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第百十八話 魔王の過去2
しおりを挟む四天王の討伐を聞き、ガルドはエルディナ学園入学を決めた。
しかし、この数年魔王軍の拡大に力を入れていたせいでろくに筆記試験の点数を取れず、一浪してしまう。
本来なら先生達を操作して学園に入る事も出来たのだが、情報を集めるならむしろ勇者と同級生の方が都合が良い。
その為、大人しく浪人してガルドは次の年に入学したのだ。
一年たっぷり勉強したので、きちんと筆記試験に合格した。
だが、実技試験で驚くものを見せられる。
銀髪の少年?が教師を圧倒していたのだ。
正直ガルドから見ても対処出来るか出来ないか分からない程に速かった。
周りの人間は一撃で落としたと思っている。
少し感の鋭いやつでも5、6撃で倒したと思っているが、俺にははっきり見えた。
奴は12撃を一瞬にして打ち込んだのだ。
あの程度なら俺が受けても死なないだろうが、奴は明らかに本気を出していない。
間違いない。奴がテクストを倒したのだ。
勇者なんかよりも余程厄介な存在だと確信した。
俺はその後、その者に近寄った。
はじめこそ警戒していた様だったが、すぐに打ち解けて手の内まで晒してくれた。
ある時、興味本位でガルドはケインに質問する。
「どうして俺に、色々重要な事を教えてくれるんですか?」
「うーん……なんでだろ?……あっ!僕が遅刻しそうになった時ガルドが起こしに来てくれたからかな」
たったそれだけのことだ。
それだけの事なはずなのにケインはガルドを信頼して、生命線とも言えるスキルまでも教えてくれた。
ガルドにとって、ケインや勇者、エネマやクリフと過ごす日々は単なる情報収集の一貫でしかない。
でも、裏切っている事に罪悪感を覚えたのはガルドの本心が『魔王』に反発していたからたもしれない………
ガルドはどんどん迷っていく。
今まで友達らしい友達もおらず、初めて一緒にいるだけで楽しくやれた相手だったから……
真剣に魔王討伐を目指しているケイン達を裏切っても良いのだろうか?
しかし、魔王軍も作り、たくさん人を殺して今更後に引けない。
否、スキルが引かせてくれない。
ガルドはエルナを操ろうとするが、精神に耐性があるのか支配することは出来なかった。
思考に影響を与えてケインと敵対する様に仕向けたが、それも無駄に終わった。
そうしてガルドは仲を深めていく事を怖く思い、みんなの前から消える事を選んだのだった。
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