最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝22話 追手

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「ここは……一体?」

「王都からそう離れていない場所だが、人目にはつかん。魔物が跋扈しておったからな」

エルナが瞬間移動によって連れてこられたのは荒れ果てた荒野……その真ん中に立っている不思議な形をした大きな乗り物だった。
スクリットはその中にエルナを招き入れると、お茶やらお菓子やらを出し始めた。

「これは何のつもりですか?」

「お客さんにはおもてなしをしないとな。ゆっくり楽しんでくれ」

「そうじゃなくて…‥この乗り物は?」

「ああそっちか。これは宇宙船といってな。この星の外にある重力も空気もない空間を移動する為に別の星の人間によって作られた乗り物だ。これがあればスキル無しでも宇宙を移動できて楽なのだ」

「貴方の瞬間移動とやらで、行けるんじゃないですか?」

「私の瞬間移動はね、魔力の消費が重い。故にあまりに遠くには行けんのだ」

「そう……ところでこのお菓子は毒じゃないでしょうね」

「そんなことはしないさ。全部美味しいから食べてみるといい」

「しめじの山……ポアロ……うめえ棒……何ですかこれ?見たこともない」

「別の星のお菓子とだけいっておこう。そんな事より出発までまだ時間がある。私は管制室に行く故、何かあれば来い」

そう言うとスクリットは別の部屋へと行ってしまった。

「食べて……みますか」 

エルナは恐る恐る目の前の食べ物に手を伸ばしてみる。しめじの形をしたチョコとビスケットを口に頬張る。

「おい……しい」

決して質の高い味という訳では無いが、ビスケットとチョコのなんとも言えない味が口の中に広がる。

「美味しい……けど、何というか…安っぽい味ね」

しかし、気に入ったのかエルナはパクパクと口に運ぶ。

「こっちはどうかしら?」

そう言いながらピンクと茶色で三角錐型のチョコを口に運んだ。

「これも……何だか中毒になりそうな味ね」

そう言うと最後に棒状のスナック菓子にも手をかけた。
今度は無言で食べ続け、しかし、また一本、また一本と手を伸ばしていく。
そして彼女は自分でも気づかないほどに劇的に体重が増えることとなるのだが、それはまた別の話であった……




………………………………
………………
……


クリフは走っていた。エルナのいる宇宙船に向けて。

クリフはガルド戦を経て、相手の逃げる地点を予測する能力を獲得した。何となくで、相手が今どこにいるかを察する能力もだ。これをクリフの持つ空気操作と組み合わせることによって、空気の乱れと天性の感覚から、相手の瞬間移動位置を割り出すことに成功したのだ。

「この荒野に……誰かが瞬間移動したはず……空気がこの場所だけ一瞬ズレた……」

当然、この星には瞬間移動を使う者は多く存在する。難易度は高いが、習得出来ない魔法ではない。だから、ここに誰かが移動してきたからといって、それがスクリットとは限らないのだ。しかし、クリフは、何故だか分からない確信を持っていた。きっとここにエルナがいる……と。

そして見つけたのは大きな謎の乗り物。
明らかに異彩を放つそれの中に、エルナはいると思った。

「エルナさん……待ってて下さい」

クリフは、乗り物の周りを歩き回ると、窓を見つけた。その中にエルナの独特な赤髪が一瞬見えて、駆け寄った。

「エルナさん!エルナさん!助けに来ました」

その声に反応したエルナは勢いよく振り向いた。

「エル……ナさん?」

その時、クリフが見た光景は想像を絶した。エルナが幸せそうにお菓子を頬張っていたからだ。

「ち、違うのクリフ。これは手なづけられたとか、そう言う訳じゃなくて、せっかく出してもらったから、食べないわけにも……って思って……ね?」

「エルナさん……はぁ……まあいいや、兎に角ここから逃げますよ」

そう言ってクリフは強引に窓を破壊した。当然音が鳴ってしまわないように窓周りの空気を無くして無音にした上で……だ。
しかし、クリフが中に入ると同時に宇宙船が動き出してしまった。

「そんな、この乗り物は一体どこへ……」

慌てていると、そこにスクリットがやってきた。

「おい、何か物音が……って、貴様はさっきの!」

「ひっ!見つかった……どうしよう、ここから飛び降りるしか……」

「おい待てやめろ、そんなことしたら死ぬぞ……というか何故窓が破れている!貴様がやったのか!?」

「そうです!文句ありますか!?」

「ありまるわ!!!畜生、このまま宇宙空間に出たら酸素不足で死ぬ。お前ら、どっちかあの窓塞げないか?」

「塞げるけど……アンタの為にはやりたくないですね」

「馬鹿!お前らの為でもあるんだよ!頼むからこの窓を塞げ」

「……仕方ないですね。今だけは協力します『エアシールド』!」

こうして、宇宙空間で3人お陀仏という最悪の事態だけは避けられたのであった……



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