最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝6話 宇宙飛行士田中

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宇宙飛行士田中は、ケイン達が住む星に到着した時、絶望を感じた。
燃料タンクが小惑星とぶつかった際に破損していて、帰りの分のエネルギーが足りないと気付いたからだ。
つまり、帰れない。一生をこの未開の地で過ごすしか無いのだ。…それもほんの数日だろうが……
この星は太陽系の中で、火星と木星の間に位置する地球型惑星だ。太陽からの距離は地球よりも遙かに遠く、我々人間にはその寒さに耐えられない。生物の生存は確認されているが、それはこの星でそのようにして進化してきた生物だからだ。外に出たら寒さですぐにまともに動けなくなってしまう。かと言って宇宙船の中にある食糧は有限。宇宙船にいれば暫くは生活できるだろうが、いつか食料が尽きたら餓死してしまう。
だから数日しか持たない。しかし、成す術もない。ならば地球から救助が来るという極小の確率に賭けるしか道は無い。
……最も、通信機もこの距離では届かず、我々の様子を管理する手段も無いので、極小どころか0と言い切っても良いのだが……
そう思って宇宙船から出ようとはしなかったのだ。
ところが、ここで宇宙船の乗組員であるボブがとんでもない発見をした。
なんと外の温度を測ってみたら23度。地球の気温と変わらなかったのだ。

「や、やった!これなら外に出れる。そうすれば何か食糧が手に入るかもしれない!」

ボブが宇宙船の外に出ようとするところを慌てて止める。

「待て!ボブ!」

「な、なんだよタナカ。外は安全だと分かったじゃないか」

「お前それでもNAZAの宇宙飛行士か!?気温が同じでも気圧や酸素濃度が違ったら意味ないだろうが!!」

「あ、あぁ…そうだった………」

※本人達は英語で喋っています。

しかし、その後外気の状態などを調べてみても人間が生存可能な場所だと判明した。

「ど、どうなってやがる……なんで太陽系の中にこんなに地球と環境が似通った星があるんだ……そもそも、なんでこんな星が文明が発展してからのこの1000年間1度も望遠鏡で発見すらされなかったんだ……?」

「分からんな……だが、これなら外に出ても大丈夫そうだ」

警戒はしたが、このまま宇宙船の中で怯えているより行動をした方がいいと結論付き、宇宙船に乗っていた5人は念の為宇宙服を着て外に出た。
すると、周りの草木は地球と似たような見た目をしていたのだ。
空は青く、雲まで浮かんでいる。
地面を見ると虫のようなものまでいた。

「……おい、これを見てみろよ。蟻だ」

「別に蟻なんか珍しくもないだろう?」

「……本気で言ってるのか?蟻だぞ?……この星には居ないはずの蟻がいるんだ」

「えっ…あ、ああ……そうだな。たしかに変だ」

「まったく……ボブ、お前調子がおかしくないか?これは世紀の発見なんだぞ?」

「う、うん……そうだな」

先程からボブは元気がなさげだ。よく見ると皆んなも調子が良くなさそうだ。まぁ、こんな星でサバイバルしていかなくちゃいけないわけだからな。落ち込むのも無理はない。
だが、後になって後悔する……
この時宇宙船に引き返しておかなかったことを……
  



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