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「おい、テーブルはこっちだ!」
「クロスをもっと持ってきてちょうだい!」
「お花の準備はどうなっているの?」
朝から騒がしい。いよいよ今日は披露宴当日。この季節は風も気持ちがいいとのことで、クルーソン家自慢の庭園が会場になった。使用人たちは早朝から慌ただしく準備をしている。
「ほら、やっぱり陽の光の中だとこっちのドレスの方が映えるわ」
「ですが、本番はもう少し陽の光が陰るのではないですか」
「そうねぇ」
今日が終わればドレス選びも終了する。なので、私は笑顔でここに立っている。これも貴族のお務めなのだ。多分・・・。昨夜決まったドレスをお義母様が悩み始め、オリビアもそれに追従し、結局本番と同じ条件でドレスを着て検証することになったのだ。
使用人の人たちが忙しく準備している横で私たちが呑気にドレスを選んでいるというのは、何というか申し訳ない気持ちになる。
「母上もいい加減にしてください。ライラが疲れているではないですか」
「だってぇ」
ジョセフ様に叱られてもお義母様は唇を尖らせ
「ライラを最高に可愛く仕立てたいと思わないの?」
と言い返した。
「ライラは十分魅力的ですよ」
さらりとジョセフ様に言われて顔が赤くなるのがわかった。
「はいはい、とにかく今日は本番なんだから。気合い入れていくわよ」
「「「「はい!」」」
お義母様とオリビア始め使用人たちが円陣を組んで声を上げている。なんだか怖い。ジョセフ様の訓練を思い出しそうだ。
「ライラ、今日は主役だね」
現れたのは将軍様だ。まだ招待客の来られる時間ではない。
「いやいや、楽しみで待てなかったんだよ」
ニコニコと笑いながら、目はキョロキョロと動いている。何かを探している?
「将軍様、お料理はまだですよ」
お義母様が呆れたように言うと
「な、何を言うか!」
と、将軍様は真っ赤な顔で怒り出した。
「そんなに食い意地が張っているように見えるのか!」
「将軍様、お味見程度ですが」
私はそう言って、ローストビーフのサンドイッチを差し出した。食べる時間が取れないかもしれないからと言われ、一口大に作ったサンドイッチを用意していたのだ。
「これはこれは」
すぐに将軍様は笑顔になってサンドイッチを手に取った。
「近年、ここまでの催しはなかったからな。貴族どもは喜び勇んで馳せ参じると思うぞ」
モグモグと口を動かしながら、将軍様は近くにいたお義父様と話している。
「いやいや、なにしろライラのお披露目ですから」
「自慢したいのは仕方ないな」
「ははは、そうでしょう」
お義父様と将軍様が楽しそうに話しているので、私も側でニコニコ笑っていた。
「いいご身分だよな」
「全くだ、ジュウセンの恨みを思い知らせてやる」
突然使用人からそんな言葉が聞こえてきた。周辺はざわついているのでお義父様や将軍様も気がついていないようだ。風に乗って偶然聞こえた言葉。ジュウセン。マイズ国の人が我が国との戦争のことを獣相手の戦いと言ったと聞いた。
「どうしたんだ?」
「実は・・・」
私の表情を見たジョセフ様に聞かれ、私は小声で話した。マイズ国の人が働きに来ているのはいいのだが、あまりこちらにいい感情を持っていないようなのが気になったのだ。
私の話を聞いたジョセフ様の目が険しくなった。そばにいたお義父様、将軍様も同じだ。
「父上、将軍様、ライラを頼みます」
「任せなさい、老いぼれてもライラを守る力はあるぞ」
「大丈夫だ、気をつけなさい」
ジョセフ様が剣を手にした。
「おい、そこの2人。名前を名乗れ」
ジョセフ様が使用人に声をかけた。振り返った2人はジョセフ様を見ると、驚いたように目を大きく見開いた。
「おいっ」
「あぁ」
2人がバラバラの方向に走り出す。1人が私の方に向かってきた。
「逃げるな!」
ジョセフ様の怒号が聞こえた。将軍様がすぐに私の前に立ちはだかり、入ってきた男を拳で殴った。
「ぐ、ぐぅ・・・」
男のくぐもったような苦しげな声が聞こえてきた。見ると、もう1人の男もジョセフ様の足元でうずくまっていた。
「お嬢様はこちらへ」
メイドが近づいてきた。
「あぁ、ライラも怖かっただろう」
メイドが私の横に立った。そして。
「これが何かわかるわね」
メイドに腕を掴まれ、冷たいものが頬に当てられた。ジョセフ様やお義父様、お義母様、将軍様の驚愕した顔が
見えた。ざわついていたはずの周囲がシン、と静まり返った。
「メリア・・・」
メイドだと思っていたのは、メリア様だった。
