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陛下のリクエストに答えてケーキを出した。深く考えていられないのでイチゴのショートケーキだ。ダン様はブツブツと文句を言っていたが、ケーキを見ると目を輝かせている。
「うん、うまい」
ケーキを一口口に入れ、陛下は満足げにうなづいた。私も一緒に食べることにする。子どもの頃、ケーキといえばイチゴのショートケーキだった。私はイチゴは最後に食べるのだが、友人は最初に食べていた。途中で生クリームと一緒に食べるという別の友人もいて、観察してみると面白い。ちなみに陛下は途中派、ダン様は最初派のようだ。
あまり人が食べているのを見ているのも行儀が悪い。私は食べることに集中することにした。そして最後の一口くらいになったところで、
「あの石は」
と、陛下が話し出した。陛下はすでに食べ終わり、お茶も飲み干していた。石のことは忘れていたので唐突に石の話が出たので驚いた。ダン様も最後の一口を口に入れたタイミングだったようで、フォークを咥えたまま陛下を見ていた。
「リサなら簡単に作れるのか?」
真面目な顔で聞かれたので、私も背筋を伸ばして真面目に答える。
「はい」
粘土で遊ぶくらいの感覚だったことを思い出す。遊び半分であったことは言わないほうがいいだろう。
「元々の石の数はどのくらいだった?」
聞かれて私は思い出しながら答えた。私の答えを聞いて陛下は考え込んでいるようだ。真面目な表情を見ていると、この人は本当に国王陛下なのだと思った。それは失礼な感想だと思うのだが、今まで浮かれたオヤジという印象だったのだ。心の中で丁寧にお詫びすることにする。
「このことは内緒にしてほしい」
やがて陛下は私に向かって頭を下げた。
「え?どうしたんですか。頭を上げてください」
慌てて私はダン様を見た。ダン様も驚いた顔をしていたが、すぐに向き直り同じように私に向かって頭を下げる。
「リサが魔法石を作れるということ、しかもあんなに質の良いものができたとなると、他の国が放っておかないだろう」
は?いきなり何を言うのだ?しかし私の狼狽も無視され、陛下は言葉を続ける。
「できればリサには、このままわが国に滞在していてほしい。他の国に知られれば、なんとしてでもリサを手に入れようとするだろう」
確かに。それは理解できる。魔法石だけではない。食べ物や家具、食器など私にとっては珍しいものではないが、この世界では特殊で珍しいものだ。そんなものを私はホイホイと出している。今のところ悪用するような人はいないが、今後そんな人と出会わないとは言い切れない。
「リサの気持ちを優先するつもりだ。だが、世の中は善人ばかりではないことを理解してほしい」
そう言いながら再度頭を下げる陛下。分かっているつもりだったけど、確かに簡単に魔法を使っていた。ダン様は自重するように言っていた。聞いていながら魔法を使っていたのは、この世界のことを理解していなかったからだ。
刺繍やマナーもそうだが、この世界の普通や通常というのがわからない。確かにあの刺繍は元の世界でも特殊技術だったかもしれないが、他の人がどうなのかがわからないのだ。食器だって貴族の家なら当たり前にあるだろうと思っていた。でも違ったのだ。
ということであれば、この世界の常識や普通を理解するためにも魔法は使わないように封印しよう。この決意をすぐにでも表明しなければ。
「わかりました」
私も真面目な顔で陛下の目を見る。そしてダン様にも視線を向ける。
「魔法を使わないようにします」
はっきりとそう言い切ると、陛下は慌てて私に手を差し出した。
「いやいや、そこまでは・・・」
「そうです、こちらの言うことを聞いてくれれば」
私の一大決心は簡単に却下されてしまった。えー、せっかくの決心だったのに。心の中で唇を突き出して不満を表現する。実際にやるとバカっぽいから。あくまでも心の中でブーたれる。
「やはりリサにはそれなりの地位を与えようと思う」
