婚約破棄のその後に

ゆーぞー

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 後日ジョセフは王宮の一室に呼び出された。そこにはサントスだけではなく、各騎士団の団長と大臣、そして国王陛下と王妃までいた。その日は王宮で夜会があるとのことで、全員が煌びやかな服装をしている。単なる軍服のジョセフは場違いに感じた。

    ジョセフはそこで第一騎士団所属のレナード・アイザックスの同僚と紹介された。何となく複雑な気持ちではあるが、真実なので仕方がない。全員の目がジョセフに注がれる。気持ちはざわつくが、これも最後の仕事と思うことにした。


 そして宰相によって読み上げられる報告。レナードの騎士学校入学から卒業、騎士団入団までにどれだけのお金がアイザックス家から支払われたか、それを誰が受け取ったか。読み上げられていく名前を聞いて、ジョセフは吐き気がしてきた。退団の意思を固めて正解だったと思った。その後、ジョセフの功績を全て自分のものと報告していたこと、嘘であるとわかったうえで副団長に任命したことなども報告されていく。

「マイズ国からの暴漢たちも全て白状しました。リオンヌ家に雇われたそうでその証拠も押さえています」

 数人が頭を抱え、ため息を漏らしている。

「確か、レナード・アイザックスと付き合っている・・・」
「でもレナードは婚約しているはずです」

 陛下のいる前だが、室内はざわめき出した。

「お静かに!」

 宰相がよく通る声で場を鎮めた。再び室内には沈黙が訪れる。

「皆さんは、傷物令嬢をご存知ですね」

 しかし宰相の次の言葉でガタッと言う音が聞こえた。見ると王妃が目を釣り上げ真っ赤な顔をして立ち上がっていた。

「今、なんて言ったの?」

 怒気を含んだ低い声。しかし宰相は表情も変えずに再度声を出した。

「傷物令嬢、です」
「発言を取り消しなさい!なんて忌々しい言葉」

 王妃の剣幕に誰もが俯いた。王妃は日頃から穏やかな人物と評されているからだ。

「傷物令息なんて言葉はないでしょう?」
「ありませんね。あればレナードに言ってやりますが」

 王妃の剣幕にも宰相は動じることもなく、淡々と無表情に言い返す。

「私が言葉を作ったわけではありません。すでにそういう言葉があるのです」

 なおも言葉を続ける宰相に王妃の手が震えている。

「話を続けなさい」

 陛下の言葉に王妃は座り直した。目は今も宰相を睨み続けている。

「口に出したい言葉ではありませんが、致し方ないのです。お許しください」

 宰相はそう断ってから話し出した。傷物令嬢とは、婚期を逃したり婚約をしても婚姻に至らなかったりした令嬢のことを指す。他にも婚姻しても子を産めなかったり、離縁されたりした女性も傷物と称される。

「ともかく、そういった女性に新たな縁談や住まいなどを紹介する人がいます。女性が幸せになるのなら問題はないと言えるでしょう」

 そこで宰相は言葉を止め、チラリと王妃を見た。王妃は少し落ち着いた様子ではあるが、相変わらず表情は硬い。

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