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少しお休みになった後、晴れやかなお顔で将軍様は帰られた。もっと話を聞きたいと滞在をねだる私に笑顔を向け、もしジョセフが困ったことをしたら自分に言いつけるようにと言っていた。そんなことはないと思うが、その時はお願いしますと頭を下げた。将軍様は満足そうに何度もうなづいていた。
将軍様が帰られると、お義父様、お義母様、お義兄様方も笑顔になった。そんなに将軍様って気を遣うお相手だろうかと思う。むしろ裏表のないお方に思える。しかし。
「将軍のお守りで疲れただろう」
「おかげで我々もライラの食事にありつけたからラッキーだったけど」
「あのステーキの味付け、ローガンに教えてもらえない?また食べたいわ」
「あの将軍を上機嫌にさせるなんて、ライラは凄いな」
色々言われてしまった。私としたら面白いお話も聞けたし、料理もできたのでラッキーだった。私が作ると、私の方が美味しいと言われるので料理人から遠慮してほしいと言われていたのだ。家族が食べる分だけと作れば、自分たちも勉強のため食べさせてほしいと言われ、結局は1日1食の昼食だけ作るということになったのだ。
しかし今日は勢い付いたまま、私は夕食も作るために厨房で料理を作っていた。本当ならジョセフ様にも召し上がっていただきたい。でもいつ戻るかわからない。それが寂しくはある。自然とジョセフ様のお好きそうなものを作っていた。昼に散々肉を焼いたけど、夕食は別腹とばかりにまたステーキを作っていた。肉ならいくらでもあるのだ。
「ライラ様・・・!」
そこにメイリンがやってきた。急いでいたのか息が上がっている。
「ジョセフ様がこちらに向かわれています」
え?今どこだろうか。今日の夕食に間に合うといいけど、しかしそれは無理かもしれない。早くて夜中か、明日の朝食はご一緒できたらいいな。明日は早起きして朝食の準備をしておかなくては。と、私は嬉しくなっていた。
「連絡がありましたが、もうまもなく・・・」
「ジョセフ様が戻られました!」
メイリンが言い終わる前に帰宅の連絡が別の使用人から入った。先ぶれとほぼ同時なら先ぶれの意味はないのではないか?と私は疑問に思ったのだが、そんなこと考える暇はなかった。すぐに玄関へ向かおうと厨房を出た。すると目の前にジョセフ様がいた。
しばらく会っていないはずなのに、いつも通りと思った。思ってから思い返した。いつも通りというほど長く知り合っているわけではない。それなのに、いつもと同じジョセフ様だと思った。
「ジョセフ様・・・」
今の私、厨房で働いてきたままだ。しまった、と思う。普通の貴族の令嬢なら綺麗なドレスを着て、髪も整えて旦那様のお帰りを迎えるはずなのだ。最初に会った時、私は掃除をしていて頭には蜘蛛の巣がついていた。貴族の令嬢どころか、下働きの女中みたいな格好で彼を出迎えた。そんな私を彼は笑って迎えてくれた。
「おかえりなさいませ」
私は深々とお辞儀をした。
「お仕事、お疲れ様でございました」
想像した通り、私はジョセフ様にそう言った。
「ただいま」
ジョセフ様は私の想像通りに答えてくれた。
「お夕食の準備は整っております」
「そうか、ではいただこう」
私は笑顔を向ける。ジョセフ様も私に優しい瞳で答えてくれる。これが私たちなのだ。会わなかった時間などたいしてなかった気分だった。朝出かけて夜になって帰ってきた、そんな感じだった。
「長年連れ添った夫婦みたい」
「やはり、いいご縁だったな」
お義父様とお義母様の言葉が聞こえた。夫婦なんだ、と今さらながら思った。ジョセフ様の背中を見ながら、私は幸せを味わっていた。
「ライラ様、お着替えを」
メイリンに促され、私は部屋に戻った。メイドたちが待ち構えている。
「超特急で仕上げます」
「ジョセフ様はお仕事を終えられ、空腹の状態です」
「空腹のクルーソン家の方をお待たせすると災いが起こります」
え?何だか物騒なんだけど。気にしつつもメイドの言うこと、やることに逆らわない。やってもらってる身なのだ。そして数分後。鏡の中には着飾った令嬢がいた。うん、なんとか令嬢と呼べるかもしれない。
「支度はできましたか」
ノックの音がして、ジョセフ様が来てくださった。夕食の席に向かうために迎えに来てくださったのだ。家の中で場所も迷わず行けるのに。
