日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人

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第2章 始まる日本の変革

2.4 日本周辺諸国の動き

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 アメリカ合衆国大統領とロシア大統領が相次いで来日し、首相と懇談して帰って行った。
 結果、アメリカとの間の大きな動きとしては、日米安保条約は今後5年間で段階的に廃止することが発表され、アメリカ軍基地は5年間で完全になくなることになった。

 それに伴って、面白い動きが基地の島沖縄であった。これは、いきなり5年で基地撤去と言うのは卑怯であり、相応の補償を求めるという声明が県庁から発表され、実際にそれなりのデモが行われた。いわば、念願の基地の完全撤退が実現するが、今まで得ていた地代等の経済的なマイナスを考えればそういわざるを得ないのはわかるが、この動きは一般の国民の反感を買ったことも事実である。

 さらに、それに合わせて、アメリカの軍需産業、電力業界、自動車業界で慌ただしい動きがあり、数百人以上の技術者が防衛研究所及び四菱重工さらに西山大学に加え様々な民間企業を訪問して様々な協議及び研修を行っている。
 そして、アメリカでもSAバッテリー、MMモーターの製造工場の建設が始まると共に、核融合発電機の大量の部品の買い付けが契約され、アメリカ国内でも大量の部品が発注された。アメリカの場合、春ごろから十万㎾発電機と百万㎾の発電機の建設が始まる見込みである。

 また、その後しばらくして、外務省のホームページに中国の言う南京虐殺や慰安婦、強制労働、さらに韓国の言う慰安婦、強制労働、さらには朝鮮の土地や資源を略奪したなどという主張に反論する形の文章がさまざまな資料を駆使して系統だった形で出された。

 この内容は、新世紀日本の出したものと大差はないが、国として発表したという点の重みが異なる。これは、日本の外務省が、これらの話は中韓両国が意図的に日本を貶めるために作ったものであるとはっきりした声明と共に発表したもので、数日で数十万の閲覧があり、おそらく大量にダウンロードもされたと考えられる。

 無論、中国政府、韓国政府はヒステリックに抗議したが、事実に裏付けられたものの重みは違い、余りに大きくなった騒ぎに中立的な立場の歴史学者は一様に日本側の主張に軍配を挙げている。中韓自身の国民もそれなりに知性のある者であれば、自国の教えている歴史と日本が発表した事実に裏付けられた歴史、しかも日本側のものは原典にあたることが出来る、を比べればどちらに分があるが明らかである。

 中国においては、事実を受け止められるものが多かったが、韓国の場合はもともと自分の都合のいい主張以外は受け入れない人が多く、そのため頭から妄言と決めつけて読み通すこともできないものが多かった。
 しかし、両国とも自国の主張はおかしいと思うものが増えたことは事実である。一方で、中国・韓国人に乗せられて日本を非難していた人たちは、さすがに事実を受け止めて、自分たちの日本非難の行動が誤った根拠に基づいていたと気がつくものが多かった。

 そうなると、こうしたことを焚きつけてきた中国・韓国人への怒りが募るのは当然であり、両国出身であることを明らかにしてこうした運動をしてきたものの立場は極めて悪くなった。また、これは表面には出ていないが、外交方針を始め日本に様々な注文を付けてきたアメリカからの干渉が止み、ようやく日本独自の路線を走ることになった。

 しかし、基本的にはアメリカはその価値観において、日本と共通するものが多く利害も一致することが多いので、今後も協調路線をとることは間違いないであろう。しかし、外務省はアメリカから指示を受けてその通りにすることに慣れ切っており、この点は官邸の強いリーダーシップが必要になると思う阿賀首相であった。

 さて、ロシアであるが、プチャーキン大統領は今回については殆ど駆け引きなしで北方領土主要4島、合計面積五千㎢の返還を申し入れてきた。引き換えの条件はレールガンと重力エンジンの技術、それに核融合発電、さらに電動車の技術である。

 阿賀首相は、ロシアに対しては軍事技術であるレールガンと重力エンジンに関して、製造は許さず日本からの輸出に限った。さらに、核融合発電やSAバッテリー、MMモーター製造については当分日本国内には完成品を輸出するキャパシティがないが、日本企業が入って現地にプラントや工場を建設することになった。

 核融合発電機についての基幹部品は日本から輸出することにして、指導員を派遣して建設を行い、SAバッテリー、MMモーター製造も建屋は現地に作らせ、生産設備については指導員を派遣してやはり基幹部分は日本からの輸出によって組み立てることになった。

 北方4島について、住民が1万6千人ほどもおり、実際のところロシアとしては経済的には中央からの補助金が多く重荷になっていたが、潜在敵国である日本近海に領土を持つ意味は大きく、その意味もあって度重なる日本の返還要求にも応じてこなかった。

 日本としても今更北方の土地を、ロシア人の住民付きで手に入れてもさほどのメリットはないが、固有の領土を取り返すという象徴的な意味では返還の意味は大きい。しかし、住民は基本的に日本への返還を望んでおらずこれをどうするかが問題であるが、いずれにせよ居住権は認め、特別在留許可を出すことになった。

 今後、日本領になったことから空港の建設、港湾設備の整備、道路整備、学校の建設や上下水道設備の整備など集中的な公共投資があり、さらに民間ベースのホテルなどの投資も相当なものになると予想されることから、当分は建設ブームに沸くことで住民の懐が潤うであろう。
 さらには当面日本から移り住んで来る人々は漁業関係者と大手資本の観光業に従事をしよういう人々で多数ではないので大きな軋轢は生まないであろう。

