最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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第八十九話 再戦

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「テクストが来るまでまだ数日ある。その間少しでもテクストのいる方向に向かおう」

「そうですね。1週間以内にここに着くという保証も無いわけですし……」

僕達はテクストが向かってくるであろう王都方面に向けて歩き出した。
腹が減っては戦も出来ぬ。
途中途中でサバイバルをしながらなんとか向かった。
魔王城を出て4日目……

「はぁはぁ……もう限界です。お腹空きました」

「私も……お腹が空いて力が出ない」

「どうしましょう……私は一応訓練を受けていたのでこの程度の断食ならどうということもないのですが……」

「僕も回復力と体力の高さのお陰で別にお腹は空いても動けるには動けるけど……」

このままではエネマとクリフは動けなくなる。
この辺りはもう魔王領を抜けており、辺りにはおい茂る緑がある。
食べられるきのみや動物を捕まえては調理していたが、(知識はケイン、調理はエルナとクリフ)手に入る量も少なく、栄養にも偏りがあるから、2人にはこのまま歩き続けるのは厳しいだろう。

「仕方ない……エネマとクリフには近くの街に着いたら一旦別れよう」

「で、でも僕達まだ…」

「うん。動ける」

「そうは言っても……」

「そんな状態では碌に戦えないでしょう?相手が戦闘面で見れば弱めのテクストとはいえ、仮にも四天王ですぅ~。万全の状態でも無いのにこの戦いには連れて行けません」

「そんなこと無い……僕達強くなって…」

「もし……もし連れて行って足を引っ張ってしまったら?人質に取られたらぁ~?貴方達の為だけに言っている訳ではありません。合理的に見て2人は街で待機するべきだと思っているのです」

2人はそれを聞くと反論する事は叶わないと思ったのだろう。
諦めて街に残ることを決意した。
僕達は歩き続けて、その日のうちに街を発見した。

「ではクリフさん、エネマさん……一時の別れですね」

「またすぐ会えるようになると思うけどな」

「ケイン、エルナ気を付けてね」

「絶対無茶しないで下さいね?」

「ああ、心配するな。勝つさ」

手短に別れて直ぐに旅に出た。

「ケインさんと2人きりになるというのは初めてかもしれませんね」

「そうだね……はやくテクストを倒して王都を取り返して、エネマ達と合流しないとな」

「ムゥ……なんですかなんですか!私と2人というのは嫌だと言うのですかぁ?」

「別にそうは言ってないよ。楽しいって……いやこんな状況で言うのもなんだけどさ。でもやっぱりテクストは放っておく程に大変な事になる。あの時殺しておかなかった事を後悔してるよ」

「そうですね……早くテクスト様を倒さ……ないと?」

「ああ………お前今なんて言った?」

「えっと……早くテクストを倒さないと、と」

「そ、そっか僕の聞き間違いか……ごめん」

「いえ……テクスト様をテクストと言い間違えるなどある訳ないでしょう~」

「だよな……おい?」

待て、エルナのこの感じ

「もう操られていたとはな……いつからだ?」

僕は剣を取り出してエルナに向ける。

「いや、今のは間違いぃで……なんでこんな喋り方にぃ…嫌、やめて!お願いやめて下さいぃ~!テクスト様!」

なんだかおかしい。今までの操られていた奴とは反応が違う。

「操られて……ないのか?」

「操られて…は無いとぉ~。でもなんだか私が私じゃ無い何かになってるような感じがぁ」

喋り方はおかしいがたしかに襲ってくる様子も洗脳を強要する様子もない。これが演技ってこともあるかもだが……

「もしかして、一度操られそうになったけどエルナはステータスが高いから完全には操られなかったとか?」

それならまぁ分かるが……

「かもしれないですねぇ~。戦闘には支障が無いと思いますから、このまま歩きますぅ。構いませんよねぇ?」

「良い訳ないだろ!ちょっと引き返してさっきの街に……」



「あら、その必要はありませんわぁ~」



よく見ると、正面には女の人がいた。燃えるような赤髪……第三騎士団の紋章……あれは、

「お師匠!?」

とエルナが言った。
エルナの師匠という事はあの人は炎帝エルファトクレスだ。
だが、エネマの話ではエルファトクレスは操られていると聞いている。

「お久しぶりですね。我が弟子勇者エレナ。それにはじめましてAランク冒険者のケインさん。この先に丁度いい洞窟があったのでそこで休憩出来ます。一緒に……」

「行くとでも思いま……ムグッ!」

(ケインさん!?何するんですかぁ?)

僕は喋ろうとするエルナの口を止めた。

(まあ待て。エルファトクレスはこのまま僕達を洞窟に誘き寄せて逃げ場のない中テクストと戦わせるつもりだろう……それならエルファトクレスは操られていると知っている今、こちらが有利だ。これを利用しない手はない)

(……分かりました)

「ではご一緒させていただきますね」

「そうですか、ついてきて下さい」

そう言ってエルファトクレスは背を向けた。
しかし、向こうは警戒しているのか中々近寄らせてくれない。

(……チャンスが来ないな)

(仕方ありませんよ。突然炎帝が現れるなんてどう考えてもおかしいです。こちらが警戒していないとは、向こうも考えてはいないでしょう)

「……少し休憩にしましょうか、ここに丁度川があります。水分補給にしましょう」

エルファトクレスがそう言った。

(おい、一応飲んだ水はあとで吐き出すぞ)

(ええ)

しかし、この時絶好のチャンスが訪れる。エルファトクレフが背中を向けて川に入って行ったのだ。
1番近いのはエルナ。僕では届かない。
投石をしても一撃で落とせないだろうし、何より殺す事が目的ではない。
気絶させるのならば今以上のチャンスなどない。

(エルナ!そのままエルファトクレスの首を絞めろ)

(わ、分かりました)

しかし、躊躇っているのか近寄っても中々手が動いていない。

(何やってる!?早くしないと……)

(分かってますよ!)

