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朝食が終わり、私は着替えさせられていた。ジョセフ様が私を連れてここにいるということがどなたかの耳に入り、それならばご挨拶にとそのどなたかがここに向かわれているそうなのだ。
「面倒ね」
朝食の時は大変ご機嫌だったお義母様の様子が変わった。明らかに暗く重苦しい様子にならて、私は困惑している。その様子を見ると、やはりジョセフ様とお義母様には血の繋がりがあるのだとわかった。
「誰が情報を漏らしたの?」
「全くだ、いくら先触を出すとはいえ、こちらのことも考えないとは」
「うちの使用人が漏らすわけがないでしょう。おそらく馬車を見られたということでしょう」
「神の怒りを買うがいいさ」
全員の様子がおかしくなった。もしかして相当面倒なお方ではないか?そう思うと震えてしまう。ジョセフ様のお相手の私を見に来るのだろう。ジョセフ様のお相手には相応しくない私を見て、その人はどうするだろうか。クルーソン家のご迷惑にしかならないだろう。
「ライラ様、大丈夫ですよ」
メイリンが震える私の手を握ってくれる。
「ライラ様はお美しく、どう振る舞われても品位を保たれておられます」
「そうですわ」
オリビアが私の髪に真珠でできた髪飾りをつけてくれた。
「こちらはクルーソン家の奥方になられた方が代々つけてこられた物。クルーソン家の奥方の証でございます。こちらをライラ様にと旦那様から言いつかりました」
お義父様、ありがとうございます。心の中でつぶやくと私はにっこり笑った。とりあえず笑えばなんとかなるような気がした。実際、気持ちが落ち着くのを感じる。大丈夫、なんとかなる。お義母様もいらっしゃるのだから。
「素晴らしいわ、ライラ」
部屋から出るとお義母様が待ってくださっていた。
「やはり綺麗ね。髪飾りもいいわ」
「ありがとうございます」
「隣の領主のスパイラ家の人が来るそうなの。おそらくソフィアとその孫のポージーよ」
「はい、了解致しました」
「ソフィアは問題ないわ。気のいいおばあちゃんって感じの人。問題は孫のポージーなのよね」
何が問題なのだろうか。続きを早く、と思ったところで「ご到着なされました」との知らせが入ってしまった。
「さ、行くわよ。私に任せてちょうだい」
お義母様が気合いの入った顔つきで言った。おまかせします、何もかも。そもそも私は貴族の方と過ごした経験が皆無なのだ。どんな話題を出せばいいか、どう振る舞えばいいかなど何もわからない。予習することもなくいきなり本番。しかも問題ありのご令嬢が相手らしい。大丈夫か不安しかない。
部屋に入る。座っていた人が立ち上がり、私とお義母様に挨拶をした。
「ソフィア・スパイラでございます。ジョセフ様とその奥方のライラ様がお越しとのことでご挨拶に参じました」
白髪の品のあるおばあちゃまという感じだ。優しい笑顔で私もつい微笑んでしまう。
「ライラでございます」
私が挨拶をするとソフィアはますます笑顔になった。
「まぁ、こんなにすばらしいお方とのご縁がございましたなんて。お羨ましいことでございますわ」
「神に愛されていますから」
女性だけの集まりかと思えば、お義父様、お義兄様たちも座っていた。お茶とお菓子が目当てなのだろうか。
「こちらは孫のポージーでございます」
私と同じくらいの年齢だろうか。綺麗な顔立ちの女性が横に立っていた。
「ライラでございます」
「・・・ポージーです」
どうぞ、よろしくと笑顔を向けたが、すぐに彼女はお義母様の方を向いた。
「叔母様ぁ。ジョセフ様はどうされましたのぉ?」
お義母様の顔が引き攣っている。
「ジョセフは任務が入ったので出かけてしまったわ」
「まぁ、そうですのぉ?」
ポージーはそう言いながら私の方をチラチラと見ている。なんとなく挑戦的な感じがした。
「ジョセフ兄様とお会いできなくて残念ですわぁ。先だってお会いした時は、私のこととても綺麗になったって褒めてくださったんですよぉ。これならいいお嫁さんになれるなってぇ」
話し方は可愛らしいのだが、私を見る目は可愛らしくはなかった。あぁ、そうか。この人はジョセフ様のことが好きなのだろう。それなのに私との結婚が決まったから面白くないんだ。
「話すのが面倒だからって社交辞令しか言わないのはよくないって、我々は注意していたんですよ。気の利かない弟で本当に申し訳ない」
「定番の社交辞令ですが、喜んでもらえてよかったです」
お義兄様の言葉にポージーがワナワナと震えている。女性に対して失礼ではないかと思ったが、お義母様もにっこりと笑っている。
「さぁ、座ってお茶を楽しみましょう」
