったように見える月が浮かんでいる。それはそれで綺麗だけど。はっきりと、それこそクレーターの影も分かりそうなくらいはっきりと、そうやってみるのも、楽しい。
それは図鑑で見ただけのものと違って、何処かぼんやりと、そしてそこに移っていなかったものまでがよく見える。
「わ。」
思わず声が出るほどに、それは綺麗なものに見えた。
「どうかな。」
「うん、これは凄いかも。」
空を見たときに、赤く光っているそれくらいの知識しかなかったけど、こうして覗き込むと、薄茶色と言えばいいんだろうか、もっと、こう、オレンジのそれこそ図鑑で見たときはそんな色だったから、そう思っていたが、淡い色合いで、所々に黒い影、そして上部には白い部分がある。
「こんなによく見えるんだ。」
「今日はシーイング、えっと、風もあまりなくて、大気の状態もいいみたいだから。
倍率、変えてみる。」
「あ、変えれるんだ。その、上の方にある白い部分って。」
「極冠だね。地球と同じ、北極と南極に、氷があるの。」
「あれ、水、無いんじゃなかったっけ。」
言われた言葉に思わず、レンズから目を離して彼女を振り返る。
「うん。大気が薄いから、水は蒸発したって、そう言われてるね。一応地下に氷として残ってるみたいだけど。
その地図を作ったって、そんな話を呼んだことも有るし。」
「えっと、これで見えるのって、地下じゃないよね。」
「あ、ごめんね。極冠は二酸化炭素、ドライアイスって言えば分かり易いかな。そう言われてるよ。」
「そっか、水じゃなくても、個体にはなるもんね。」
そう応えてもう一度覗き込んでみる。少し話している間に、中心から既に少し動いてしまっている。
それでも、不思議な模様がそこには見えている。
「うん。そのドライアイスの下には、塩水湖があるかもしれないとか、まぁ、他にも色々と。」
「水があることは、前提、なんだ。あ、氷は、水の氷は地下にあるって分かってるんだっけ。」
「そうだね。表面で、三角州とか、水の影響を受けた、そう判断できる鉱物とか、色々見つかってるから。過去にはあった、それは間違いないって言われてるよ。」
「でも、そんな無くなるものなんだ。」
「私も、そのあたりはらしいとしか言えないけど、大気の状態が変わったんだって。昔は大気があって、水が存在できる状態だったんじゃないかって。」
「へー。じゃ、この見えてる模様って。」
「その倍率だと、大まかな地形によるものかな。」
そう言われて、改めてレンズから顔を外す。
そう言えば倍率を変えるなんて話もあった。
「結構はっきり黒いけど、所々。」
「うーん。土地の質、なのかな。ごめんね。私もそこまで詳しくないから。」
「そっか。うん。大丈夫自分で調べるよ。」
「わ。興味、出てきたんだ。」
「うん。」
こうして、ここまではっきり見えると、流石に色々と気になってくる。というか、先ほどの一等星は大きく見えただけだったけど、ここまではっきりと見え方が変わるだなんて、思ってもいなかった。
「えっと、月って、見れたりするかな。」
「あ、そうだね。まずは月が定番だよね。大体半月だし、うん、よく見えると思うよ。
じゃ、ちょっと変わってね。」
そうして、彼女と場所を変わり、また彼女が空を見てからレンズではなく、そこから出ているのぞき窓のようなものを使って望遠鏡の向きを変え、そのあとレンズを変えたりと、あれこれと作業をしているのを、何となくわくわくした気持ちで見る。
火星、それでさえかなり遠いのだ。それでも結構、こうして空を見上げてみるのとは違って見えた。では、もっと近い月ならどう見えるのだろうか。
そんなことを思いながら、肉眼で月を探してそちらを見てみる。
半分掛けた、流石に月齢までは詳しくないから、一目で本当に半分かどうかまでは分からないけど、薄く白く光る衛星がそこにはある。
「はい。出来たよ。月は動きが早いから。割とすぐに外れちゃうから。」
「あ、そうなんだ。」
そう応えてしまうが、考えてみれば、他と違って、一日で一周するのだから、それも当然か。計算まではぱっとできないけど、円周を動く、それを計算で出せば、どれだけ一分で動くのか、それも分かるものだろうし。
場所を開けてくれた彼女に変わって、覗き込むと、火星とはまた違った、白と灰色の中間の様な、そんなものが視界一杯に広がっている。
「わ。こんなに大きく見えるんだ。」
思わず驚きの声を上げるほどに、本当に前の前一杯に見える。クレーターその縁もはっきりと分るくらいに。
以前、双眼鏡で見た時にも驚いたけど、それ以上に。それこそ写真で見るよりも、新鮮な驚きがある。
「よく知ってるみたいだったし、その、本当は月からだよね。」
「僕が言い出したことだし。クレーター、本当にクレータなんだね。」
「うん。そうだね。これくらいの望遠鏡でも、はっきり形、分かるでしょ。」
「うん。えっと、名前もあったりするんだっけ。」
「流石に全部はないし、私も覚えてないけど、うん、ついてるよ。」
「へー。」
そうして、暫くのぞき込んでから、改めてレンズから顔を離して、今度は肉眼で見てみる。
そこには望遠鏡で覗き込むのとは、まったく違ったように見える月が浮かんでいる。それはそれで綺麗だけど。はっきりと、それこそクレーターの影も分かりそうなくらいはっきりと、そうやってみるのも、楽しい。
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