「クロスをもっと持ってきてちょうだい!」
「お花の準備はどうなっているの?」
朝から騒がしい。いよいよ今日は披露宴当日。この季節は風も気持ちがいいとのことで、クルーソン家自慢の庭園が会場になった。使用人たちは早朝から慌ただしく準備をしている。
「ほら、やっぱり陽の光の中だとこっちのドレスの方が映えるわ」
「ですが、本番はもう少し陽の光が陰るのではないですか」
「そうねぇ」
今日が終わればドレス選びも終了する。なので、私は笑顔でここに立っている。これも貴族のお務めなのだ。多分・・・。昨夜決まったドレスをお義母様が悩み始め、オリビアもそれに追従し、結局本番と同じ条件でドレスを着て検証することになったのだ。
使用人の人たちが忙しく準備している横で私たちが呑気にドレスを選んでいるというのは、何というか申し訳ない気持ちになる。
「母上もいい加減にしてください。ライラが疲れているではないですか」
「だってぇ」
ジョセフ様に叱られてもお義母様は唇を尖らせ
「ライラを最高に可愛く仕立てたいと思わないの?」
と言い返した。
「ライラは十分魅力的ですよ」
さらりとジョセフ様に言われて顔が赤くなるのがわかった。
「はいはい、とにかく今日は本番なんだから。気合い入れていくわよ」
「「「「はい!」」」
お義母様とオリビア始め使用人たちが円陣を組んで声を上げている。なんだか怖い。ジョセフ様の訓練を思い出しそうだ。
「ライラ、今日は主役だね」
現れたのは将軍様だ。まだ招待客の来られる時間ではない。
「いやいや、楽しみで待てなかったんだよ」
ニコニコと笑いながら、目はキョロキョロと動いている。何かを探している?
「将軍様、お料理はまだですよ」
お義母様が呆れたように言うと
「な、何を言うか!」
と、将軍様は真っ赤な顔で怒り出した。
「そんなに食い意地が張っているように見えるのか!」
「将軍様、お味見程度ですが」
私はそう言って、ローストビーフのサンドイッチを差し出した。食べる時間が取れないかもしれないからと言われ、一口大に作ったサンドイッチを用意していたのだ。
「これはこれは」
すぐに将軍様は笑顔になってサンドイッチを手に取った。
「近年、ここまでの催しはなかったからな。貴族どもは喜び勇んで馳せ参じると思うぞ」
モグモグと口を動かしながら、将軍様は近くにいたお義父様と話している。
「いやいや、なにしろライラのお披露目ですから」
「自慢したいのは仕方ないな」
「ははは、そうでしょう」
お義父様と将軍様が楽しそうに話しているので、私も側でニコニコ笑っていた。
「いいご身分だよな」
「全くだ、ジュウセンの恨みを思い知らせてやる」
突然使用人からそんな言葉が聞こえてきた。周辺はざわついているのでお義父様や将軍様も気がついていないようだ。風に乗って偶然聞こえた言葉。ジュウセン。マイズ国の人が我が国との戦争のことを獣相手の戦いと言ったと聞いた。
「どうしたんだ?」
「実は・・・」
私の表情を見たジョセフ様に聞かれ、私は小声で話した。マイズ国の人が働きに来ているのはいいのだが、あまりこちらにいい感情を持っていないようなのが気になったのだ。
私の話を聞いたジョセフ様の目が険しくなった。そばにいたお義父様、将軍様も同じだ。
「父上、将軍様、ライラを頼みます」
「任せなさい、老いぼれてもライラを守る力はあるぞ」
「大丈夫だ、気をつけなさい」
ジョセフ様が剣を手にした。
「おい、そこの2人。名前を名乗れ」
ジョセフ様が使用人に声をかけた。振り返った2人はジョセフ様を見ると、驚いたように目を大きく見開いた。
「おいっ」
「あぁ」
2人がバラバラの方向に走り出す。1人が私の方に向かってきた。
「逃げるな!」
ジョセフ様の怒号が聞こえた。将軍様がすぐに私の前に立ちはだかり、入ってきた男を拳で殴った。
「ぐ、ぐぅ・・・」
男のくぐもったような苦しげな声が聞こえてきた。見ると、もう1人の男もジョセフ様の足元でうずくまっていた。
「お嬢様はこちらへ」
メイドが近づいてきた。
「あぁ、ライラも怖かっただろう」
メイドが私の横に立った。そして。
「これが何かわかるわね」
メイドに腕を掴まれ、冷たいものが頬に当てられた。ジョセフ様やお義父様、お義母様、将軍様の驚愕した顔が
見えた。ざわついていたはずの周囲がシン、と静まり返った。
「メリア・・・」
メイドだと思っていたのは、メリア様だった。
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