陛下に言われ、思いっきり顔が歪んでしまった。心の中ではなく実際に。その顔を見たせいか、陛下の顔もおかしなことになったのであった。
「うん、うまい」
ケーキを一口口に入れ、陛下は満足げにうなづいた。私も一緒に食べることにする。子どもの頃、ケーキといえばイチゴのショートケーキだった。私はイチゴは最後に食べるのだが、友人は最初に食べていた。途中で生クリームと一緒に食べるという別の友人もいて、観察してみると面白い。ちなみに陛下は途中派、ダン様は最初派のようだ。
あまり人が食べているのを見ているのも行儀が悪い。私は食べることに集中することにした。そして最後の一口くらいになったところで、
「あの石は」
と、陛下が話し出した。陛下はすでに食べ終わり、お茶も飲み干していた。石のことは忘れていたので唐突に石の話が出たので驚いた。ダン様も最後の一口を口に入れたタイミングだったようで、フォークを咥えたまま陛下を見ていた。
「リサなら簡単に作れるのか?」
真面目な顔で聞かれたので、私も背筋を伸ばして真面目に答える。
「はい」
粘土で遊ぶくらいの感覚だったことを思い出す。遊び半分であったことは言わないほうがいいだろう。
「元々の石の数はどのくらいだった?」
聞かれて私は思い出しながら答えた。私の答えを聞いて陛下は考え込んでいるようだ。真面目な表情を見ていると、この人は本当に国王陛下なのだと思った。それは失礼な感想だと思うのだが、今まで浮かれたオヤジという印象だったのだ。心の中で丁寧にお詫びすることにする。
「このことは内緒にしてほしい」
やがて陛下は私に向かって頭を下げた。
「え?どうしたんですか。頭を上げてください」
慌てて私はダン様を見た。ダン様も驚いた顔をしていたが、すぐに向き直り同じように私に向かって頭を下げる。
「リサが魔法石を作れるということ、しかもあんなに質の良いものができたとなると、他の国が放っておかないだろう」
は?いきなり何を言うのだ?しかし私の狼狽も無視され、陛下は言葉を続ける。
「できればリサには、このままわが国に滞在していてほしい。他の国に知られれば、なんとしてでもリサを手に入れようとするだろう」
確かに。それは理解できる。魔法石だけではない。食べ物や家具、食器など私にとっては珍しいものではないが、この世界では特殊で珍しいものだ。そんなものを私はホイホイと出している。今のところ悪用するような人はいないが、今後そんな人と出会わないとは言い切れない。
「リサの気持ちを優先するつもりだ。だが、世の中は善人ばかりではないことを理解してほしい」
そう言いながら再度頭を下げる陛下。分かっているつもりだったけど、確かに簡単に魔法を使っていた。ダン様は自重するように言っていた。聞いていながら魔法を使っていたのは、この世界のことを理解していなかったからだ。
刺繍やマナーもそうだが、この世界の普通や通常というのがわからない。確かにあの刺繍は元の世界でも特殊技術だったかもしれないが、他の人がどうなのかがわからないのだ。食器だって貴族の家なら当たり前にあるだろうと思っていた。でも違ったのだ。
ということであれば、この世界の常識や普通を理解するためにも魔法は使わないように封印しよう。この決意をすぐにでも表明しなければ。
「わかりました」
私も真面目な顔で陛下の目を見る。そしてダン様にも視線を向ける。
「魔法を使わないようにします」
はっきりとそう言い切ると、陛下は慌てて私に手を差し出した。
「いやいや、そこまでは・・・」
「そうです、こちらの言うことを聞いてくれれば」
私の一大決心は簡単に却下されてしまった。えー、せっかくの決心だったのに。心の中で唇を突き出して不満を表現する。実際にやるとバカっぽいから。あくまでも心の中でブーたれる。
「やはりリサにはそれなりの地位を与えようと思う」
陛下に言われ、思いっきり顔が歪んでしまった。心の中ではなく実際に。その顔を見たせいか、陛下の顔もおかしなことになったのであった。
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