最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

文字の大きさ
185 / 192

外伝58話 『万死』

しおりを挟む


「君にも『ガーデンライフ』を使ってもらうんだ」

「成る程、因みに今の私の『ガーデンライフ』ならどれくらいの人数を蘇らせられますか?」

「うーん……30人くらいかな」

エルナはこれでも自分は強くなったという自負があった。
直前に鈴木が1億人甦らせる事が出来ると言っていたので、自分と鈴木の魔力量の差は凡そ300万倍と言う事になる。

それなりにショックも大きかったのだ。

「でも……鈴木さんならどうにかして全員を蘇らせる事は出来ませんか?」

クリフが純粋に疑問に思った様で、質問している。
たしかに、魔力量的にはもっと行けると思われる。
何故1億人しか蘇らせる事が出来ないのか?

「えーっとね……アタシの魔力量は実はそんなに多くないんだ1000万かそこらだよ」

「えっ!?」

「マジですか!」

「うん、マジ」

そうなると、『ガーデンライフ』で蘇らせるのに使う魔力は1人当たり0.1になる。
どう考えても計算が合わない。
エルナの魔力量は凡そ15万なので、計算上はエルナにも150万人ほど蘇らせる事ができる事になる。

しかし、実際にはその5万分の1だ。

「これはアタシのオリジナルスキルのせいでね。アタシのオリジナルスキルのうちの一つに魔法の使用時に消費する魔力量を減少させるのがあるんだよ」

「成る程……それで魔力量は1000万なんですか」

「ああ、この星の人間……いや、この世界の人間を全て蘇らせたかったら魔力量は1兆じゃすまないだろうね」

「そんな魔力量……」

「あるわけ無いですね。何とか魔力を回復させてから『ガーデンライフ』を再度使えば……」

「それも無理だね。魔力の回復には時間がかかる。アタシは『超回復』があるから回復は早いけど、それにしても完全回復まで丸一日かかっちゃうからね。『ガーデンライフ』は死んですぐの死体にしか適用されない。もうすぐ時間ぎれだから早く魔法を使わないと」

「そう……ですか。あ!時間を止めたりとか……」

「出来るけど、その状態にするとアタシの魔力も回復しなくなるから意味は無いよ」

「……」

「じゃあ、さっさとかけちゃおうか。この星のランダムな人間にね。『ガーデンラ……」

「NO、させません」

次の瞬間、鈴木の頭が弾け飛んだ。
辺りは血の噴水で真っ赤に染まり、自体を飲め込めなかったエルナや恭弥は呆然と立ち尽くしている。ワンテンポ早く危機感を感じたルーナは、鈴木だった物の上に立つシムを即座に殺しにかかった。

使った技は『万死』。ルーナの奥の手中の奥の手だ。
威力は軽く太陽を破壊するレベルであり、その威力を掌サイズに一転集中させるという、正真正銘ルーナにとって最強の技である。
そのあり得ない威力の代償に自らが所有するスキルを1000個生贄にするのだ。
更に、技を使用後暫くはまともに動けなくなり、自分自身も大ダメージを受けるというデメリットつきだ。
それほどまでにルーナは今のシムを警戒……いや、憎んでいた。
大切な人を殺された恨みが、更にルーナの技の威力に補正をかけた。

「シム!貴様ぁぁぁぁぁ!!!!!!」

しかし、相変わらず無表情でルーナの方を見つめるシムは、それを右手で受け止めた。

「ぐぬぬ……」

ルーナの渾身の一撃をシムは片手で受け止めてしまった。攻撃を受けてボロボロになった右手も数秒程で完全に元通りである。

「……まだこんな隠し玉を持っていましたか。ですが……終わりのようですね」

「貴様ぁ!よくも!よくも鈴木様を!!!」

「NO、残念でしたね。所詮あの男はあの程度だったのです」

そう言ってシムが動けないルーナを手にかけようとした時……

「うちの可愛いルーナに触れないでくれる?」

それを止めたのは先程死んだと思われていた鈴木であった。

「鈴木……」

「アタシがあの程度で死ぬわけ無いじゃん。驚いた?どう?ビックリした?」

飄々とした態度ではあるが、内心は違う。

(どうやって!?どうやってコイツはアタシの灰色の世界から抜け出したんだ!?)

まさかあの世界から脱出されるとは思わず、鈴木は随分焦っている。

そもそも、この状態ではもうシムには攻撃できない。
ルーナや他の者は守れてもシムの破壊活動は止められない。

(どうする……アタシ)





しおりを挟む
感想 116

あなたにおすすめの小説

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...