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第二十一話 ギルド長の処遇
しおりを挟む「ギルド長は解雇されたよ。今までも問題を起こしていたみたいだしね。それに伴ってこのギルドの職員を再テストしてみたんだが、なんと半数が合格ラインに達していなかった。どうやらギルド長が不当に採用した人間もいたみたいだ。彼らの給料は馬鹿みたいに少なかったし、冒険者達のランクも、一部の人に勝手に加点、一部の人に不当な減点をしていたみたいだ。それら全部を見直されるから、ランクダウンする人もいるかもね」
3日後に改めてやってきたクウガさんが、ギルド長の処遇について教えてくれた。
「え!じゃあひょっとして僕のランクも…」
「心配ないよ。君はむしろ上がるかもしれないね。たしかあの強さでDランクなんだろう?100体の魔王軍を倒した功績と、前に君のことを勝手に減点したギルド職員がいただろ?あの時の分を含めてCランクに上がるかもしれないよ」
流石にそれはないだろう。
Cランク冒険者と言えばベテラン冒険者だ。
その人口は冒険者の上位15%と言われており、
Cランクになるまでには早くて10年、普通は20年かかる。
冒険者は30代になると引退する人が多い。
だから、皆んな引退するまでになんとかCランクになって、暫くして引退する。
稀にとんでもない速度でランクアップする人もいるが、いくらなんでも僕のは早すぎる。
まだ冒険者になってから半年ほどしか立っていない。
「そうだと良いですね」
あまり期待せずに答えておいた。
「ところで、君がアークデーモンを倒したというのは本当かい?正直それが本当ならBランク冒険者に匹敵すると思うが……」
「本当です。でも相性が良かっただけですよ。僕にBランク冒険者の実力はないです」
「ふーん……ねぇ、もし良かったら僕と手合わせしてくれないかな?」
「え、なんでですか?」
「有望株には唾付けときたいからね、それに君がどれくらいの実力か知りたいのさ」
「えっと…お断りします」
「ええ!なんで!」
「だって、絶対負けるし僕のメリットが無いじゃないですか」
嘘だ。
第6騎士団の副隊長クウガ・バーク
『雷神』ほどではないにせよ、やはり有名人だ。
そのパワーは鋼鉄すらも斬ってしまうと噂がある程に彼の力は凄まじい。
そんな人と手合わせ出来る機会はそうはないだろう。
だが、今戦えば僕のスキルについてバレてしまう可能性が高い。
筋力値の高さならば、強いスキルを持っている程度で済むだろう。
しかし、戦うとなればやはり全力を出さねば抵抗もままならない。
投擲スキルを使うしかない。
だが、今の僕の投擲はもはや反対方向に投げても、1度視認さえしていれば当たってしまう程に命中率に補正が掛かっている。
投擲スキルを1度でも使えばバレてしまうかもしれない。
僕のスキルの本当の価値が。
この人もやはり国の人間。そうなったら貴族やらが囲い込むか、騎士団に入れるかするだろう。
そうなるのが怖いので、片手剣のスキルが上がって、まともに近接戦も出来るようになってから……
「そうだね……なら、僕に勝ったら王都への通行許可証を発行しようか?」
「是非お願いします」
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