最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝30話 過去最強

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ケインとガルドの戦いが始まって数時間、未だに決着はついていなかったが、目に見えて消耗し始めたのはケインであった。
途中でちょくちょく狂化を使用してガルドよりステータス上優位に立ったりもしていたのに、ガルドはまるでその事を分かっていたかのように対処して来たのだ。

「はぁっ…はぁっ…」

「苦しそうっすね、ケインさん」

「そう見えるか?……いや、ここで虚勢を張っても意味無いか。強くなったなガルド」

「ケインさん……そりゃ魔王ですからね」

「いいや、そうじゃない。この数時間程おまえの動きを観察してみた。……おまえ、これが初めてじゃ無いだろ?」

「何を……」

「とぼけんな、もう分かってるさ。お前が僕の手の内を知っているというのは当たり前だ。僕達のパーティーでいつも戦っていたんだからな。だが、知りすぎなんだよ」

「……一応最後まで聞きましょう」

「僕の技や動きに対処してくるまでならまだしも、狂化への対処も明らかに初見の動きじゃなかった。何より、初めにガルドに狂化を見せた時はもっと驚いていた筈だ」

「あー……それは、ケインさんが強過ぎて空いた口が塞がらないみたいな?」

「違うな。極め付けに、さっきの会話からもう矛盾しているが、お前これが2週目って前提で会話してるだろ?」

「はー……バレちゃいましたか」

「要するにだ。お前はルーナのスキル、又は魔法によって生み出された偽物のガルドではなく、あの時僕達が倒した筈のガルド本人だったってわけだ」

「そうっすよ。でも、俺にも何で殺された筈の俺が生きているのかは分からない」

「うーん……そもそもだ。ガルド、お前はこの空間が何なのか分かってるのか?」

「何者かによって生み出された偽物の世界……って事くらいっすね。気づいたらここに居ました」

「その前までの記憶は?」

「ケインさん達と戦った時が最後です。まあ、俺としては俺自身が偽物だろうと本物だろうと関係ありませんよ。こうしてもう一度貴方と戦えるのだから!」

ガルドはそれだけ言うと、また戦いを始めようとした。

「悪く思うなよ。さっさと終わらせたいからな」

ケインは仕方なくガルドに向けて手を向けて、何かを唱え始めた。

「ハッ、この後に及んで魔法のフェイクですか?貴方が補助具無しでは魔法を使えないのは知ってます。その手には……」

『エアバレット!』

ケインの手から空気の刃が繰り出され、フェイクと思い込んでいたガルドは避ける事も出来ずにまともに喰らってしまった。

「グハッ……な、何で……?」

「ガルド、お前もこれは知らないよな?」

ケインは魔法が使えない。これはケインに関わったほとんどの人間が知っている事だ。
スキル適性値の低さはどうやっても変わらない。
なら、一体どの様にして魔法のスキルを取得したのか?
答えは簡単である。恭弥に教わったのだ。
地球で疲も使われている魔術は、魔法の元となった技術だ。ならば、魔術を覚えればそれは実質魔法を使えるのと同じなのである。
ケインはこの三ヶ月間、別に家事をしたり魔物を倒していただけでは無かったのだ。
恭弥に地球で使われている魔術の扱い方を教えてもらい、練習していたのである。
だが、当然ケインは地球に来て対した日数はたっていない。
幸い恭弥は学校も無かったので日中も教えることは出来たが、それでも覚えられた魔術は精々片手で数えられる程度だ。
惑星ジムダで主に使われている魔法は火属性の下級魔法や、中級魔法などと分類されているが、その下級魔法ですら数十の種類があるのだ。ここから更に上級魔法や、オリジナルスキルから派生した魔法、特殊な条件を満たさないと取得出来ない魔法等が含まれる為、それら全ての魔法数は数百……あるいは、千に届きかねないのだ。当然ジムダの魔法使いが千の魔法を使えるというわけでは無い……が、それでも一般的なレベルの魔法使いなら数十くらいの魔法は扱う。
恭弥達の済む地球ではもっと魔術の数が多い。日々新しい魔術が研究され生み出されているのだ。アマチュアでも稀に作り出す人がいるくらいである。
似た様な効果を生む魔術も沢山ある為、数だけ見れば万を余裕で超える。
とはいえ、その中で戦闘に役立つ魔術と言えば精々その半分以下だ。
とはいえ、やはり数千もの魔術が存在する地球では、1人の人間が千の魔術を使いかねないレベルである。
事実恭弥も、数だけ見るなら使える魔術は三百もある。
故にケインは最低限戦闘で使えそうな魔術を系統毎にバラバラに覚えたのである。
それでも、初めの一ヶ月程の間は魔術の使い方を覚えるので必死でまともに覚えることすら出来ていなかったが……



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