何を楽しむのかわからないが、とにかく座ることにした。相変わらずポージーは私を睨むように見ていて、問題という意味がわかったのであった。
「面倒ね」
朝食の時は大変ご機嫌だったお義母様の様子が変わった。明らかに暗く重苦しい様子にならて、私は困惑している。その様子を見ると、やはりジョセフ様とお義母様には血の繋がりがあるのだとわかった。
「誰が情報を漏らしたの?」
「全くだ、いくら先触を出すとはいえ、こちらのことも考えないとは」
「うちの使用人が漏らすわけがないでしょう。おそらく馬車を見られたということでしょう」
「神の怒りを買うがいいさ」
全員の様子がおかしくなった。もしかして相当面倒なお方ではないか?そう思うと震えてしまう。ジョセフ様のお相手の私を見に来るのだろう。ジョセフ様のお相手には相応しくない私を見て、その人はどうするだろうか。クルーソン家のご迷惑にしかならないだろう。
「ライラ様、大丈夫ですよ」
メイリンが震える私の手を握ってくれる。
「ライラ様はお美しく、どう振る舞われても品位を保たれておられます」
「そうですわ」
オリビアが私の髪に真珠でできた髪飾りをつけてくれた。
「こちらはクルーソン家の奥方になられた方が代々つけてこられた物。クルーソン家の奥方の証でございます。こちらをライラ様にと旦那様から言いつかりました」
お義父様、ありがとうございます。心の中でつぶやくと私はにっこり笑った。とりあえず笑えばなんとかなるような気がした。実際、気持ちが落ち着くのを感じる。大丈夫、なんとかなる。お義母様もいらっしゃるのだから。
「素晴らしいわ、ライラ」
部屋から出るとお義母様が待ってくださっていた。
「やはり綺麗ね。髪飾りもいいわ」
「ありがとうございます」
「隣の領主のスパイラ家の人が来るそうなの。おそらくソフィアとその孫のポージーよ」
「はい、了解致しました」
「ソフィアは問題ないわ。気のいいおばあちゃんって感じの人。問題は孫のポージーなのよね」
何が問題なのだろうか。続きを早く、と思ったところで「ご到着なされました」との知らせが入ってしまった。
「さ、行くわよ。私に任せてちょうだい」
お義母様が気合いの入った顔つきで言った。おまかせします、何もかも。そもそも私は貴族の方と過ごした経験が皆無なのだ。どんな話題を出せばいいか、どう振る舞えばいいかなど何もわからない。予習することもなくいきなり本番。しかも問題ありのご令嬢が相手らしい。大丈夫か不安しかない。
部屋に入る。座っていた人が立ち上がり、私とお義母様に挨拶をした。
「ソフィア・スパイラでございます。ジョセフ様とその奥方のライラ様がお越しとのことでご挨拶に参じました」
白髪の品のあるおばあちゃまという感じだ。優しい笑顔で私もつい微笑んでしまう。
「ライラでございます」
私が挨拶をするとソフィアはますます笑顔になった。
「まぁ、こんなにすばらしいお方とのご縁がございましたなんて。お羨ましいことでございますわ」
「神に愛されていますから」
女性だけの集まりかと思えば、お義父様、お義兄様たちも座っていた。お茶とお菓子が目当てなのだろうか。
「こちらは孫のポージーでございます」
私と同じくらいの年齢だろうか。綺麗な顔立ちの女性が横に立っていた。
「ライラでございます」
「・・・ポージーです」
どうぞ、よろしくと笑顔を向けたが、すぐに彼女はお義母様の方を向いた。
「叔母様ぁ。ジョセフ様はどうされましたのぉ?」
お義母様の顔が引き攣っている。
「ジョセフは任務が入ったので出かけてしまったわ」
「まぁ、そうですのぉ?」
ポージーはそう言いながら私の方をチラチラと見ている。なんとなく挑戦的な感じがした。
「ジョセフ兄様とお会いできなくて残念ですわぁ。先だってお会いした時は、私のこととても綺麗になったって褒めてくださったんですよぉ。これならいいお嫁さんになれるなってぇ」
話し方は可愛らしいのだが、私を見る目は可愛らしくはなかった。あぁ、そうか。この人はジョセフ様のことが好きなのだろう。それなのに私との結婚が決まったから面白くないんだ。
「話すのが面倒だからって社交辞令しか言わないのはよくないって、我々は注意していたんですよ。気の利かない弟で本当に申し訳ない」
「定番の社交辞令ですが、喜んでもらえてよかったです」
お義兄様の言葉にポージーがワナワナと震えている。女性に対して失礼ではないかと思ったが、お義母様もにっこりと笑っている。
「さぁ、座ってお茶を楽しみましょう」
何を楽しむのかわからないが、とにかく座ることにした。相変わらずポージーは私を睨むように見ていて、問題という意味がわかったのであった。
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