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第二十四話 アークデーモンの出所
しおりを挟む依頼を受けると言って、お姉さんに連れてこられたのは別室だった。
「君が今回の依頼を受けてくれたケイン君だね?」
50を過ぎた頃だろうか?
まだ初老に差し掛かったくらいの白髪男が僕に聞いてきた。
「はい。僕がケインです。それで、あの、あなたは?」
「ああ、紹介が遅れたね。私はこのギルドに派遣された新しいギルド長のゼルトダシュだ。王都から派遣されてきたんだが、少し前までは私、Bランク冒険者だったんだよ?」
「それは凄いですね」
本当に凄い。その年で冒険者を続けられるということはかなりの実力があるのだろう。
「まぁ、そんな事はいいさ。それよりも君がギルドが管理している墓地のアークデーモンを倒したんだってね。それを証明する事は出来るかい?」
「あの……ギルドカードを見せれば良いですかね」
ギルドカードには討伐した魔物の履歴が残る。
これのおかげで冒険者は虚偽の報告が出来ないようになっている。
「ああ、そうだ。見せてもらえるとありがたいのだが……」
「どうぞ」
討伐履歴の欄を見た事で納得したようだ。
「ほほう。本当にアークデーモンがいるね。あそこの墓地には出なかったはずだよな」
そう。
出なかった魔物が出た。
環境の変化によって、出現する魔物は変わることがある。
しかし、そうした変化は少しづつ起こり、魔物の数が増えたり、強さが上がったりが一般的だ。
さらに上位種が生まれるまでとなると普通数年はかかる。
これまでなんの報告もなく、急にアークデーモンが出た……という事は
「突然変異個体、人為的に作られた魔物、もしくは他の土地から来訪した魔物といったところでしょうか」
「ああ、その中だと人為的に作られた、もしくは連れてこられた魔物という線が妥当だね。突然変異体は尋常じゃない強さを誇る。ただのアークデーモンにはならないだろう。それに確率が低すぎるからな。他の土地から来訪というのは、無くはないが一応街中にある墓地だ。人の目につかないとはいえ、誰かしらが目撃するだろう」
「そうですね。他の可能性も警戒しておきますが、とりあえず人為的なものだと思って行動します」
「ああ、だとしたら危ないな。冒険者を追加で雇っておく方が良さそうだな」
「お願いします」
良かった。僕だけじゃ正直不安だったからな。
「では探索能力に長けた者を数名募集しよう。エクレア君!急いで依頼書を作ってくれ」
「かしこまりました」
どうやら新しいギルド長は、優秀そうだ。
そうして集まったのは5人の冒険者。
「まず自己紹介した方が良いかな?僕の名前はサガ。弓を使っている。スキルのおかげで目がいいから頼ってくれ。Cランクだ」
「俺はガンジス。大剣を使っているぜ。Dランクだ」
「私はエネマ。短剣を使う。でもサーチ能力が1番の取り柄。……Dランク」
「僕はパウロ。魔法を使っています。現在Dランクです。よろしくお願いします」
「最後に僕ですね。僕はケイン。片手剣を使っています。一応投石とかもできます。Cランク冒険者です」
一通り自己紹介が終わると、サガさんが取り仕切り始めた。
「それでは僕とエネマさんで索敵をして、前衛に
ケインさんとガンジスさん。後衛でパウロさんと僕が配置につきましょう。何か意見があればどうぞ」
すると、不満があったのかエネマが質問する。
「私は短剣使える。何故前衛じゃない?」
「それは、君が索敵役も兼ねているからだよ。索敵役が前に出過ぎて攻撃を喰らったら帰る時に危険が出るかもしれない。それに、戦闘になった時後衛の僕たちでは近接戦ができないからね。後衛の護衛もお願いしたいんだ」
「わかった。守る」
サガの説明に納得したようだ。
「勿論、前衛の2人が危なくなったら助けて上げてほしい。だからある意味1番仕事量が多い大事なポジションなんだ」
それを聞いて、あからさまエネマの機嫌が良くなった。
サガ……恐ろしい男め
「他に何かないですか?無いようなら買い出しに行きたいと思っています」
……買い出し?
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