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外伝36話 クローン
しおりを挟むとても信じられない話だ。
ルーナの持つスキルを作り続けるスキルなんて、とてもじゃ無いがそんなアホみたいなスキル信じられない。それでも馬鹿みたいなスキルなのに、何でも好き勝手に作れる『創造』なんて、もっとあり得ない。
「で、ルーナさんはどうして助かったんですか?」
「過程から話すよ。アタシとルーナはね、戦いが終わってようやく、互いの名前を知った。というかお互いにフルネームを知らなかったんだよ。アタシは鈴木マヒロ、ルーナは市橋瑠奈だ」
「ルーナの本名……?今は偽名なんですか?」
「いいや違う、これはアタシ達が思いついた解決法に関わる事なんだけど、自分の持つスキルの数に耐えられない市橋瑠奈に行った解決法は転生だった。要するに、アタシが色々と条件を付けて精神を他の人に移すスキル『憑依転生』を作ったのさ。それで肉体を乗り換えることによって、スキルの数をリセットし、市橋瑠奈は生きてきた……」
「成る程……ルーナはルーナだけど、市橋瑠奈でもあるのか」
「だけど、この方法にも問題があった。一つはルーナの持つ本来のオリジナルスキルだけは何故か消すことが出来ずに残ってしまったんだ。だから、結局10数年程生きたらまた肉体の限界が来て転生する羽目になってしまう。安定はしてたけどね」
「……でも、安定してるならそれでいいんじゃ?」
「良くないよ、だってこの方法はつまり、新生児の魂を殺している事になるんだからね」
「あっ……」
「当然彼等には自我も記憶も無い……けど、これから自己を手に入れていく彼等の人生を、そこで終わらせるのは流石に忍びないんだ」
確かにその通りだ。転生などとと言っても、結局それは他人の身体を乗っ取って乗っ取られた本人を殺しているに過ぎないのだ。
「それともう一つ弱点があってさ。ルーナの持つ強靭な精神に並みの肉体では耐えられないということだ。だから、あの星を作った」
「え?ど、どういう事ですか?」
「惑星ジムダ等と言ったが、あの星は簡単に言えばルーナの転生体を作る為の実験場だったんだよ。アタシのスキルで星を作り、地球からは察知されない様に操作し、誰にも観測されない宇宙空間に特定の条件を満たすとスキルを与えてくれるシステムを作った。こうする事によって惑星ジムダに住む人間はどんどんスキルに耐性が付いていく」
成る程、それなら確かに市橋瑠奈の精神に耐えられる人間も現れるだろう
「案の定、結構早い段階で生まれてきてくれたんだ。それに瑠奈は転生した。……が、やはり10数年で肉体は限界を迎えるんだ」
「じゃあ……今もルーナさんは」
「いや、結論から言うともう肉体の崩壊は収まった。11回目の転生で彼女が都合良くスキルを制御するスキル『完全操作』を手に入れたんだ」
「そう言う事だったんですか……でも、おかしく無いですか?」
「おや、何がだい?」
「先程惑星ジムダを作ったと言っていましたが、その人間は一体どこから来たんですか?あの星の人口だって、馬鹿にならないでしょう?」
「ああ……怒らないで聞いてほしい」
突然神妙な面持ちになって、鈴木マヒロは語った。
「君達の先祖はクローン人間だ」
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