手を少しずつ首元に近づけるエルナ
あと少しで掴むというところでエルファトクレスが振り返った。

「ああ、やっぱり気付いてたんだねぇ~私があやつられてるとぉ」

エルファトクレスは腰の長剣を引き抜き、エルナに向けて素早く振りかざす。

咄嗟に避けたようだったので無事ではあるが、こうなってしまってはエルファトクレスとの交戦は免れない。
エルファトクレスは頬を赤めて嬉しそうに言う。

「この先の洞窟にぃ~テクスト様がいらっしゃるわぁ~」

「じゃあそこを通してもらおうかな」

「ふふふ……通りたくば私を倒してからにしなさい」

そう言うとエルファトクレスは左手を僕達に向けて魔法を放つ。

「ファイヤーアローレイン」

すると、炎の矢が数え切れないほどに現れた。上空に消えて行ったそれは、2秒後に僕達に向かって襲ってくる。

なんとか全部捌いた。今の僕とエレナなら2人でかかれば勝てない相手でも無さそうだが……
エルナはさっきエルファトクレスを気絶させる事を躊躇っていた。自分の師匠を攻撃したくないのだとしたら……この戦いまずいことになりそうだ。
そもそも僕達は早くテクストのところに向かわなければいけない。
ここで時間を食っている場合じゃないんだが……

「仕方ない、エルナ!戦えるなら手伝ってくれ!出来るだけ早く倒すぞ」

しかし、エルナから返ってきた言葉は意外なものだった。

「いいえ、ケインさん時間がないんでしょう!先程は申し訳ありませんでした。この状況になったのは私のせいです。だからケインさんだけでもテクストを倒しに行って下さい」

「でも、それだとエレナが1人でエルファトクレスの相手を………」

「食い止めて見せますよ。何時間でも何十時間でも……何百時間でも………ですので、ここは私に任せて先に行って下さい!」

「!?……分かった。恩に着るよ」

僕は迷わず先に行く。

「行かせると思うのですかぁ~?ファイヤーレイ!」

炎のビームのようなものがエルファトクレスが僕に放ってきた。

「させません!ファイヤーレイ!」

しかし、エルナが同じ技で相殺してくれた。

「お師匠様。……貴方は操られるような存在ではないと思っていたのですが」

「あら?案外操られるのも悪くないですよぉ~?ここで貴方も操られなさい」

「死んでも御免です!さあ、さっさと目を覚まして下さい!お師匠!」

エルナは剣を握る。
己の弱さを克服する為に………



エルナに任せてテクスト討伐に向かっている。
エルナなら炎帝相手でもそうそうやられる事は無いだろうが、やはりテクストを倒さないと根本から解決しない。
洞窟に入ると投石で雑魚を殲滅し、奥へ奥へと向かった。
途中でキメラと対面した。

「おっと、此処を通り、テクスト様を倒すというのであれば!まずは私ヲッ!」

喋っている間にキメラを倒した。正々堂々闘ってやる余裕など今の僕には無い。

「悪いな……もし生きていたら次は本気で相手してやるよ」

時間を無駄にしないよう、また全力で走りはじめた。


………………………………
………………
……

そろそろ走り始めて15分が経過する頃、洞窟の奥に何かがいた。
当然奴だ。

「よお、テクスト……久しぶりだなエルナを操ったのもお前か?」

「久しぶりだねぇ~ケインちゃん、エルナちゃんがどうしたのかはよく分からないけどね」

「お前にそんな呼ばれ方したくは無いな」

「なんでもいいじゃなぁ~い呼び方なんて」

「……そうだな。今から殺し合う訳だ。今更呼び方なんてどうでもいいか…。テクスト、僕はお前を殺すぞ」

「うん。やってみればぁ~?前回と一緒だとは思わない事だねぇ~」

「お前こそ、前回と同じだと思わない事だ。今の僕は四天王の誰にも負けないぞ」

「そっかそっかぁ……実は僕、四天王辞めようかなと思ってたんだぁ~。こんなに力のある僕がぁ~?誰かの下に甘んじるなんてよく無いよぉ~。うん、決めたよ。僕はこの戦いが終わったら四天王をやめて世界の支配者になるよぉ~。当然魔王も雷帝も支配してね!残念ながらケインちゃんはその光景を見れないけどぉ~!」

「ふっ、おまえ如きに支配出来るかよ。雷帝や魔王どころか、世界すら支配できやしない」

「出来るさぁ~なんせあのエルファトクレスでさえ僕は支配できたんだからねぇ~」

「……本当にそうだと思うか?」

「どういう意味だい?」

「まぁいいさ、始めようか!」

「そうだねぇ僕も君を殺したくてうずうずしてるんだぁ~!」

僕達は互いに剣を取り、戦闘態勢に入った。






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