「はい」
私を見たジョセフ様は少し驚いた様子だった。確かに、さっきまでの格好を見たら驚くのは仕方がない。
「ライラ」
エスコートされながら、私はジョセフ様を見上げた。ジョセフ様はやはり優しい目をしている。じっと見つめていたい、何故かそんなことを考えてしまって私は恥ずかしくなって俯いたのだった。
将軍様が帰られると、お義父様、お義母様、お義兄様方も笑顔になった。そんなに将軍様って気を遣うお相手だろうかと思う。むしろ裏表のないお方に思える。しかし。
「将軍のお守りで疲れただろう」
「おかげで我々もライラの食事にありつけたからラッキーだったけど」
「あのステーキの味付け、ローガンに教えてもらえない?また食べたいわ」
「あの将軍を上機嫌にさせるなんて、ライラは凄いな」
色々言われてしまった。私としたら面白いお話も聞けたし、料理もできたのでラッキーだった。私が作ると、私の方が美味しいと言われるので料理人から遠慮してほしいと言われていたのだ。家族が食べる分だけと作れば、自分たちも勉強のため食べさせてほしいと言われ、結局は1日1食の昼食だけ作るということになったのだ。
しかし今日は勢い付いたまま、私は夕食も作るために厨房で料理を作っていた。本当ならジョセフ様にも召し上がっていただきたい。でもいつ戻るかわからない。それが寂しくはある。自然とジョセフ様のお好きそうなものを作っていた。昼に散々肉を焼いたけど、夕食は別腹とばかりにまたステーキを作っていた。肉ならいくらでもあるのだ。
「ライラ様・・・!」
そこにメイリンがやってきた。急いでいたのか息が上がっている。
「ジョセフ様がこちらに向かわれています」
え?今どこだろうか。今日の夕食に間に合うといいけど、しかしそれは無理かもしれない。早くて夜中か、明日の朝食はご一緒できたらいいな。明日は早起きして朝食の準備をしておかなくては。と、私は嬉しくなっていた。
「連絡がありましたが、もうまもなく・・・」
「ジョセフ様が戻られました!」
メイリンが言い終わる前に帰宅の連絡が別の使用人から入った。先ぶれとほぼ同時なら先ぶれの意味はないのではないか?と私は疑問に思ったのだが、そんなこと考える暇はなかった。すぐに玄関へ向かおうと厨房を出た。すると目の前にジョセフ様がいた。
しばらく会っていないはずなのに、いつも通りと思った。思ってから思い返した。いつも通りというほど長く知り合っているわけではない。それなのに、いつもと同じジョセフ様だと思った。
「ジョセフ様・・・」
今の私、厨房で働いてきたままだ。しまった、と思う。普通の貴族の令嬢なら綺麗なドレスを着て、髪も整えて旦那様のお帰りを迎えるはずなのだ。最初に会った時、私は掃除をしていて頭には蜘蛛の巣がついていた。貴族の令嬢どころか、下働きの女中みたいな格好で彼を出迎えた。そんな私を彼は笑って迎えてくれた。
「おかえりなさいませ」
私は深々とお辞儀をした。
「お仕事、お疲れ様でございました」
想像した通り、私はジョセフ様にそう言った。
「ただいま」
ジョセフ様は私の想像通りに答えてくれた。
「お夕食の準備は整っております」
「そうか、ではいただこう」
私は笑顔を向ける。ジョセフ様も私に優しい瞳で答えてくれる。これが私たちなのだ。会わなかった時間などたいしてなかった気分だった。朝出かけて夜になって帰ってきた、そんな感じだった。
「長年連れ添った夫婦みたい」
「やはり、いいご縁だったな」
お義父様とお義母様の言葉が聞こえた。夫婦なんだ、と今さらながら思った。ジョセフ様の背中を見ながら、私は幸せを味わっていた。
「ライラ様、お着替えを」
メイリンに促され、私は部屋に戻った。メイドたちが待ち構えている。
「超特急で仕上げます」
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ノックの音がして、ジョセフ様が来てくださった。夕食の席に向かうために迎えに来てくださったのだ。家の中で場所も迷わず行けるのに。
「はい」
私を見たジョセフ様は少し驚いた様子だった。確かに、さっきまでの格好を見たら驚くのは仕方がない。
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