 北方4島の返還に伴って、日ロ平和条約が結ばれることになって、それに合わせてシベリア開発を共に取り組むことになった。この交渉の段階で、日本側が資源衛星のデータによりまだ未開発の数々の資源の場所を掴んでいることが明かされ、当面日本に近いハバロフスク州にある大規模なボーキサイト鉱床とマンガン鉱床の開発に取り組むこととなった。

 通常、熱帯・亜熱帯に多くあるボーキサイト鉱床がなぜ亜寒帯のシベリアにあるのか謎であったが、事実そこにあるので、今後需要量が大幅に増える予定の日本にとっても、石油資源の価格低迷に悩むことになるロシアにとっても有難いことではある。

 ここでは日本資本が入って、海岸まで鉄道を引き、そこでアルミのインゴットの大生産工場を作ることになった。そのほかに大規模な鉄鉱床や石炭、さらに石油も見つかっているが、鉄については現状では中国の過剰生産が今だに続いており、さらに石油はいずれ工業原料としては長く使えるのでとりあえず開発は棚上げになっている。

 韓国については、自ら経済成長の中で日本を侮る風潮が生じ、それが日本人から反発を食らい、更に相互に感情が悪化するという負のスパイラルに陥っている。そのため、日本からの技術及び工業基礎資材の供給という面と、韓国にとっては近く割安な観光先という面で経済面では深い交流は続いている。

 しかし、輸出管理の問題、韓国軍による自衛隊哨戒機へのレーダー照射など政治的なとげが残ったままで、両国の世論は相手に対して厳しいままである。日本としては、世界か注目される中で韓国との関係を修復する理由はないが、韓国は日本発の技術移転が絶対的に必要である。

 その中で、尖閣事変で日本が一方的に中国を下したことから、韓国に日本脅威論が出てきた。元々韓国には日本は韓国の侵略を狙っているという言説があり、多くの人がそれを信じている。しかし、日本が憲法改正の中で、侵略はしないとはっきり明記言して、首相の説明の中でも言明されてようやく韓国国民の懸念も治まった。

 だが、その動きを知っていた日本人からインターネットで散々からかわれている。
「自己評価高すぎ!韓国に侵略する何の値打ちがあるよ?朝鮮人の住む半島に住むなんて悪夢そのもの!」
 というのが、代表的なインターネット上の意見である。

 韓国経済であるが、韓国の経済を支える輸出は最近では好調である。これは、その輸出品の内容が殆ど日本とかぶっているという特性から、日本において最近は内需が爆発して、全く外需に応じられない状況になってきていることがある。

 さらに、北朝鮮は国際的な封鎖に耐えられず、韓国との経済特区の再開、労働者の送り出しに踏み切った。このため、北朝鮮の安い労働力がコスト削減に大きな効果を示している。しかし、北朝鮮の安い労働力が有効ということは、言い換えれば韓国人の労働単価が下がっていくことも意味しているのだが。

 一方で、電動車への切り替えを急いでいる日本では、その自動車の国内生産は100%をすでに電動車に切り替えている。その95%を国内向けの需要に充当し、残りの僅かを米国とロシア向けに輸出している。

 この点で、日本国外でも日本の電動車を買うことは無論できるが、バッテリーの充電(励起)工場を建てないと運用できない。SAバッテリーと充電工場については、アメリカとロシアに加え、最近はヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど主要国が続々と日本詣でによって技術締結しているように日本政府と技術交流契約を結ばないとこの工場の建設は出来ない。

 韓国と中国も外交ルートを通じてこの申し込みをしているが、世界中の国々が同様な依頼をする中で、冷え込んだ国民感情からも、外交的な面からも優先する理由がないので、順番の最後に回されているのが実情である。
 それらの技術を使う権利は他国に譲渡は出来ないし、情報も出してはならないことになっている。しかし、よしんば契約を結んだ国が他国へすべての情報を渡してもSAバッテリー励起の心臓部は日本から提供されるもののみとなっており、その情報を漏らしたものはその心臓部の供給を止められる契約になっている。

 そのうえに、日本は核融合発電機を発明して、現在大車輪で建設している。国内に全く石油がとれない韓国としてはこの技術は本当の意味でのどから手が出るほど欲しい技術である。今後、世界に行き渡っていき、その主流になることが明らかなこの電動車関係の技術、核融合発電であるが、これらの技術の導入が遅れることになる中韓は今後世界の中から取り残されていくことが明らかである。

 さらに、韓国は歴史において、その教科書でも自己賛美し、日本を貶めるためのねつ造を数多くしてきたため、その教科書で育って者たちがさらにその上に重ねたねつ造で日本を歴史認識に関して非難してきた。しかし、最近の日本の政治団体と外務省の世界に向けて発表した資料はそのねつ造を余すことなく暴いており、並みの知性があってちゃんと読めば理解できるようになっている。

 流石に、韓国内でもこれらを読むことで自国の偽りの歴史認識で日本を非難してきたことを認識するものも数多く出てきた。
 さらに、今のままで日本からの技術封鎖を受けていると、今でこそ日本が内需のみに集中しているので輸出で潤っているが、数年を経ずして世界でも最も遅れた国になる。後者のことは、韓国民の共通認識になりつつあり、そうすると前者の認識を持ち始めた人々の言うことにも説得力を持つようになってきた。
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